2023年10月23日 更新

毎週最新の広告がアップデート! あの巨大OOHの定点観測レポート

クリエイティブ力向上のために、日常業務の合間に「見せ方」「見え方」「伝え方」をストックさせるために、足で稼いでインプットする作業。AIに任せていく部分はもちろん重要である。しかし、地道に実際に触れて感じて、そして、ストックをすることが大切だと思う。

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我々は、様々なプロモーションコンテンツを企画・デザインしていますが、
クライアントや店頭に訪れた生活者のココロに響く最良な提案を心掛けています。
クリエイティブ力向上の為に、日頃より最新のトレンドやデザイン傾向をキャッチアップするためにリサーチや定点観測を行なっています。
今回はOOH と呼ばれる交通広告にスポットをあて、その定点観測についてご紹介します。

そもそもOOHって?

Out Of Home の略。中吊り広告や駅構内広告などの交通広告、各種看板屋大型ビジョンなどの屋外
広告、チラシなど、家庭以外の場所で展開するメディアの総称になります。
アウトオブホーム・メディアとも呼びます。
つまり普段、電車や駅を利用する時にはOOH に囲まれていることになります。
日本国内で有名なOOH と言えば渋谷スクランブル交差点付近のJR 山手線渋谷駅にある
『ハチコーボード』ではないでしょうか。テレビニュースの中継で頻繁に映ります。

ハチコーボード

(東京都渋谷区)H4,000mm×W20,000mm

(東京都渋谷区)H4,000mm×W20,000mm

道玄坂ハッピーボード

渋谷界隈には大型のOOH がたくさんありますが、東急田園都市線改札外の地下通路内にある『道玄坂
ハッピーボード』は渋谷で唯一ピールオフ広告が実施可能なスペースです。
(東京都渋谷区)  H2,060mm×W21,840mm

(東京都渋谷区)  H2,060mm×W21,840mm

ピールオフ広告とは、簡単に剥がせるようにしたグッズをポスターに貼付して掲出し、通行人がグッズを自由に持ち帰ることができるプロモーション型の広告手法のことです。
商品のサンプルやノベルティなど、さまざまなグッズが貼り付けられ、展開方法も無数に存在します。

Umeda Arch Vision

OOHは、ポスターやプリントしたシートを貼付施工しますが、一方でLEDを用いたデジタルサイネージのOOHもあちこちで見かけます。
デジタルサイネージのメリットは動画や音声を用いたコンテンツで文字や写真では伝えられない、躍動感ある訴求が魅力です。またデジタル故にコンテンツの差し替えが容易です。
駅構内では大阪メトロ御堂筋線梅田駅ホーム上にある『Umeda Arch Vision』は地下施設では日本最大のサイズと傾斜を利用構造により大迫力のOOH です。
おもわずのけ反ってしまいます。
(大阪市北区)  H4,000mm × W40,000mm

(大阪市北区)  H4,000mm × W40,000mm

JR新宿ウォール456

東のデジタルOOH代表はJR 新宿駅東西自由通路に設置された『JR 新宿ウォール456』です。
なんと、世界最長456mの長さを誇ります。
こちらでの動画広告は
この長さを活かしたコンテンツになっており、観る人をいつも楽しませてくれます。
一例のアウディの新車広告では画面左に現れた新型の電気自動車がスムーズに加速し、456mの画面を静かに(EVなので)疾走する痛快なコンテンツでした。

東京都新宿区) H1,700×W45,600 ㎜

都市部地下空間の模様

都市部にある地下空間には無数の柱が存在しますが、景観上デメリットになる柱をデジタルサイネージで
ラッピングした事例もたくさんあります。連続した動画広告で無機質な地下街がとても華やかになります。
2023年春の開業直後に訪れたJR大阪駅うめきた地下口エリアは「近未来の駅」と例えられ、乗り場案内が
デジタル可変案内サインになっていました。
壁面のプロジェクションマッピングとの組み合わせで、今までにない斬新な駅空間がとても印象的でした。
東京メトロ銀座線 日本橋駅 高島屋口方面通路 柱14本...

東京メトロ銀座線 日本橋駅 高島屋口方面通路 柱14本 計56面  

JR大阪駅うめきた地下口エリア

JR大阪駅うめきた地下口エリア

定点観測中のメトロプロムナード

メトロプロムナードって?

これまでは東京・大阪で見かけたOOH 広告をご紹介しましたが、約5年ほど前よりほぼ毎週訪れて
毎回写真を撮り貯めているOOH 広告の場所があります。それは東京メトロ丸ノ内線新宿駅と新宿三
丁目駅間にある歩行者用の地下通路に存在する『メトロプロムナード』です。こちらは1959年に開通
した”老舗” の通路です。今でこそJR新宿駅構内の自由通路で新宿西口と東口を行き来できますが、
その自由通路が開通する2年前までは地下移動する際の貴重な通路で、今でも人の往来が非常多く土日
平日・時間を問わずいつも賑わっている通りです。
そのメトロプロムナードの壁面に幅14.5m× 高さ2.6m の広告面がなんと4面も続く
OOH 広告スペースがあります。
赤い柱間が広告面

赤い柱間が広告面

長さ14.5mの広告面が4 面続きます

長さ14.5mの広告面が4 面続きます

撮影・定点観測のきっかけ

このメトロプロムナードのOOH 広告を一番はじめに撮影したのは2014年9月。九州 宮崎県の観光
誘致の広告でした。
小生の父親の生まれ故郷である地域だった上に、青島神社の現地でしか行うことができない産霊
紙縒( むすひこより) を実際に体験できる様に” ご神木” を設置した仕様に驚き、思わず撮影しました。
 (7729)

その後、小生の息子が新宿界隈にあるこども向け囲碁教室に通うことになり、毎週日曜日にメトロプロムナードを通り抜ける際に、毎週更新される様々なOOH 広告に魅せられ、都度写真を撮ってきました。毎週撮り続けたことが結果的に定点観測となり現在も継続している次第です。

撮影点数はなんと! 550枚以上!!

約5 年で撮影した画像点数は550 枚以上になります!。
(2023年10 月現在) 種類はカウントできない程です。
各広告主や対象商品・サービスは千差万別ではありますが、いずれも”旬”が毎週アップデートされています。
新商品・新サービス・新番組・イベント・新施設・観光案内などの広告を、その時々の” 旬” なタレントやキャラクター達がアピールすることもあります。
いずれも考え抜かれたグラフィックデザインと工夫を凝らしたギミックや立体構造で、通る人達を楽しませてくれます。
時にはピールオフ広告によって商品や試供品のサンプリングも実施されており、
お得な場面にも遭遇するのも楽しみのひとつです。
すべてをご紹介したいところですが、一覧でご紹介します。
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工夫が凝らされた広告 独断の6選(メトロプロムナード)

① ミステリと言う勿れ フジテレビドラマ広告 2023年9月撮影

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メトロプロムナードにある柱はデジタルサイネージでラッピングされた
柱とそのままの丸柱があります。こちらの広告は丸柱に主人公を擬人化
して表現。ポケットに手を突っ込む姿もそっくりです。

② 仮面ライダーガッチャード テレビ朝日 TV番組広告 2023年8月撮影

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新しい仮面ライダーの番組広告。歴代の変身ベルトをライトアップされたショーケースに
ディスプレイされていて惹き込まれました。長さを活かした圧巻の展示です。

③ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 映画広告 2023年5月撮影

 (7748)

映画の世界観を表現すべく基調色を黒でまとめられた広告。
マットな質感のシートに光沢のあるキャッチコピーが施され、
シンプルながら文字が的確に届きました。

④ メリット PYUAN 花王 ヘアケア商品広告 2018年7月撮影

 (7751)

シャンプー& コンディショナーの広告ですが
製品の印象的な香りを訴求できる様に
香りが放出される仕掛けがありました。
広告面下の小さな丸穴から放出される体感型の広告です。

⑤ 羽毛ふとん 西川 寝具広告 2019年12月撮影

 (7754)

羽毛ふとんに包まれて、きもちいい暖かさを実際に体感できる体感型の広告です。
体験したい人達の長い行列ができていました。

⑥ アタックZERO 花王 衣類用洗剤広告 2020年1月撮影

 (7757)

 (7758)

春の高校バレーに絡めたプロモーション広告。
出場したチームのユニフォーム実物をディスプレイするリアリティのある広告でした。
みんな足を止めて観ていました。

コロナ禍ではまさかの事態に。

毎週、華々しいOOH 広告とたくさんの人が行き交う賑やかなメトロプロムナードですが、新型
コロナウイルスの感染拡大真っ只中の緊急事態宣言時には人通りが驚くほど減っていました。
そんな人通りも少ない通路に広告を出稿する企業は減り続け、シルバー色のブランク状態の壁面が
連続し、そんな状態が何週も続く時期がありました。
 (7762)

こんな苦労もあるのです…。

2023年1月撮影( メトロプロムナード)

2023年1月撮影( メトロプロムナード)

2023年4月撮影( JR新宿ウォール456)

2023年4月撮影( JR新宿ウォール456)

定点観測として撮影する際に配慮しているのは、キレイな状況を記録したく歩行者が写り込まない様に心掛けています。
しかし、 大都会・新宿の地下道ともなるとなかなか人の流れが途絶えません。
一瞬の隙を突いてシャッターを押し続けているのです。
どれも奇跡の一枚と言っても過言ではありません。
広告内容や掲載されているタレントやアイドルによっては年に数回、大多数の人達がメトロプロムナードに押し寄せ、記念撮影する人達であふれかえる時があります。

最後に

メトロプロムナードのOOH 広告を定点観測し続けていることで” いま” の情報を知ることができます。
その上、グラフィックデザインの参考にしたり、アイデアのストックにもなったりとクリエイティブの参考になることが多々あります。
何より自身が生活琴線の中でタッチポイントが無いような、趣味とは異なる、知らない、見聞きする機会のない業界や商品広告も撮影するので、結果的にあらゆる知識・情報の蓄積にもなります。

凡美社独自の店頭ナレッジサイクル『購買プロセスラボ』では買い場の現状把握とトレンド把握と
流通側の視点設計の考察を行う為に、定点観測や店頭リサーチを実施しています。
それらを考察・分析し日々の提案に活かしています。
また屋外広告業者登録済みの凡美社は屋外広告案件やここにご紹介したOOH広告などのサービスもご提供可能です。

了。

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