2020年2月3日 更新

消費者の深層心理を読み解くニューロマーケティング

2020年今までより注目を集めそうなニューロマーケティング。アンケートなどの申告型調査で集めるユーザーデータとどこが違うのでしょうか?また、それをどのように企業は商品企画に活かしていくのでしょうか?

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ニューロマーケティングとは?

ニューロマーケティングとは、脳波や心電といった生体反応を計測して人間の心の動きを推定したり、無意識の感情や反射的な判断についても定量化・可視化できることを目指し、それを統計情報としてマーケティングに活かす仕組みだ。
この商品は消費者に好まれるのか」「市場に出して成功するかどうか」などを調査するとき、これまではアンケートやインタビューといった主観的な評価手法が用いられてきた。しかしこうした手法を用いる場合には、以下のような限界が生じることが指摘されている。

1. 無意識なことは言葉にできない
2. 定性評価を定量(尺度)化するのには限界がある
3. 設問(質問文の文章、順番などの設計)で結果が変化する可能性がある
4. 質問・仮説で想定していないことはわからない
5. 回答者が本音と建前を使い分けてしまう
6. 事後的な調査になるので、事実が歪んでしまう場合がある

 これに対してニューロマーケティングでは、無意識下の心の動きを定量的に把握できるほか、被験者が刺激に触れたときの反応をリアルタイムに収集することが可能だ。調査実施者や他の被験者に遠慮して、本音を出せなくなってしまう心配もない。こうした特性から、企業の商品開発やテストマーケティングの場で利用されることが増えてきた。
この記事でもニューロマーケティングの定義が紹介されている。
リサーチやアンケートなどでは、「商品をこと更に貶めてはいけない」や「本音がバレるとかっこわるい、かわいくない」などの意識が働くことがあり、本音が取れないケースも有る。ニューロマーケティングでは、被験者の生体反応や、脳波などを活用することで、意識下の隠された本音も、そうではない無意識下のものもデータが取れることになる。

ニューロマーケティングの最新事例

飲料メーカーのダイドードリンコは、機能性表示食品のお茶「大人のカロリミット」シリーズのマーケティングでニューロ調査を実施した。商品リニューアルに伴って、“持ち心地”を重視した形状のペットボトル容器を新開発。全体に凹凸を付けたり、従来より細くしたりした。アンケートやインタビューによって容器の効果を確認していたが、その裏付けをニールセンのニューロサイエンスに求めた。

 「見ても触っても“人に優しい”ボトルを目指して開発したが、アンケートやインタビューだけでは“心地よさ”を確認しきれなかった」と、同社マーケティング部 顧客・市場調査グループの伊藤千尋氏は説明する。

 調査対象は、25~54歳の日本人女性で、月1本以上自分で購入して無糖茶を飲む約50人。「新ボトル」と「従来のボトル」の2グループに分け、それぞれのボトルを見たり触ったりしたときの脳の動きを調べた。また、ダイドーが伝えたいメッセージ「心地よい」「落ち着く」「美味しそう」を含む複数の言葉を実験の最初と最後に見せて、伝わっているかどうかも調べた。
「見たときの感覚」や「触り心地」というのは感情マーケティングの時代には、大きな要素となるのだろう。「ペットボトルとはこういうもの」という感覚を良い意味で覆すことができれば、印象に残るし、それが心地よいと感じるものであればなおさらだろう。

感情マーケティングの時代

感情マーケティングが大きく広がるきっかけとなったのは、2008年発売のiPhoneのように思う。

「タッチスクリーン付きの携帯電話」という無味乾燥な機械的特徴をブランディングし、先端を行くクリエイティブな人が持つデジタルガジェットというコンセプトを、感覚や感情に訴えかけるマーケティングにより伝達した。

物が溢れ、特徴に大差ない商品が多く並ぶ中、「好き/嫌い」「かっこいい」「かわいい」などに訴えかけることで、その心地よさとともに印象に残る。SNS時代もあり、現代人はこれでもかというばかりに情報過多になっていることを踏まえると、ダイドー社のように、コストがかかるがゆえに、今まで手を入れてこなかった「ペットボトル形状」など原価がかかるプロダクト開発も積極的に行い、感情マーケティングに秀でた施策を打てる会社が伸びる余地はまだまだありそうだ。

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