2018年4月12日 更新

桜美林大学と産学連携!!「ディスプレイ研修合宿」レポート第二回

学生の皆さんと、店頭什器や店頭POPなどの製造現場の見学研修、ボンビ社員との懇親会、全体講義などで濃密な時間を過ごしました。研修当日の様子を振り返っていきます。ワークショップとプレゼン前までをまとめています。

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桜美林大学造形デザイン科7名を大阪本社に迎えたディスプレイ研修。

レポート第一回は、研修までの事前作業で、

①事前の課題設定
②課題分析:ターゲット商品の状況、その商品の競合商品の状況の把握
③店頭分析:ターゲット商品の状況、その商品の競合商品の売り手視点分析、買い手視点分析
④店頭で何を発信したらいいかの情報整理

までを行ってワークショップに臨んで頂きました。

レポート第二回ではディスプレイ研修当日の模様を紹介していきたいと思います。

ディスプレイ研修 1日目 

製造現場見学

ディスプレイ研修1日目。
13時に桜美林大学の学生さん達がボンビに到着されました。
1日目のカリキュラムは、ボンビという会社の説明後、各種の製造現場の見学でした。
短い時間のため、製造現場を絞って学生さん達にリアルな現場を見て頂きました。

●スチール加工(曲げや溶接現場)
●印刷加工(印刷、トムソン、組立の現場)
●成型加工(インジェクション成型の現場)
●樹脂加工(樹脂の曲げ、接着の現場)

まず、学生さん達が普段では見ることができない、『モノづくり』の実際の現場を体験頂くことで、どのような工程で、店頭什器や店頭POPが作られているのかを理解してもらいました。

(*大阪の東大阪市、八尾市、富田林市などは『モノづくり』現場の密集地帯です。スチール、樹脂、木工、紙、段ボール、店頭POPや店頭什器などの店頭販促物の製造に使用される様々な素材を扱う工場があります。さらに、印刷、表面加工、塗装、曲げ、接着、溶接、成型、抜き、仕上げなどができる工場も複数あります。自社工場を持っているボンビですが、この地域独特の『モノづくり』現場と連携してボンビはコストパフォーマンス、品質管理の両面を成立させています。)
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懇親会

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製造現場見学からの帰社後、学生さん達とボンビの社員数名で懇親会を行いました。
場所はボンビが経営するペットカフェです。営業が終了後、貸し切りで行いました。

色々な学生さんの状況を聞いたり、また、学生さんからの質問に対して答えたり、
ボンビ側は20代~50代と様々な年代の人間がいたのですが、世代を超えた濃い内容の会話ができたように思います。

ゆとり世代やサトリ世代と誰かが勝手に分類している社会通念などはどうでもいいのですが、間違いなくサブカル世代であり、デジタルネイティブ世代です。

こちらの興味としては、サブカル世代がどういう興味があるのかが気になります。プロモーション視点では、何に興味があり、どういうコンテンツをマネタイズしていけそうか、メーカー商品を売るためにどういうコンテンツとのコラボレーションなどが効きそうかなど、アニメベースで話をしたり、デジタルネイティブ世代として、IOTが発達、AIが台頭していく時代にどういう発想をしていくのかなど、意見交換をするなどしました。

経団連に属している会社は3月1日が就職活動の解禁ですが、来られていた学生さん達は、まさに就職活動前の方達で、今後の就職活動に関する話などもしていました。

手前みそですが、今回の体験と勉強で学んだことを面接で話していくと、結構面接官には突き刺さるとは思っています。ただし、多くの企業の面接官は、知識以外の人間力や、特に愛嬌などを見てくる場合もあるので、そこでは培ってきた人となりが評価されることも多いのでしょうが・・・。
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ディスプレイ研修 2日目

全体講義

Conditionality Insecurity Fear · Free image on Pixabay (2680)

学生さん達にとっては、耐える時間ではありますが(笑)、やはり講義なくして研修を終えることができないので、ワークショップ前に、講義を行いました。

よく、「アートは問題提起で、デザインは課題解決」と言われますが、個人的にはあまりそういう言葉に囚われることもないとは思いますが、この業界の商業デザインはやはり、課題解決の側面が強いという大前提から、課題解決をはかるためにどのようなアプローチをしていくのがよいかという視点でのロジック的な講義になりました。

大前提として、手法は多種多様あり、正解はないことなので、1アプローチとしての「やり方」ではありますが、

●店頭販促の役割
●店頭分析(売り手視点設計、買い手視点設計)
●コミュニケーション開発
に関して講義をしました。

重要なことは、店頭で何を語り、何を伝え、競合商品よりどれだけ存在感と優位感を出せるかということになります。

※第一回レポートに詳細を記載
さらに店頭考察と店頭販促を考える上で抑えておきたいこととして、人の特性があります。
代表的な人の特性を6つ留意しておかなければなりません。

①人は5感を通して情報を取り入れる
●視覚 ●聴覚 ●触覚 ●嗅覚 ●味覚

②五感は掛け算で強くなり、感動として記憶に残りやすくなる。
●店頭:ビジュアル(視覚)× サウンドロゴ(聴覚)
●店頭:ビジュアル(視覚)× 香りテスター(嗅覚)
●店頭:ビジュアル(視覚)× 剤型テスター(触覚)

→5感に訴えかける体感ツールは非常に有効。

③店頭で五感を刺激するための要素
●対比
●新奇的変化
●顔の検出

④人間の能力として静止した文章でも1秒間に読める文字数は10文字程度。

⑤男女による違い
男性は棚前90cmに立って眺める傾向にある。
女性は棚前30cmに立って眺める傾向にある。

⑥店内コミュニケーションタイム
商品検討時間は平均でおおよそ30秒前後と言われている。
情報接触時間はさらに短い。
講義の前半はストラテジックな話をしましたが、ディスプレイ(店頭販促物)のデザインは、ストラテジックな部分だけでは成り立ちません。
コンストラクション(設計)能力も必要になります。
さらには、素材知識、加工知識、敢えて言えば素材理解、加工理解が必要になります。

重要なことは『見え方』です。
この『見え方』の表現に、素材理解と加工理解を駆使します。
与えられた条件(予算)でどれだけコストパフォーマンス(安いだけではなく、より良く見せる)を出せるツールにできるかが勝負どころになります。
販促物デザインに必要なこと

販促物デザインに必要なこと

『見え方』には、自由な発想が必要です。

常日ごろから、目にとまるもの、オブジェなどに対して、素材の性質を生かしながら、加工を加えてどのように表現しているかを自分にインプットしておくことが重要になります。

さらには、面白く見せるノリが必要です。
ここでは出せませんが、発想が顕著な面白い店頭販促物をピックアップして、その面白さが、何を訴求しているのか?アテンション力なのか、リマインド力なのか、商品理解なのか、ワクワク感なのかということを交えて説明をしました。

店頭ディスプレイの中には、広告主と作り手がノリノリでつくった様なものもあります。
決裁まで持っていく『ノリ』というのも重要ですね。

よく言われますが、『緻密さとノリ』の両立が必要な業界ではあります。

ということで第二回レポートは終ります。
第三回レポートではワークショップとプレゼンの模様を記したいと思います。

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