2019年4月19日 更新

ドコモの4割値下げを検証してみる

ドコモが発表した4割値下げの実態とは?海外の都市部の通信料金との比較を通じて、もともとドコモの料金が高いのか否かについても検証してみたい。

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ドコモの新料金プラン発表

ドコモの新料金プランが発表された。

だが、記事にもあるように1GB未満の料金が4割値下げとなっているだけだ。1GBでどれぐらいの通信ができるのだろうか。
容量を表示してWi-Fiの使用を促すアプリもありますが、多くのアプリは自動的にダウンロードが開始されます。ちなみに人気ゲームの「パズル&ドラゴンズ」(通称パズドラ)の初回起動と最初のダンジョンのクリアで約140MBの通信が発生しました。
月に10回も遊べないということがわかる
いつでもどこでも動画が楽しめるのがYouTubeの魅力です。YouTubeの視聴はどれだけのデータ通信量があるのでしょうか、ミュージックビデオを視聴して確認してみました。

3分のミュージックビデオを720pの高画質のHD画質で視聴したところ約100MBのデータ通信が行われました。
3分のミュージックビデオの閲覧回数は10回以下/月となる。
当然、メールであれば、添付データが大きくない場合に限るものの、それだけに限定した利用であれば困ることもないかもしれない。ページの閲覧はどうだろうか。
ちょっとした調べ物やネットショッピング、ニュースのチェックでブラウザを表示する場合の通信量は、1ページ当たり数百KB~1MB程度(モバイル用ページ)です。仮にブラウザでデータ通信を月に500MB利用したとしても、画像が多いページでも1日当たり16ページ(1MB換算)は閲覧できます。
ニュースページを16ページくらいはみんな毎日見てしまいそうだが…
以上から、1GB以内の利用と考えると、ほぼメールやSNSの利用中心、ニュースサイトやショッピングサイトなども1日十数ページ限定、というかなり意識的に通信料を節約しないとオーバーしてしまうと思われる。

海外と比べた場合はどうなのか?

電気通信サービスに係る内外価格差調査にはスマホの料金比較に関して、いくつかの項目があるのだが、そのなかで「MNO:シェア1位の事業者比較」というものがある。もちろん、日本からはNTTドコモの旧料金プランで比較されている。

平成29年度の調査結果を見ると、NTTドコモの旧料金プランは、データ容量月2GBではニューヨークに僅差で2位となっているが、データ容量月5GBと20GBではぶっちぎりの1位で「世界で最も高い料金プラン」となっている。ロンドン、パリと比べると2〜4倍近い差になっており、菅官房長官が「4割値下げできる余地がある」と発言するのも納得だ。
確かに世界の都市と比べると高いのは事実だが、その理由はどこにあるのだろうか。
ロンドンやパリなどは、地下鉄においてはネットワークが「圏外」でスマホをまともに使える状態ではない。郊外の電車に乗れば、2Gにつながることも珍しくない。「ネットワーク品質がいまいち」だからこそ、通信料金が安いわけで、地下鉄でも離島でも山間部でもYouTubeを安定して視聴できる日本の通信環境とは異なるという点を理解しておく必要がある。日本は、全国どこででも快適に高速通信が楽しめるからこそ、この料金設定になっているといえるのだ。
4Gがどこでもつながるというのは日本の通信環境の優れている点だろう。

ただ、これから5Gに移行していくにあたり、同じような通信環境を保てるのだろうか。
こんな記事がある。
莫大な投資が必要となる5Gの設備増強途上の営業減益となっても大丈夫なのだろうか。

経営上、株主のほうも気にする必要がある。豊富な内部留保やその年の利益を吐き出すことを良しとしない株主が多ければ大幅な株価下落にもつながりかねない。
株主の意向を考慮すれば、5Gプランを大幅な値上げをするなどの他対策も必要になってくるかもしれない。
料金はそれなりに高いが、ネットワークの配備率が高く、通信環境への満足度が高いはずの日本で、ドコモはもちろんだが、他3キャリアもどのように5G設備を整え、マーケティング施策を打ち出していくのか、しばらく注目していきたい。

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