2023年12月8日 更新

「1年を経て」ニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC vol.6 エピソード3

6回目になるニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC。洞察をはじめてから1年を経た。 この1年でニューヨークの店頭事情は変容したのだろうか。エピソード3ではCVS / Duane readeを洞察。

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2022年10月、本レポートのvol.1を発行するにあたり観察したニューヨークは
“様子見”をしている状態だったと言える。

店頭のスタッフは削減されたまま、オンラインでの販売が主力となった状況下で
店頭の商品棚は欠品があっても補充されないままの箇所が目立っていた。

それから1年。
2023年10月のニューヨークは、経済・文化の中心、観光都市としての姿を取り戻した。

街にはあらゆる国籍の人々が溢れ、
タイムズスクエアなどの観光スポットでは、満員の観光客を乗せた
観光バスが、道路を埋め尽くす自動車のクラクションを受けながら走りまわっている。

完全に本調子といかないまでも、8割型本来の姿に戻ったというのが大筋の見方だ。

そんなニューヨークの店頭は、今どうなっているのか。
1年を経た店頭の変化を観察・洞察する。

エピソード3 CVS / Duane Reade の洞察

CVSはアメリカ最大の薬局チェーンの1つで、全国に9,800店ほどを展開している。
CVSケアマークの小売り薬局部門として、CVS/ファーマシー、ロングスドラッグスといった小売店およびcvs.comによるオンライン販売を通じ、処方薬のほか、美容用品、化粧品、写真現像、季節商品、グリーティング・カード、食料品といった一般商品を販売している。
また、MinuteClinic、Diabetes Care Centersを通じて、健康管理サービスも提供している。
診療所のほとんどはCVS店舗内にある。
Duane Reade(デュアン・リード)は、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが所有する薬局、ドラッグストアチェーン。店舗は主にニューヨーク市に多く、人口密度の高いマンハッタン内最大手のドラッグストアだ。
最初の店舗があったデュアンストリートとリードストリートの2つの名前から「デュアン・リード」と名付けられている。
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CVSとDuane reade。
どちらも全米に展開するドラッグストア兼コンビニエンスストア
であり、タイムズスクエアにおいても隣り合う立地で出店している。

しかしながら、両店において昨年と比較しても
大きな売り場の変化は見られなかった。

CVSにおいては、セルフレジの増設やその横についで買いを促進する
ガムの棚を設置するなどの変化が見られたが、
Duane readeにおいては、ほぼ変化がないといっていい。
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これはタイムズスクエアという立地、そしてドラッグストアという業態によるところも大きいと考えられる。

要するに、近隣に宿泊する観光客が困った時に薬やちょっとした日用品を買えればそれで事足りるのだ。

売り場戦略に力を注がなくてもある程度は売れていく。
もしくは、あくまでもタイムズスクエアに出店していることに
よるPR効果が主目的なのだろう。そこに店舗があることが重要なのだ。

そういった状況なので、人で賑わうような場面はあまりない。
特筆すべき商品やサービスがない以上、必要に迫られない限り
来店する必要がないからだ。

賑わいの創出には「そこへいく理由」を作ることが不可欠である。

CVS

一般的なメーカー品のお菓子が並ぶ。

一般的なメーカー品のお菓子が並ぶ。

ゼネラルなハロウィンアイテム。

ゼネラルなハロウィンアイテム。

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セルフレジ横でもついで買い促進。

セルフレジ横でもついで買い促進。

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ハロウィンのバラマキ用セール。
普通のものが、当たり前にあることが価値。

Duane Reade

依然、欠品の目立つ商品棚。

依然、欠品の目立つ商品棚。

イベント装飾も質素。

イベント装飾も質素。

サイネージにもシーズン色はなし。

サイネージにもシーズン色はなし。

オーラルケア用品は鍵付きケースに入っている。

オーラルケア用品は鍵付きケースに入っている。

まとめ

昨年と比べ、ハロウィンで賑やかになったニューヨーク。
笑顔が増え、活動的になり、魂が戻っている。

徹底したSALE訴求や試食やデモ販の急増。
古典的とも言える店頭プロモーションが活発になっている。
それぞれのショップブランドのブランディングを推進すると同時に即効性の高いプロモーションで
店内が賑やかになってきている。

商品を魅力的に見せるモノ重視からよりコトさらにイミの消費に応える店頭に進化している。
展開のキーワードは人間味。
モノと人。
生活と人。
人と人。
そして、心と心。
関係性の再構築。

AIが成長し、シンギュラリティが迫っている。
その中で「人間の再定義」が始まった。
アフターコロナは人と接する喜びを再確認する機会となった。
戦争等経済を脅かす要素は増えているが、人間がさらに逞しくなったことへの自信が溢れている。


了。

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