2023年12月13日 更新

「1年を経て」ニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC vol.6 エピソード4

6回目になるニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC。洞察をはじめてから1年を経た。 この1年でニューヨークの店頭事情は変容したのだろうか。エピソード4ではベストバイを洞察。

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2022年10月、本レポートのvol.1を発行するにあたり観察したニューヨークは
“様子見”をしている状態だったと言える。

店頭のスタッフは削減されたまま、オンラインでの販売が主力となった状況下で
店頭の商品棚は欠品があっても補充されないままの箇所が目立っていた。

それから1年。
2023年10月のニューヨークは、経済・文化の中心、観光都市としての姿を取り戻した。

街にはあらゆる国籍の人々が溢れ、
タイムズスクエアなどの観光スポットでは、満員の観光客を乗せた
観光バスが、道路を埋め尽くす自動車のクラクションを受けながら走りまわっている。

完全に本調子といかないまでも、8割型本来の姿に戻ったというのが大筋の見方だ。

そんなニューヨークの店頭は、今どうなっているのか。
1年を経た店頭の変化を観察・洞察する。

エピソード4 BEST BUY の洞察

ベスト・バイ(Best Buy)は、アメリカミネソタ州ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店。アメリカの雑誌フォーチュンのフォーチュン100にも選ばれている。
日本では、ケーズホールディングスと提携し、同社のプライベートブランドの販売が中心である。
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BOPIS の定着。だが、しかし。

店内に入ると、ややもすると商品のディスプレイを目にするよりも
早いタイミングで「Order Pickup」「Lockers」といった
オンラインオーダーした商品を受け取るサービスの表示が目に入る。

コロナ禍で急激に発展したサービスであり、コロナが去った後も
売り場に定着した。

ユーザーのニーズに合致したサービスは、そうしなくても構わない状況になっても、生き残り、やがてスタンダードへと変わっていく。

「ほしいものだけをすぐ受け取って、帰る」

合理性に全振りした売り方であり店内で商品を探す時間をロスと
捉えるならば、これほどまでに顧客ニーズに合致したサービスはない。

しかし、それだけでは売り場に血が通わない。
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合理性のみを突き詰めると、売り場は倉庫化する。
商品の箱を眺めても人はワクワクしない。

オンラインショッピングでも情報は取れる。
しかし、画面越しでは感じることができない、
肌でのみ捉えられるワクワク感は売り場にのみ存在する。

それこそが現場でしか出せない、現場に求められるものだと感じる。

小売の店頭は非合理を包括しつつ、時代に適合することが
必要だと言える。

BEST BUYはセール時期とそうでない時期で店頭の賑わいに
大きな差がある。

ハロウィン商戦は、家電にあまり影響しないのだろう。
現在は来る年末商戦に向けて省エネで進んでいる印象がある。

そのような省エネの現場から感じる寂しさこそが、
売り場の本質的な価値を見極めるヒントと言えるだろう。
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箱の並ぶ売り場。

箱の並ぶ売り場。

ハロウィンシーズンの売り場はスロー。

ハロウィンシーズンの売り場はスロー。

バックトゥスクールのPOPがまだ残るのは売り場の鮮度を...

バックトゥスクールのPOPがまだ残るのは売り場の鮮度を下げてしまう。

実機を確認・比較できるのは、店舗の醍醐味。

実機を確認・比較できるのは、店舗の醍醐味。

どうワクワクを作るかが、売り場の課題。

どうワクワクを作るかが、売り場の課題。

まとめ

昨年と比べ、ハロウィンで賑やかになったニューヨーク。
笑顔が増え、活動的になり、魂が戻っている。

徹底したSALE訴求や試食やデモ販の急増。
古典的とも言える店頭プロモーションが活発になっている。
それぞれのショップブランドのブランディングを推進すると同時に即効性の高いプロモーションで
店内が賑やかになってきている。

商品を魅力的に見せるモノ重視からよりコトさらにイミの消費に応える店頭に進化している。
展開のキーワードは人間味。
モノと人。
生活と人。
人と人。
そして、心と心。
関係性の再構築。

AIが成長し、シンギュラリティが迫っている。
その中で「人間の再定義」が始まった。
アフターコロナは人と接する喜びを再確認する機会となった。
戦争等経済を脅かす要素は増えているが、人間がさらに逞しくなったことへの自信が溢れている。


了。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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