2021年11月22日 更新

売場の変化を追え!シリーズ 第一弾スーパーを観ると面白い! 

情報のトレンドは店頭にあります。店頭の展開を追っていくと、並べられている商材と発信している情報で世相が分かるものです。今回はあるスーパーの定点観測をチラ見せして、店頭観察の面白さを紹介します。

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マーチャンダイジング

非常におもしろい!
ライフさんの店頭をつぶさに観察していくと感動を味わう。
お店側の「熱気」「賢明さ」が伝わる売場になっている。

売り手側の視点設計

プロモーション業界において、メーカーさんがクライアントになる立場で仕事に携わっている人は、流通さん側の視点で店舗マーチャンダイジングを捉える意識に欠けているところがあると思う。

売る側の視点設計は、「メーカーとしての売る側の視点設計」と「流通としての売る側の視点設計」の両方を考えることが重要である。

「流通としての売る側の視点設計」とは店舗回遊と客単価アップに目的がある。
そして、人間工学と購買プロセス考察に基づき、導線を引いて商品陳列をしている。
どういう手順でターゲットとなるショッパーが買い物をするかを考え、ショッパーに回遊しながら買い物の軸を定めてもらい、さらにビジュアルマーチャンダイジングやクロスマーチャンダイジングや今購買すべき理由を発信することで、客単価アップを見据えて、ショッパーが買い物という行為に必要性を感じたり、ワクワク感を感じることができるよう工夫をしている。

マーチャンダイジングでまず最も重要なのは、
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)である。
視覚的に高揚を促す商品陳列のことであるが、ライフさんの場合は野菜や果物の陳列工夫はデコレーターが陳列しているのかと思う程美しく並べられている。
カット売りやパッケージ売りも素晴らしく美しく、ワクワク感が醸成される。
続いて、スーパーでは特にクロスマーチャンダイジング(クロスMD)が重要視されている。
それぞれの商材で定められている場所以外の売場で、関連性の高い商品や親和性の高い商品を一緒に売ることである。例えば、「お弁当や惣菜とお茶」、「冬野菜と鍋の素」、「肉と焼肉のタレ」などがそうである。これで『ついで買い』を促進して客単価アップをはかる。
「メーカーとしての売る側の視点設計」は流通側の視点設計とは異なる。
流通側は、回遊と客単価が上がる設計をしており、その導線で、どの商品が売れてもよい。
もちろん利幅が大きい商品が売れることに越したことはないが。
メーカーは、店舗回遊の導線の中で与えられた特定の場所で、上下左右に競合商品がいる中で、
存在感を保ち、ショッパーに手に取ってもらって選んでもらう必要がある。
そのためのビジュアルマーチャンダイジングが必要である。
これは、コミュニケーションデザインであり、ショッパーとどのような会話(コミュニケーション)をその与えられた位置で、競合商品よりも優位に立ち進めることができるかを、デザインで表現しないといけない。

メーカー側のビジュアルマーチャンダイジングは、置かれる場所、つまり、
定番なのか、プロモーション棚なのか、エンドなのか、アイランドなのか、隙間なのか、
クロスMDとしてなのか、などで変容する。

この陣取り(場所取り)が、メーカーと店舗の商談になる。
メーカーは商品を何個仕入れてもらって売上が上がったという商談以外にも、
お店のどのような場所でどのくらいの陳列量で、どんな販促施策が打てるか、なども同時に商談をして、ショッパーに商品を買ってもらいやすく店頭展開できるよう流通側に働きかける。

その商談のためにメーカーは色々な広告を仕掛け、店舗外でのプロモーション施策を仕掛け、店頭誘引をしていることをアピールして売場を取りにいき、マーチャンダイジングを考えるのである。

セルイン、セルアウト

上記のような、メーカーと流通との売り買いを「セルイン」と呼び、ショッパーが店舗で商品を買うことを「セルアウト」と呼ぶ。

「セルアウト」つまり店舗で実際に商品が回転する(買われる)という施策を以って、「セルイン」つまりどのくらいの数を店舗のどの位置で展開するかの商談が行われる。

つまり、売り手側の視点設計、
●流通側の売り手の視点設計→回遊と客単価アップを見越したマーチャンダイジング
●メーカー側の売り手の視点設計→デザインコミュニケーションマーチャンダイジング
を考えながら店頭考察をすることが重要であると考える。

そこには当然ながら、買い手の視点設計も考慮される。
上記で記した通り、今買うべき理由を感じるか、ワクワクできるか、が重要である。
そして、アテンション力があり、リマインド力(想起)があり、商品理解促進力があり、商品比較力があり、信じる理由や買うべき理由があるかどうかが重要である。

店頭リサーチ

まず、そのお店の回遊意図を探るために陳列略図を作る。
スーパーの場合は野菜コーナーがあり、魚コーナーがあり、肉コーナーがあり、真ん中に加工食品や調味料、菓子類があり、乳製品や飲料、酒、冷凍食品、パン、スイーツ、惣菜弁当などが並ぶ。
レジ周りは、ガム・飴、ガスボンベ、マスク、電池、エナジードリンク、タバコなどが主流だ。
レイアウト略図

レイアウト略図

6月と10月での売場比較

今回は店頭での変化に着目をして、6月~10月での売場変化を特集したい。

ウナギコーナー

6月での観測は、土用の丑の前だったこともあり、予約受付とウナギ販売を大々的に行っていた。
この打ち出しは、夏に向かっていく気分を上げる仕掛け力を感じる。
6月度売場土用の丑予約展開

6月度売場土用の丑予約展開

10月度の観測ではうなぎコーナーはまだ健在だった。夏場ほど大きく打ち出されていないが、初めて知ったが10月末~11月頭は秋の『土用の丑の日』だそうだ。
ネットで調べると、立冬の直前にあるのが、秋の「土用の丑の日」。 夏の疲れが表れやすい時期。 2021年の秋の土用は10月20日から11月6日まで。 秋の土用では、「辰の日」に「た」のつく食べ物または青魚を食べると良いと言われ、大根や玉ねぎなどが好まれてきたそう。

ということでまだまだウナギコーナーは売場面積を取っている。
10月度売場 秋の土用の丑展開

10月度売場 秋の土用の丑展開

メーカーとのコラボ売場

6月度のウナギ売場の裏手で大きく展開されていたのが、マグロ売場。
こちらはモランボンさんとのコラボ売場になっていて、『まぐろ丼のたれ』や『まぐろユッケ丼のたれ』とのクロスMD販売が展開されていた。
サイネージではモランボンの商品動画が流れていて、ショッパーに対してのプレゼンテーションが行われている売場になっている。
こちらは、7月、8月と継続されて展開されていた。

メーカーとしては、このような展開ができると非常にありがたいと思われる。
3ヵ月売場が続いていた結果を見れば、商品の回転も良かったのだと思われる。
6月度売場 まぐろ展開

6月度売場 まぐろ展開

10月度の展開は、まぐろは終わり、旬のサーモン売場に変わっていた。
同時にモランボンさんの製品も撤去され、1季節陣取っていた売場が様変わりしていた。
店側は売りのポイントを作り、売場の鮮度を保ち、ショッパーのワクワク感を醸成するようにしっかりポイントプレゼンテーションを行っている。
10月度売場 サーモン

10月度売場 サーモン

中央アイランド

店舗中央は特設売り場になっていてアイランドが作られている。

6月度~8月はそうめん系の売場になっていた。

麺とつゆのセット。
こういう売場はたまらない。季節にあわせた売場づくりと演出は購買意欲を掻き立てられる。
6月度売場 そうめん系

6月度売場 そうめん系

10月度の売場は、そうめん系から変化して、鍋の素売場となっていた。
グローサリー商材が多いが、ミツカンの商品が面積を多くとっていた。

鍋の素グローサリー商品は、野菜売場でも肉売場でも大々的にクロスMDが展開されている。
回遊を考えると、カゴに入れるタイミングとしては、肉売場や野菜売場で入れる方が多いようにも思われる。
10月度売場 鍋も素コーナー

10月度売場 鍋も素コーナー

季節のシズル演出

6月度の演出は『夏』ということで、夏演出。
要所要所に白くまや、ヤシの木が演出されていて、使われる布類は清涼感を感じる色で展開されている。
6月度売場 夏シズル演出

6月度売場 夏シズル演出

10月は、ハロウィン展開。
お店がハロウィン大作戦というキャンペーンを行っていたこともあり、
パンプキンお化けが要所要所に展開されている。
同時に紅葉のツタのガーランドが要所要所で複数飾られていて、『食欲の秋』が演出され、
パーティ感と相まって購買意欲を高める作用をしている。
10月度売場 秋シズル演出

10月度売場 秋シズル演出

お酒のアイランド展開

6月度では、ハイボールの推奨で、角瓶やジムビーム、ジンの『翠』が大々的に展開。
3ブランドともにサントリーの商品のためサントリーのアイランドとなっている。
向日葵のガーランドとサテン布の色なども夏シズルが出ている。
商品にはベタ付けのノベルティがついているため、今買うべき理由である直接購買動機付けができている。
6月度売場 酒トピックアイランド

6月度売場 酒トピックアイランド

6月度売場酒トピック

6月度売場酒トピック

10月度のこの売場は「ビオラル」というライフのプライベートブランドの商品が陳列されていた。
ワインとワインのおつまみとして美味しそうなナッツ&フルーツが展開。
サテンの色も変化し効果的に演出されている。
10月度売場 ワイン

10月度売場 ワイン

BOSSカフェベースコーナー

6月度から変わらず大きな売場をとっているのが「BOSSカフェベース」コーナーだ。
エンド両脇の通路側にも展開されている。
場所や目線的にもアテンションが効いているため、来店客の80%以上の目に入っていて認識されていると思われる。
6月度売場 BOSSコーナー

6月度売場 BOSSコーナー

10月度も変わらず大々的に陣取られている。
さらには、秋冬仕様のホット商品が展開されていて、売場が拡充されている。
日経MJに掲載されているPOSSデータでは上位にランクインされていたが、強さを感じる。
10月度売場 BOSSコーナー

10月度売場 BOSSコーナー

10月度売場 BOSSコーナー

10月度売場 BOSSコーナー

3つ以上お買い上げで掻き混ぜ棒をプレゼントという販促を行い、複数購入を促進している。
掻き混ぜ棒があると、さらなるリピート購入に繋がることもあり、非常に有効な販促となっている。
10月度売場 BOSSコーナー

10月度売場 BOSSコーナー

エンド展開

複数あるエンド展開は、すべてチラシのSALE品と連動しており、SALE品が陳列されている。
これは毎月変わらずエンドはSALE品がとっている。
6月度売場 エンド一角

6月度売場 エンド一角

10月度売場 エンド一角

10月度売場 エンド一角

長期的なクロスMD展開

お弁当や惣菜コーナーには伊藤園のお茶什器がクロスMD展開されている。
6月度も10月度も若干の場所移動はありながらも不変の展開であった。
永谷園の「お吸い物 松茸の味」も季節に関係なく展開されていて、
継続購入されていると思われる。
6月度売場 お弁当コーナー

6月度売場 お弁当コーナー

10月度売場 お弁当コーナー

10月度売場 お弁当コーナー

今回は売場の変容を主に伝えてきた。

売る気が満ち溢れているスーパーの売場を観察するのは非常に勉強になるし、面白い。

演出の工夫が成されていて、その中で、メーカー側が商品陳列のために色々な工夫をして
商談に臨んでいるのが分かる。

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