2017年10月16日 更新

変化してきた店頭ツールの素材たち、リスクがあっても木材を使用する理由とは?

店頭マーケティングの専門家としても名高い、POP研究家の向坂文宏が、木材を使ったメーカー什器や店頭POPが近年増えつつある理由に迫ります。

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木材を使ったメーカー什器や店頭POPが増えている?

最近、量販店を視察していてあることに気がついた。「あれ?木材を使ったメーカー什器やPOPが増えていないか?(20年ほど前にはよく見られたけど、最近はあまり見なかったのに、、、)」。もちろん、今でも木材を使用した什器やPOPを見かけることはあるが、その多くは、例えばアパレルショップやセレクトショップなどの店舗が用意したものだった。木材を使用した什器やPOPは、温度や湿度による変形やカビが生えるなどの可能性があり、店員さんによるチェックやメンテナンスが必須だからだ。メーカー什器やPOPの素材として使用してしまうと、それらの事象が起きてしまったときに量販店の店員さんの手を煩わせてしまうため、メーカーとしてはなかなか採用が難しい。
そのような理由で私も店頭ツールに使用する素材としての「木材」にはネガティブなイメージを持っていたのだが、最近はどうも様子が変わってきているようだ。もし、什器やPOPのデザインとして木材の素材感が必要だった場合は、木目が印刷されたシートを使用して素材の雰囲気を出せば目的は達成していたはずだ。しかし、あえてリスクの高い本物の木材を使用しているものが目に付く。試しに、どのようなメーカー什器やPOPがあるのかチェックしてみた。
携帯電話、ヘッドホン、音声レコーダー

携帯電話、ヘッドホン、音声レコーダー

携帯電話の単品展示台、スピーカー

携帯電話の単品展示台、スピーカー

ヘアブラシ、スタンプ

ヘアブラシ、スタンプ

手帳、財布

手帳、財布

改めて見てみると、実に様々なカテゴリーで木製の什器やPOPを見ることができた。携帯電話、音声レコーダー、スピーカーなどの家電商品、ヘアケア用ブラシやスタンプなどの日用品、手帳や財布などの日用雑貨などだ。まだまだ探せば発見できるだろう。ちなみに、従来からよく見られる「木材」の素材感をデザインに組み込んだものはこんなイメージだ。
マルチリモコン、ウォーターサーバー

マルチリモコン、ウォーターサーバー

実際はスチロール板や樹脂で作られた什器や製品にシートが貼られ、木の雰囲気のデザインとしている。木目調シートのため、天面と側面の両方に木目が入っており、実際の木材と比較するとおかしな文様となっているが、木製の雰囲気を醸し出すには十分であると思う。そして、何よりもこの製造方法であれば、木材独特の管理上のリスクもない。ではなぜ、今、本物の木材を使用したものが目に付くのか。それには、下記のことが考えられるのではないだろうか。
1.リアル店舗ならではの店頭ツールの在り方として、本物志向が現れてきている。
2.木材の加工が容易になってきている。
3.ロット数の減少から、一つひとつの店頭ツールへの拘りが強くなっている。
1.は、メーカーがリアル店舗とネット通販の在り方を考えたときに、必ず通過する考え方だと思う。リアル店舗では、実際の商品に触れることができる。その時に、商品の品質や世界観を表現する店頭ツールのデザイン要素として「木材」というキーワードが出てきた場合、できるだけ本物を使用した方がよりあるべきデザインに近づくであろう。
2.は、「木材」というキーワードが出てきたときに、実際に製品化するためのハードルが下がってきていることを意味している。R加工などの木材加工も容易になってきており、加工が容易になることは製造費削減にも影響する。また、金属に比べて軽い点でも素材として採用しやすくなっているのだろう。
3.は、メーカー什器やPOPを取り巻く外部環境の変化である。ひと昔前に比べて現在は製造ロットが少なくなったという声をよく聞く。であるならば、せっかく製造する什器やPOP一つひとつに対して拘りが強くなるのは当然の流れだと思う。そのような点でも本物志向が強まっているのではないだろうか。
以上は仮説ではあるが、メーカー什器やPOPの素材に対する考え方や捉え方は、ここ20年ほどで大きく変化してきているのは事実である。木材の使用に関しては、素材のリスクを避けるより積極的に使用する方がメリットが大きいと考えられたため、事例が増えているのだろう。この、「素材」を切り口に改めてメーカー什器やPOPを眺めてみると、これから求められる店頭ツールの在り方や考え方などがより理解できそうな気がしている。引き続き、素材に関してはもう少し掘り下げて調べていこうと思う。

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