2018年3月14日 更新

店舗什器の製作者が振り返る、ねじの歴史

店舗什器などで今では当たり前に使われる「ねじ」。その歴史について、店舗什器の製造現場で働く筆者が紐解いていきます。ねじの起源、日本で初めて見られたねじ、ねじの発展の歴史に関して振り返ります。

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店舗什器で使うねじとは?

いろいろな種類のねじ

いろいろな種類のねじ

わたしの仕事は様々なディスプレイで使用するネジ類・両面テープ・包装材等、現場の組立で使用する細かな部品を準備しています。組立で使用する部品と言いましても多種多様で、当初は先輩に「◯◯のビス(ねじ)ちょうだい」と言われても、種類が多く理解するのに時間がかかり、正直覚える自信がありませんでした。

ですが、実際に毎日「ねじ」などの部材に触れるうちに少しづつですが理解と興味を持つようになり、疑問も同時に持つようになりました。それは現在では当たり前のように使用され、ボンビでも毎日使用する「ねじ」はどのように生まれたのか?
疑問を持ち調べてみました。

“ねじ”の起源には諸説あり

“ねじ”の起源には諸説あり定かではないそうですが、代表的な説は“巻き貝”をヒントにしたという説と、木に巻き付いた“蔓植物”をヒントにしたという説です。

〈巻き貝説〉
原始人が浜辺で貝掘りをし、尖った巻き貝を見つけ、それを葦の棒切れに突き刺し、回転して外しました。 これが人類と“ねじ”の最初のかかわりであったといわれています。

〈蔓植物説〉
木の幹に藤の木のような丈夫な“つる”が巻き付いた部分はくぼみ、巻き付いていない部分は太くなります。 “つる”が枯れて落ちた後、螺旋状の“くぼみ”がついた太い木の幹が残ります。この幹を見た昔の人が“ねじ”を思いついたといわれています。

“ねじ”の構造をした最初の道具は、紀元前300年頃発明家で数学者  でもあるアルキメデスの考案

アルキメデス

アルキメデス

ネジ”の構造をした最初のものは、紀元前300年頃アルキメデスにより発明された「螺旋揚水機(揚水ポンプ)」といわれています。

その「螺旋揚水機」は、木板を螺旋状に打ち付けた物を、傾斜した円筒の中に入れ、円筒の下端が水に漬かっている状態で心棒の上端にあるハンドルを回すと、水を下から上に揚げる構造となっていました。それは、粘性のある液体にも適しており、ねじ構造が道具として使用された最初の例と言われています。

“結締用ねじ”の応用 ねじ切り旋盤のスケッチ(レオナルド・ダ・ビンチ)

モナ・リザを描くなど画家としても活躍

モナ・リザを描くなど画家としても活躍

15世紀のルネサンス期、レオナルド・ダ・ビンチが残したスケッチのなかに“タップ・ダイスによるネジ加工の原理”がスケッチされています。

ダ・ビンチは“ネジ”を機械要素の一つとして重視し、その幾何学を検討し、“ネジ”が中心的要素となっている様々な装置を設計・考案しています。
このことから、金属製ボルト、ナット、小ねじ、木ねじ類は1500年前後に出現したようです。

産業革命期に入ると、大量生産のために工業用機械の発展と製作技術の向上に伴い、金属製の“ネジ”による部材の連結が重要な要素となってきます。

日本人と“ねじ”の出会い

日本人に影響を与えたポルトガル

日本人に影響を与えたポルトガル

1543年に、種子島に漂着したポルトガル人が携えていた2挺の鉄砲を、領主種子島時堯が大金を投じて買い上げました。

時堯は、2挺のうち1挺を刀鍛冶八坂金兵衛に見本として与え、その模造を命じました。
火縄銃には銃底をふさぐための「尾栓」に「おねじ」と、それがねじ込まれる銃底の「めねじ」が使われており、当時、金属加工の工具としては「やすり」と「たがね」しかなく、「おねじ」は比較的容易に造り上げることができましたが、「めねじ」は大変苦労したそうです。

これが、日本人が見た最初のねじであるとされており、“ねじ”の製造の起源と伝えられています。

各企業が独自のボルト・ナットを製造したため、市場にはサイズやねじ山の角度などがバラバラのねじが出回り、混沌とした状態に。

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1770年代にイギリスの産業革命が進むにつれて、ボルト・ナット類の需要は爆発的に増えました。 これらのねじ類は専門のメーカーがまとめて製作していましたが、機械メーカーが独自の直径、ピッチのものを注文していたため、ねじの種類が膨大な数となり、規格品がありませんでした。

モーズレイに引き続いてねじ切り施盤の改良に従事していた、サー・ジョセフ・ウイットウォース(1803~1887)は、勝手気ままなピッチ、山形、外径などで作っていたねじを調査し、1841年に「ウィット・ウォースねじ」と称するねじの形式を発表し、普及活動を行った結果、イギリスでは「ウィット・ウォースねじ」が標準とになり、後にイギリスの規格(BS規格)として正式に採用されます。

アメリカは「アメリカ規格」、フランスなどは「SI規格」、その他のヨーロッパ各国などでは「ISAメートルねじ」制定に至り、また、アメリカ、イギリス、カナダの三国で軍需用に「ユニファイねじ」が規格化されます。

各国で独自の規格が制定されたため、1947年に設立されたISO(国際標準化機構)は、1957年に「ISAメートルねじ」に準じた全世界共通の現在の「ISOメートルねじ」の規格を発表し、アメリカ、イギリス、カナダが推奨する「ユニファイねじ」を「ISOインチねじ」として採用するに至ります。

日本では、日本工業規格(JIS)で、一般に用いるねじとしては「ISOメートルねじ」と同じ規格のものを、航空機その他特に必要な場合に「ISOインチねじ」を用いることを定められています。

なぜねじは右回り?

どうして右巻きなのか? 世の中の大多数の人は右利きで(70% - 90%)、右利きの人は時計回りに回す(回外)方が力が入るから、というのが定説。
ボンビで毎日ディスプレイを組み立てし、お客様にお渡ししている什器は様々な部品と部品とを接合し加工して作りあげる物で、部分によって外れてはいけない箇所や、取り外しができなくてはいけない場所が存在します。

その為、外れてはいけない場所には主に金属と金属を溶かして接合する「溶接」と呼ばれる加工や、接着剤などを使用し永久に外れないようにします。

これに対して、ねじによる締結は部材と部材は離れないことになりますが、外したいと思ったときには外れる。 一見相反する事ですがそれを「ねじ」を適切に使用することで実現でき、当たり前のように使用している物ですがとても素晴らしい「発明品」だと言うことを改めて感じました。

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