2017年7月12日 更新

サッカーOTAKUのつぶやき ~「セクシーフットボール」というサッカースタイル ~

そこには「観て楽しいサッカー、やって楽しいサッカー」というコンセプトやイズムのようなものがあるからこそ、ファンは魅了されるのかもしれません。

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編集のOです。
私はサッカー大好きでサッカーOTAKUです。たまにサッカーを題材につぶやいていこうと思います。
サッカー(フットボール)というスポーツは、周知の通り、世界で最も認知度のあるスポーツの一つです。世界中で競技人口は多いですし、さらにファンや熱狂的なサポーターがたくさんいます。過去にはサッカーの勝敗が原因で国と国の間に戦争が起こったこともあります。
もちろん、当然ながらサッカーに魅了されない無関心な人もいますし、サッカーを嫌いな人もいます。
ただ、おもしろいことに、サッカーを一度好きになれば、サッカーの魔力に憑りつかれ、自分独自のサッカー理論を構築してしまいます。サッカーをまともにやったことがない人でも、その魔力に憑りつかれると、自分自身のサッカー理論をまとい、スタイルや戦術に関して、他人と議論をするようになります。これほど、そのスポーツ好きの人がそれぞれに独自理論を展開するスポーツも珍しいと思います。
サッカーは競技です。競技には勝敗が前提にあり、切磋琢磨して勝利を掴む努力と実践と勝負をしますが、勝つには勝っても「観ていてつまらないサッカー」というのが、観る側にそれぞれあります。そのポイントに焦点を当てながらサッカーのスタイルに関してつぶやきます。
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「カテナチオ」と「トータルフットボール」

今はバージョンアップされていますが、30年前までのイタリアのサッカーは「カテナチオ」というイタリア語で『かんぬき』という意味の超ディフェンスサッカーで守備メインのサッカーでした。
ある人からすると、超守備的サッカーは面白くないかもしれませんが、ある人からすると、『サッカーは守備ありき』で面白いとなります。
さらに深く入ると、
ローマ帝国時代のコロッセオの闘いは、ただ闘うだけではなく、語り手がストーリーを語り、それに沿いながら、勝つ側が最初は劣勢だが最後に勝つという逆転劇が好まれたそうです。そのイズムが「カテナチオ」というサッカースタイルに残され、守りに守って、凌いで凌いで、最後に1点をもぎ取り、ギリギリ勝つというドラマチックサッカーが愛されるようになったそうです。
ですから、1対0、もしくは2対1という試合が観て楽しいサッカーとなります。

そのサッカーがアリーゴ・サッキ監督が、縦30m内でサッカーをするという『ゾーンプレス』戦術を開発し、超攻撃型守備サッカーを確立したのが1980年代終盤です。同時に各クラブチームが世界中からスター選手を集めたこともあり、国内のサッカーリーグ『セリエA』は1990年代は守備的サッカーが展開されながらも世界で最も華やかなサッカーリーグになっていきます。

今現在は、ボールを保持するポゼッションやカウンターを入り混ぜながらのバランスのよいサッカーになりましたが、それでも強固な守備を武器にするイタリアサッカーは玄人ウケするサッカーなのかもしれません。そこにローマ時代のコロッセオの闘技を重ねながら観戦してみると前後半の90分がよりドラマチックになるかもしれません。
一方で、1970年代に全員が目まぐるしくポジションチェンジをしながら動きながら、ゴールに向かうというセンセーショナルなサッカーを展開したのがオランダです。「トータルフットボール」としてサッカーファンには知られています。その「トータルフットボール」の体現者であるクライフは『フライングダッチマン(空飛ぶオランダ人)』の異名を持ち、サッカー界に強烈な一撃を与えました。引退後、様々なチームに携わりますが、今のFⅭバルセロナのサッカー哲学の楚を築いた人でもあります。
クライフがFⅭバルセロナの監督時代は、4点取られてもいいから5点取るという超攻撃的サッカーを繰り広げました。サッカーはエンターテイメント性も兼ね備えたスポーツだという理解がありました。その理解から考えられて紡ぎ出すサッカーはよりスペクタクルな要素を持ったサッカースタイル(哲学)となりました。
このクライフのイズムはその後グアルディオラに継がれ、グアルディオラがFⅭバルセロナ監督時代にとんでもないサッカーに昇華します。
試合中7割超えでボールをキープ支配し、そのパス交換の機微には、相手ボールになった時に瞬時にまたボールを奪い返すことができる「いかつい」までの狩人的なディフェンスができるような緻密なポジショニングと全員の連動した動きがあり、一時代を築きました。
グアルディオラはクライフを楚としていますが、体現しているサッカーはまた別モノであるようにも思えたりします。
小生は勝敗は置いておいたとして、このサッカースタイルが今までの人が考えるサッカーのある種の極みだと考えています。
未来は分かりませんが、今後はAI(人工知能)などの導入により、相手にあわせる戦術はよりシステマティックになってくるように思われます。戦術が重要なスポーツであるサッカーはAIに指示されて人が動くスポーツとなってしまうのでしょうか・・・。

セクシーフットボールというサッカースタイル

「守備サッカー」も「攻撃サッカー」も、『守から攻』、『攻から守』への切り換えの速さが大事だということのみならず、『守を携えた攻』、『攻を最適化する守』という領域に進化しているのが現代サッカーです。
世界を牽引しているサッカーの進化の過程の中でも、全世界の街では、子供から大人まで各年代のプロもアマチュアも含むチームの指導者やプレイヤーがそれぞれが独自のサッカー諭とサッカーを展開してきました。
サッカーという競技の中に、様々なスタイルが確立され、そのスタイル対スタイルの競い合いや確認作業を繰り返してきたと言ってもいいと思います。 
スタイルを型やメソッドなんて表現する人もいます。
ただ勝てばいいというだけのサッカーは、批判をされるサッカーにもなり得ます。
指導者やプレイヤーはもちろんながら敗者の弁になりますが、サッカー観戦者も独自のサッカー持論を持ち、スタイルを持ち、議論をしたがるからです。
なかなかに難しいスポーツですね。
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そんな中、高校サッカーでファンを魅了したスタイルを体現し続けているチームがあります。
それは、今までとは衝撃的に差別化された魅力的なサッカーでした。
サッカーを好きな人はご存知だとは思いますが、2006年の正月に「ちょい悪セクシーフットボール」を掲げて全国高校サッカー選手権を優勝した野洲高校です。
高校の部活動ではありますが、当時、そこには突出した選手の育成が掲げられていました。
例えば、ドリブルするのであればとことんドリブルする、関西弁で言うと「こいつどこまでドリブルするねん?!」という選手がいてもいいじゃないかというサッカースタイルを貫いていました。
当時の中心選手が中学校からのクラブチーム出身者でまとまって入学したという経緯もありますし、そのクラブチームのコーチであり、日本サッカー界の異端児と呼ばれている方の高校へのコーチとしての招聘も要因としてはありました。
ただ、魅了されるサッカーの根本にはスポーツマーケティングの根本とも言えるようなコンセプトがあります。
育成方針は学校(コーチ)ごとで色々あるのですが、サッカーというスポーツ自体がスポーツマンシップとルールに則った競技(戦い)であるとともに、ある種観客を集めたショーという側面もあるため、根本のチームとしてのコンセプトを「観て楽しいサッカー、やって楽しいサッカー」と掲げているところが素晴らしいと思います。
(あくまで小生にとってコンセプトと体現が共感できるもので、ある人にとっては楽しいと感じないものでもあります)
高校サッカーは育成にプラスしてスポーツ競技です。
楽しみを追求できるサッカーで勝負を挑んでいる姿が『セクシーフットボール』と表現されているところもいいのですが、何がセクシーなのかを小生なりに説明します。
サッカーというスポーツ独特の、裏、逆、をとっていく展開、それも複数の人が絡んで連動して、裏、逆をとっていく様にプラスして圧倒的な技術や精度の高さがあるところです。
相手のパワーや戦術をいなしていく様が「セクシー」であり、ある意味おちょくっているかのような様が「ちょい悪」という言葉にぴったりです。
『そこでそうくる?!』『まだいくの?!』『流れるような?!』と観てる側が次の予想外の展開をワクワクしながら観れるサッカーを体現しています。
当然プレーしている人間もやはり楽しんでいます。野洲高校出身の乾選手は、楽しそうにサッカーをしている姿が今も印象的ですね。
小生は、スポーツの醍醐味はここにあると思います。
「やって楽しい、観て楽しい」。それが共感を生み憧れを生み、また観たいという高揚を生み、発展をしていくと思います。ロナウジーニョやネイマールのように楽しそうにサッカーをしている姿を観るのが楽しいという感覚もあります。スポーツマーケティングの根本ともいえるのではないでしょうか。
小生は、セクシーフットボールというスタイルがコンテンツ化されるといいなと希望を抱いています。
いち早くフットユニオンジャパンという団体が何年か前に立ち上がっていますが、今後の動向に注目です。

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