2025年4月22日 更新

小売店考察 地域密着型の食品スーパーマーケット マルト

福島県いわき市に本社を置く、地域密着型の食品スーパーマーケット、マルトに行ってきました。 店舗内も色々見たので簡単にレポートします。

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小売店考察 地域密着型の食品スーパーマーケット マルト

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株式会社マルトは、福島県いわき市に本社を置く、地域密着型の食品スーパーマーケット。
福島県と茨城県に37店舗を展開しており、地域のお客様の食生活を支える重要な役割を担っている。

事業内容の特徴

●地域密着: 福島県いわき市を中心に、地域のお客様のニーズに合わせた商品展開とサービスを提供。
●鮮度と品質: 鮮魚をはじめ、青果や精肉の鮮度にこだわり、お客様からの信頼を得ている。いわき中央卸売市場から直接仕入れるなど、新鮮な食材の提供に力を入れている。
●価格への取り組み: より良い商品を安く提供するため、日々努力している。
●多角的な展開: スーパーマーケット事業の他に、衣料品販売(株式会社ファミリー)、ドラッグストア・調剤薬局(株式会社くすりのマルト)なども展開するグループ企業である。
●CGCグループ加盟: 日本最大のコーペラティブチェーンであるCGCグループに加盟しており、スケールメリットを活かした商品開発や仕入れを行っている。
株式会社シジシージャパンは、一社でプライベートブランド (PB) 商品を開発する大手総合スーパーに対抗し、中堅・中小規模の食品スーパーが集まり、共同仕入れ・PB商品の共同開発を行うため、1973年10月27日に設立された。スーパーマーケットの共同出資によるコーペラティブ・チェーン(ボランタリー・チェーン)として「CGCグループ」の本部機能を担い、プライベートブランド「CGC」を展開している。

「CGC」の名称は「Co-operative(共同)Grocer(食品雑貨)Chain(チェーン)」に由来する。コーポレート・スローガンは『みんなの「いただきます」をもっとおいしく。』である。
via wikipedia

SHOP & GO

「SHOP&GO」は、スマートフォンを活用したレジシステムだ。
マルトでは、一部店舗にこのシステムを導入している。
専用のスマートフォンアプリ「Shop&Go」を自身のスマートフォンにインストールするか、店舗で貸し出される専用スマートフォンを利用。
買い物中に商品のバーコードをアプリでスキャンし、商品をマイバッグに入れていく。
会計時には、専用のセルフレジ精算機にスマートフォンに表示されたQRコードを読み込ませ、支払いを行う(現金、クレジットカード、電子マネーなどに対応)。
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店頭DXを進めている。
会員カードの利用者は多いが、会員がアプリをダウンロードするようになると
CRMとしてももっとデータドリブンができて、客単価と来店頻度を上げるような施策へと結びつけることができるかもしれない。

マーチャンダイジングと店頭販促物

ブルボン プチ

売場で目立ったのはブルボンのプチ。
味の種類が多いのと、人気商品のため大規模に展開されている。
特設売場のVP(Visual Presentation)的な役割を担っていて、レジに向かう通路脇にお菓子売場を
設けることで、『最後のひと手伸ばし』、つまり『ついで買い』を促進している。
セルフレジ近くにお菓子売場に沿わせて床に誘導POPが貼ってあるのも『買わせるためのひと工夫』といったところか。
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プチは、エンド脇のサイドネットにも専用什器で陳列されていて、目立つ。
スーパーでは本当に強力な存在感がある。
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ロッテ 母の日コーナー

ロッテの特設売場も設けられていた。
母の日の告知とともにチョコレート菓子が島陳で展開。
メーカー側というより、お店側がつくっている節がある。
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入口のビジュアルプレゼンテーション

入口のVMDは非常に重要である。
この日はメロンなどの果物が初っ端に目に飛び込んできたが、
オレンジ色が大半を占めていた。

店頭販促物に目を向けると、サンキストの抱っこちゃん型のエアPOPが可愛くて、
アテンション力があった。複数使いがVPになっている。
だっこちゃん人形の形は什器に色々とつけることができるため、季節商材なんかの売場で活用しやすい。
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作り手が見える売場

さらに、行くと、野菜のトレーサビリティ売場があった。
作り手の顔が見えるのは、農作物ではすごく大切だと思う。
食べる時に、作り手の顔を思い浮かべたり、同じ食材でも一味違うものになる。
さらに、食卓でのコミュニケーションも活性化される。
エンゲージメントが醸成される。
地域密着型の店舗展開であればこそ、
チラシや広告などに起用するモデルなどを、地場の人に出演していただくとエンゲージメントが高くなるし来店頻度も上がる。
街の有名は『おっちゃん』『おばちゃん』、結果を出したスポーツ有能な学生、オーディションで子供。そんな地場の人の出演は非常に効果があると思われる。
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パリピ

店長のおすすめ。
そういうコーナーとPOPは非常に重要である。
情報収集力、取材力も問われる。

今回は、パリピ!
「パーティーピープル」の略ではなく、「パリピーマン」の略である。
広島の居酒屋「バルタン本店」で提供される人気メニュー「パリピーマン」の味を再現した味噌
が販売されているが、これもバイヤーの情報収集力になる。
ピーマン売場でのクロスマーチャンダイズだが、こういう書き方をされると購入してしまう。
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高級感と美味しそう感を出すパッケージの妙 Cook Do

味の素のクックドゥ売場が目に飛び込んできた。
「極」シリーズのパッケージは非常に良い。
シンプルなデザインでベタ面の面積が多いが、マット調の表面加工をしていることで
すごく高級感が出ている。マット+金箔の組み合わせは鉄板である。
さらにベタの色味が、赤(回鍋肉)、紫(茄子)、黒(豆腐)とシズル感も演出出来ていて、
シンプルに高級感のある味わいを想像してしまい、美味しそうだと思ってしまう。
「麻婆」の辛味に対する高級感が脳内補完される。
特に麻婆豆腐は黒色が、「麻」=「山椒」の辛味がグッと想像されてしまう。
売場の前に立った時に「美味しそう」とつぶやいてしまった。

写真ではない手法でのシズルの出し方がすごく秀逸だと思う。
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小型サイネージの活用

納豆売場に小型サイネージが設置してあり、およそ納豆に似つかわしくないコンテンツが流れていた。
「ねばーるLOVE」という送り画アニメが流れていた。
納豆と恋?であるが、ねばるが勝ちなのかな?

コンテンツは恋愛物語にかけた商品説明であるが、これが『ある』『ない』では『ある』方が確実に買われると思われる。
競合商品が上下左右に陳列して同様に情報発信がされている売場では、こういう店頭販促が行われている商品が売れる。
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キャンペーン ツアーを複数場所で展開

ごまバスツアー。
買ってポイントを集めて応募型であるが、
ツアーが、色々な場所起点で行われている。
日帰りにするとこういう複数場所ツアーもやりやすいのかという発見になった。
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マッチングPOP

メーカーが出しているPOPだが自社商品を買わせたいわけではなく、チーズカテゴリー全体を活性化させるPOPとなっている。
ここでクロスMDをして酒類も店側がチョイスしたものを置いておけば、ついで買いを促進できる。
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売る気を感じる特設エンド

広島のスーパーマーケット、「フレスタさんで修行をした~~~~」と
広島の地域密着型スーパーの情報を出したお店独自のPOPでのエンド展開が面白い。
音声POPをうまく活用して、専門店感も出している。
しっかり広島のオタフクソースの店頭販促物を使い、お好み焼きのシズル感を演出している。

面白いポイントは、ソースの販売コーナーではなく、お好み焼きや焼きそばの「惣菜」を陳列してあったところだ。
ちゃんと小分けのマヨネーズも陳列してあるところが気が利いている店側の細やかな対応である。
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地域密着型である姿勢

新聞、雑誌に限ってだが廃品回収コーナーを設けている。
地域密着型の店舗ならではである。
こういうことってすごく重要だと思う。

持続可能な社会の形成には、住人全員の意識づけが重要であるが、
例えば、『その場』を設けることがないと意識づけできなかったりもする。
今回は、『回収する場』、そして『リユースに向かう場』が街中にあることで意識づけができるという社会的責任を伴った行動の促進ということになる。
場や機会を設ける使命を地場の小売り店が創っているわけである。
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株式会社マルトは、地域のお客様にとって「近くにあってよかった」と思われる存在を目指し、日々の食生活を豊かにするために貢献している企業と言える。

くすりのマルト

スーパーマーケットに併設をして、ドラッグストアを展開している。
その横には保育園も運営されている。
地域住民に密着し寄り添った企業であることが分かる。
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この季節はこの売場が拡張

この時期は、虫ケア商材の売場が拡張される。
もれなく入口付近で虫ケアコーナーが設けてあった。
虫ケア商材にとっては一番の商戦期である。
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CRMがすごく大切

ID-POSマーケティングが主流の時代。
会員登録をしてもらって、カードを発行して、アプリを使ってもらって、購買してもらう。
ポイントも含めたCRM(カスタマーリレーションシップマーケティング)は、継続して店舗利用をしてもらい、競合会社の店舗に行かせないための囲い込みとしても非常に重要である。

アプリまでではないが、来店時に店舗カードをピッとすることの習慣化を促進している機器となる。
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異質な場所にあったプチ

プチの売場は目立つ。
ただ、オーラルケアコーナーでエンドが形成されている脇にプチ売場がつくられていたのが不思議だった。その列の定番もエネルギーチャージ系の商品棚になっていて、クロスMDとしても成り立たないので異質な場所にある印象を受けた。
「プチを食べたら歯を磨こう」とはならない。。。。
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絆創膏の変遷

昔はとにかく切り傷やすり傷には、オキシドールなどの消毒薬をかけて、絆創膏をしていたが、
いつ頃からか、絆創膏貼ると治りが悪いなどと言われるようになった。
調べると、その解釈はある意味合っているが、正しくはない解釈である。
そういった変遷を踏まえてこのPOPにあるコピーを見ると、
今はこういう表現をするのか、、、、と感慨深い。

ファクト→メリット→ベネフィットでのキーメッセージを考えて、コピーを導く場合もあるが、
自分自身の治癒力を体験するという段階になったのか、、、、という感慨深さである。

POPのギミックというより、絆創膏自体のコピーが非常に気になった。

あと棚から垂直に出ているPOPも面白い。透明PETで作っているから邪魔感もない。
思わず下からも見てしまった。
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さいごに

マルトの店舗を実際に目にすることで、デジタル技術の導入による効率化と、手書きPOPなどのアナログな販促物の温かみ、そして顧客の購買意欲を刺激する洗練されたマーチャンダイジングやクロスマーチャンダイジングが融合し、地域に根差したスーパーマーケットとしての活力が、来店者一人ひとりに確かに伝わる空間であることを確信した。

プロモーションに携わるとメーカーと流通との商談に向けての施策を考えることが多いが、
「こう売れていたらいいな」という理想像をまず掲げて、そこからのバックキャストで
キーサクセスファクターを羅列、因数分解し、それぞれのキーサクセスファクターにKPI設定をしてデータドリブンしていくことが重要だと考える。
了。

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