2021年6月15日 更新

コロナ禍で躍動!「自販機のニーズ」さらに多様化

『非対面式』で『24時間稼働』できる「自販機」は、コロナ禍において『営業時間外での購入促進』をさせ『売上補填』に貢献する販売チャネルとして注目されている。

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コロナ禍での販売施策。築地に「冷凍海鮮物」の自販機登場!

仕掛け人K氏に取材

続くコロナ禍において、指定都道府県では「緊急事態宣言」
「蔓延防止等重点措置」などの対策がとられる中、飲食店を中心に
営業時間の短縮や提供するメニューに制限をかけざるを得ない状況がつづき、
実質の商売が成り立たなくなっている。

そんな中、「自販機」がコロナ禍での販売施策として注目されている。

今回は新たに築地に設置された『冷凍海鮮物』の自販機に着目をし、自販機の多様化
にせまりたい。

この自販機の設置に携わったK氏は筆者の知人であり、
新しいチャレンジを行っているということで直接話を聞いてきた。
自販機の導入を手掛けたK氏

自販機の導入を手掛けたK氏

実際に店頭に『冷凍海鮮物』の自販機を設置したのは築地の
「北海番屋」という飲食店である。「北海番屋」さんには、筆者はこのK氏と以前から飲みに行っていたのだが、やはりコロナ禍において客数が減少。
さらには時短営業の要請も重なり商売は厳しい状況にある。

そこで目をつけたのが自動販売機の設置だ。
コロナ禍での国や都の要請で満足に営業できない状況での
売上減少の補填に営業時間外に購入できる商品をつくり自販機で
商品を売り出そうとK氏が発案、そして実現にこぎつけた。
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築地への想い

現在、各テレビ局の報道番組や新聞から取材の依頼が複数きており
対応に忙しいK氏だが、これは大手メディアが取材をするに値する時事ネタで
あるという裏返しにもなる。

考えたな~。と思うのではあるが、
ここで市場を考えてみると、ある疑問が浮かぶ。
『営業時間外の購入機会を増やす』ことで『売上減少の補填を行う』
という目的で、築地在中の店舗の前に自販機を設置するということは
売上確保に向けて非常に良い有効策だと思う。
ただ、元々が『目的買い』をしにくる『築地』という場所に設置するのではなく、
他の場所に設置をした方が売れるのではないか?ということだ。

K氏に聞いたところ、当然K氏も考えているところだが、まず1号機はやはりこの場所から
始めるということだそうだ。
K氏、そして『北海番屋さん』など築地で商売をしている人の想いがある。
豊洲に移転した「東京都中央卸売市場」ではあるが、
築地を根城に商売をしていた人達にとって築地市場は今も
変わらず根城なのだ。
今も築地の地域性や『築地ブランド』はある。
それをずっと残していきたいという
想いが少なからずこの自販機にも込められている。
それが、自販機の側面に掲げられているモノクロの写真と築地市場の
ロゴだ。
まだ築地に『中央卸売市場』があった時代のモノクロ写真が載せてあるのは、
この『築地』のブランド力を維持したいという想いと
中長期的な発展への想いがこめられている。
写真とロゴに想いが込められている

写真とロゴに想いが込められている

これを読んだ方はぜひ築地に足を運んで、買い物を楽しんでいただけると
幸いである。

設置マーケティング

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さて、自販機で実際に売られている商品であるが、
「北海道産いくら」「やまやの辛子めんたいこ」
「銀ダラ西京焼き・紅サケ粕漬焼き・さわら西京焼きセット」などがある。

今すぐ食べたいと思わせる食材ではある。
展望を考えると、やはり筆者は設置場所を提案したくなる。

多様性で女性の社会進出が進む中、男性も家事を行って当たり前の時代。
この自販機は、住宅街にあってこそその力を発揮しそうである。

筆者の住んでいる街では、路面店である昔からの『魚屋さん』が大繁盛
している。土日は必ず長蛇の列である。
もちろん品揃えが良いのもあるが、毎週土日に長蛇の列ができる。
こんな『魚屋さん』は人生で見たことがないため驚きでもある。
やはり、ニーズがあるのだ。

『ウーバーイーツ』や『出前館』その他の食事のディストリビューション
が発達し使用頻度が高くなってきた令和時代であるが、
こうやって『魚屋さん』に出向き、海鮮を購入し、
魚料理を作って食べる人達が多いことに昭和生まれの筆者はホッとしたりもするのである。

そんな街にこの『冷凍海鮮物』の自販機があれば、売上も伸びるであろうと
容易に考えてしまう。
導線を考えると、駅から家までの間に設置してあることが購買機会を
増やすことにつながる。
よって、『エキナカ(駅中)』に設置するのが良いのではないかと考える。
価格帯が高い商材でもあるため、大型のマンションやタワーマンションの
エントランスに設置するのもニーズがあるのではないかと思う。
K氏も今後は価格帯を抑えた商品ラインナップで、『エキナカ(駅中)』やタワーマンションに
展開する構想を持っているとのことだ。

多様化する自販機の紹介

ヌードルツアーズ

他にも多様化する自販機を調べてみた。

遡ること3ヵ月前、2021年の3月には
おうちで全国の有名ラーメン店を味わえる自販機サービス
「ヌードルツアーズ」が開発され東京都大田区に設置され話題を呼んだ。

こちらもコロナ禍での対応と攻めの姿勢で開発された。
ニューノーマルとなった巣ごもり需要の「おうちで○○」に向けて
有名店のラーメンを非対面式で24時間販売をする自販機を打ち出した。
元々はネット通販を行っていたが直売所へ来るお客さんのニーズで立ち上げたそうだ。

こちらは製麺会社である株式会社丸山製麺が手掛けている。

まとめ(展望)

今回は、多様化する自販機のニーズにせまったが、今後に関する展望を最後に考えてみる。

●非対面式
●24時間稼働
という『メリット』が自販機にはある。
よって、
●営業時間外稼働
●売上の補填
が可能になる。
これはもっと様々なシーンで活用ができそうである。

この自販機をもっとIOT化することで
様々なコンテンツを流したり、様々なSNSやサイトページに遷移させ
インタラクティブな購買&拡散共有を促進したりすることができる。

販売のみならずタッチ&トライを促進するサンプリングができる自販機なども
面白い。
現金での購入ではなく、PayPayやLINEPayやクレジットカードでの支払い対応を
完備することでIDPOSをとりながら、そのデータを有効活用していくシステムも
自販機に盛り込むことができる。

『自販機のニーズ』は、自販機で売られる商材の多様化だけでなく、
販売手法としての「自販機」の機能や役割の多様化も進められる傾向にあるのではないか。

治安が良い、生活者の『モラル』が高水準であるという条件下というのが
必須になり、物流をどのように網羅できるかが課題とはなるが、
昔からある「自販機」は今この時代にさらに進化し、多様化していく
有用な『販売チャネル』となる可能性があると思われる。
重要なのは、『道を探す』『手法を考える』ことにある。

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