2024年4月4日 更新

【最終回】ニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC vol.7 エピソード2

7回目になるニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC。世界の中心とも言われるニューヨークの様々な販売チャネルの店頭を洞察してきた。今回は店員同士の会話模様。

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顧客×店員

3月、冬から春へと季節が移行する狭間のニューヨーク。
現在の店頭は極めてニュートラルな状態。季節色のある
プロモーションやセールといった特別な動きはない。

しかし、本レポートがスタートした2022年と比較して
売り場の空気が違う、活気が満ちている。

活気の正体は“人の会話”だった。

顧客と店員
顧客と顧客
店員と店員

人が言葉を交わしている。

コロナ禍で店頭から一時消えたもの。デジタルの台頭によるオムニチャネル化が進み、人の役割は縮小されるのかと思われたが、小売の現場における人の役割は、
むしろ明確化されたように見える。
これまで観察を続けてきたニューヨークの店頭は、
合理的の一言に尽きていた。

クリスマスやハロウィン以外のセールに関してはウェブやアプリでのプロモーションをメインにし、店頭では他のシーズンでも使い回せる「SALE」の表示だけでプロモーションを済ませ告知物の制作コストを下げる。

BOPIS・セルフレジの導入も迅速に行われるなど
必要なところに、必要なだけの労力を割き、
他は切り詰め、研ぎ澄ます印象のマーケットだった。

そんなニューヨークの店頭に“人”が戻っている。
物を買うならネットで十分。
高額な人件費はリスクである。
しかし、ニューヨークの店頭から“人”は排除されない。

ニューヨーク店頭洞察の総括として、店頭における“人”の役割を改めて洞察する。

顧客と店員の会話

 (8656)

顧客x店員

店内にスタッフが多いと、自然の店のあちこちで
顧客と店員の会話が発生する。

鍵付きの棚から商品を取りたいという事務的なものから
オススメの商品を聞く、といった意見をもらいたい場合など。

そこに人がいる、だからすぐに聞ける。
納得がある。満足がある。

そのコミュニケーションが店内に活気をもたらしている。

BEST BUY

贅沢品だからこそ、話して、納得して買いたい。

贅沢品だからこそ、話して、納得して買いたい。

高額品ほど、ネット決済ではなく説明を受けて購入する。

高額品ほど、ネット決済ではなく説明を受けて購入する。

Trader Joe's

列をコントロールする店員も、商品の場所などをケアしてくれる。

列をコントロールする店員も、商品の場所などをケアしてくれる。

CVS

セルフレジを使う顧客をサポートしつつ、雑談もする。

セルフレジを使う顧客をサポートしつつ、雑談もする。

DUANE READE

鍵付きの商品棚を開ける際に会話が生まれる。

鍵付きの商品棚を開ける際に会話が生まれる。

まとめ

どの写真も客と店員が同じ方向を向いている。

もちろん撮影の立ち位置と状況タイミングがあるのだが、
日本の接客は『対面接客』というイメージが強い。

アップルが、というより、Iphoneを引っ提げてアップルが店舗を出した時の
接客に違和感があった。それは店員が客の横に立ち接客をすること。

Nose to Noseの接客ではなく、Hip to Hipの接客である。
Nose to Nose

Nose to Nose

Hip to Hip

Hip to Hip

Hip to Hipの接客、つまり同じ方向を向いて接客する方が、
共生している感じが生まれる。
同じ方向を向くことで、この買い物をすることで待っている明るい未来を
一緒に考えている感が出る。

三つ指を立てて「いらっしゃいませ」とか、マニュアル通りのお辞儀から始まる「いらっしゃいませ」の接客は奥ゆかしいのであろうが、どこか無機質でもある。

よく考えると、「いらっしゃいませ」と「May I help you?」はそのニュアンスは
全然違ってくる。May I help you?の日本語訳は「どうなさいました?」
は腹落ちするが「いらっしゃいませ」ではない。とまで思えてくる。

場合によるが出来る限り横に立ち接客することで、小売りのブランディングになる可能性はある。
どのように接客するかというのは非常に大切である。

了。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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