2018年1月26日 更新

当たり前って難しい。店頭POPと店頭什器のデザイナーの独り言

そんなこと当たり前だろ。学生のときも社会人になってからも、よく言って、よく言われた言葉です。言った方はちょっと心地よくなり、言われた方は何だか恥ずかしい。でもその『当たり前』は知っていただけ。『当たり前』を使う・作るって本当は難しいのです。店頭POPや店頭什器のデザイナーにとって当たり前とは?

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デザインの「当たり前」

「デザイナー4年もやってるけど、当たり前のことができない…」と最近友人に悩み相談をされたデザイナーのUです。
私の友人が何を基準に「当たり前」と言っているのかは知りませんが、デザインにおける「当たり前」を完璧にこなせる人っているのかな?と思うのです。
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デザインの本質を知る番組『デザインあ』

ところで、『デザインあ』という番組をご存知でしょうか?
NHKのEテレで子供向けにやっているのですが大人でも十分楽しめる番組でよく見ています。

工業デザイン、グラフィックデザイン、服飾デザイン、建築デザイン、照明デザインなど、様々な分野を取り上げて、普段私たちの身の回りに「当たり前」に存在しているモノを「デザイン」の視点から徹底的に見つめ直し、斬新な映像手法と音楽で表現しています。

あるコーナー『FONT BAR』

番組の中でFONT BARというコーナーがあります。CGグラフィックスで構成されたアニメーションで、バーのマスターと2人のお客がお酒を注文する様にフォント(書体)を注文して鑑賞するという、クスっと笑えるコミカルなコーナーです。

私が見た放送では游明朝体(ゆうみんちょうたい)という書体が登場しました。
この書体は時代小説を読みやすくするために字游工房(じゆうこうぼう)がデザインした書体で、
特徴として小塚明朝やヒラギノ明朝などと比べて書体のカドが丸みを帯びているという事です。
また、ひらがなは同じサイズにせず、文字ごとの形を生かして縦長だったり横長になっています。

一見、一文字だけ見るとなんてことの無い書体でヨコ組の文章なんかにすると文字がアンバランスなのですが、小説のようにタテ組で見ると…?!なんと不思議!明らかに読みやすいのです!

漢字は明確にはっきりと目に入り、それでいてキツさが無い。ひらがなは柔らかく流れるようで読みやすい。
とても驚きました!
字游工房とは、書体デザインを中心に文字に関わるさまざまな仕事をしている会社のことですが、字游工房はこの書体を製作するのに5年かかったそうです。
私たちが当たり前に目にしている文字は苦労無くしては作れず、そして使う人のセンスも要求されるのです。

「当たり前」を使うには「当たり前」の能力がいる。

最初の友人の話に戻りますが、後日友人から、「デザイナーやってるけど当たり前のことができない」という悩みの内容を詳しく聞くと、ポスターのグラフィック構成がうまくいかないということでした。

友人「なんでっ?! あのポスターと同じモデルの写真を使っているのに!… あの雑誌と同じフォントを買ったのに!…」
私「そんなの使うからうまくいかないんじゃないの?」

どれだけ見ていたり知っていたりするものでも、それをコントロールできる能力がなければどうやっても上手くいかないと思うのです。

自分で撮った写真や自分が慣れ親しんだ書体を使って、今持っている技術でポスターを構成する。それが良いのではないでしょうか。

私もデザインをする時はどうしても背伸びしてしまいがちなのですが、そうすると、失敗することが多いです。
そしてこれらはデザイン以外でも言えることでしょう。

店頭POPや店頭販促物へのデザインアプローチ

上記を踏まえて、今携わっている店頭POPや店頭販促物のデザインを考えていくと、単純な平面的なグラフィックデザインではないことに気づきます。
もちろん、ストラテジックに構築して、ターゲットインサイトからベネフィットを考察し、キーメッセージを考えてキャッチコピーやタグラインを考えて、インスピレーションからのグラフィックデザインを施しながらキービジュアルを創る、ということは重要です。

しかし、平面だけで収まらず、販促物が使われる場でのオペレーションの側面からの形状を考えたい、目を引くデザインとしての形状を考えたりも必要になります。
さらに上下左右から競合商品が情報発信をしている中での、『アテンション』、『リマインド』、『商品理解』を促進して、購買動機付けに繋げるというミッションがあります。
今買うべき理由を発信できるかどうかが重要です。
そこには、薬事や公取に引っ掛からない前提で、誇張表現が必要な場合もありますし、使用する素材などの知識、加工理解なども「当たり前」のこととしてデザインしていかなければなりません。
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そんな「当たり前」をしっかり作って、人の印象に変化を与えることができるようになりたいですし、人の購買行動を変える力を持ちたいと思います。

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