2023年6月14日 更新

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第1回 BEST BUY/TAGETの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第4弾。「オムニチャネル施策」を考察します。1回目は、「BEST BUY」と「TARGET」の店頭を洞察します。

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エレクトロニクスー雑貨  BESTBUY/TARGET 店頭洞察

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コロナパンデミックにより、
急速に進んだ小売のオムニチャネル化。

あらゆる企業がデジタルを織り交ぜたサービスを開発し、
デジタル化が急速に進んだ、という見方がされがちだが
それは本質だろうか。

一連の変革の中で注目すべきは、各企業のサービスが、
”人々の選択肢”に合わせて進化することを求められた点だとみる。

パンデミックにより外出に制限がかかった。
結果、買い物に出かけるという選択肢が取れなくなった人々は、
フードデリバリーを利用する、デジタル通販で物を買う
といった行動を加速させ、その流れに適合した企業が生き残った。

コロナの影が忘れられつつあるニューヨークの店頭には
人が溢れてきている。

アナログの象徴ともいえる店舗での体験は、
デジタルに駆逐されていない。

デジタルはアナログの上位互換ではなく、
あくまで多様化する顧客の選択肢に適合する手段の一つだ。

アフターコロナの小売には、デジタルとアナログを併用した
顧客体験の向上が求められている。

今号は、ニューヨークで展開される企業のオムニチャネル施策に焦点を当て考察する。

BESTBUY/TARGET 店頭洞察

BEST BUY

ベスト・バイ(Best Buy)は、アメリカミネソタ州ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店。アメリカの雑誌フォーチュンのフォーチュン100にも選ばれている。
日本では、ケーズホールディングスと提携し、同社のプライベートブランドの販売が中心である。

TARGET

ターゲット・コーポレーション(Target Corporation)は、アメリカ合衆国で売上高第5位の小売業者だ。
ディスカウント百貨店チェーン「ターゲット(Target)」など、小売店1800店強を運営している。
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BESTBUY店舗

BESTBUY店舗

TARGET店舗

TARGET店舗

エレクトロニクスや雑貨といった
生活に絶対必要とはいえないものを扱う業界において

ストレスなく買い物ができること。
顧客の嗜好・状況に合わせた買い物ができること。

の2点は重要度が高い。

パンデミック以降、ネットショッピングが急速に普及した今、店舗でしか買い物をしない顧客を見つけて囲い込むのはほとんど夢物語だ。反対に外出規制もない今、
ネットでしか買い物をしないという人も珍しいだろう。

店舗でしか買わない、ネットでしか買わない人がいるのでなく、多くの人は買い物をしたいタイミングで
どこで買うか? どう買うか? を選択している。

小売は、その顧客の状況に適した選択肢を提供し、
選択のタイミングで選ばれていくことが
重要な時代だといえる。

BOPIS (BuyOnline, Pickup In Store)

BESTBUY オンライン

BESTBUY オンライン

TARGET オンライン

TARGET オンライン

生活家電・雑貨を取り扱うBest Buy / Target
のような業態ではオンラインで注文し、店舗で受取るBOPISに対応していることが当たり前になっている。

これにより消費者は広大な店舗の中で商品を探す必要がなく、求める商品をすぐに手にすることができる

というのが機能的なメリットだが、
Amazonに代表される完全オンラインショッピングとの違いはなんだろうか。

それはやはり店舗の有無だといえる。オンラインショッピングはいかに早く発送されたとしても、配送キャリアを通して配達されるのを待つ必要がある。また、届くまで現物に触れることはできない。

対してオンラインと店舗掛け合わせであるBOPISは、
ほしい商品がある場所に行ってすぐ手に入れる、
実物を見て購入を検討することができる。

「ほしいと思った時、必要な時にほしい」
「実物を見て検討したい」

という在庫があり、実物がある店舗だからこそ応えられる
ニーズを捉えたサービスといえる。
BESTBUY オンライン

BESTBUY オンライン

在庫保有店舗の一覧をオンライン上で確認することが可能である。
さらに、商品在庫がある場合、受け取り可能になる時間の目安が表示される。
TARGET オンライン

TARGET オンライン

TARGETも同様のサービスを展開している。

多様化する配送ニーズにも対応

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在庫のある店舗からのサービス圏内であれば、
追加配送費を払うことで当日配送を利用することも可能。

「お金は払うので、今日家に届けてほしい」

というニーズに対応している。

顧客を”購入者”とひと括りにせず、
デジタルと店舗の融合施策により

「当日すぐに買いに行きたい」
「待てるので配達してほしい」
「今日中に配達をしてほしい」

といった多様な生活者の選択肢に適合する
サービスを提供している。

「とりあえず買ってみよう」を加速させる返品システム

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開封済みの商品であっても返品が容易なのは
米国小売全体の特徴といえるが、
Best Buyの返品システムは生活者にとって、
かなり使い勝手のいいものだ。

Best Buyで購入(オンラインも含む)したものであれば、どの店舗でもCustomer Serviceにて返品が可能。
店舗に直接行かず、配送で返品するといった選択もできる。

オンラインで商品を買い、試してダメだったら
最寄の店舗に返品するという行動が可能だ。

気になるものはひとまず買ってみるスタンスで
購入できるため、買い物のハードルが下がっている。
返品されたアイテムは「開封済み品」として、
ディスカウントされた値段で再販される。

「開封されていても、少しでも安い方がいい」
と考える人の選択肢に合うサービスといえる。
BESTBUY 店舗

BESTBUY 店舗

オンラインオーダーはロッカーで受け取ることも可能。
BESTBUY 店舗

BESTBUY 店舗

自社で技術相談・修理に対応するスペシャリストを抱えることで、店舗を訪れる理由を創出。
BESTBUY 店舗

BESTBUY 店舗

オンラインで決済し、
レジに並ばず店頭の商品を持ち帰ることも可能。
TARGET 店舗

TARGET 店舗

レジも有人か、セルフレジかを選べる。
セルフレジの数が圧倒的に多い。
TARGET 店舗

TARGET 店舗

ネットで購入した商品を、ピックアップしてすぐに帰るという選択も可能。
TARGET 店舗

TARGET 店舗

気になった化粧品でメイクした印象をARで確認できるサービス。

まとめ

ニューヨークにて展開される小売のオムニチャネル施策。

その実態を読み解くと、デジタルは手段の一つに過ぎず
その場、その場で顧客が求める内容に合致する
選択肢を提示していくことが重要だと気付かされる。

コロナ禍は外出を制限し、人々からいくつかの選択肢を奪った。
しかし、それは同時に新しい選択肢も提示した。

デリバリーサービスの普及により、富裕層でなくとも
買い物は自分で行かなくていいようになった。

店頭に商品を買いに行きつつも、デジタル決済で
レジ待ちをしない選択も可能だ。

パンデミックが終わりを迎え、
「〜してはならない」という制限は、
「〜してもいい」という選択肢へと形を変えている。

各企業は、細分化されている人々のニーズの中から
新しい選択肢を自社のブランド・業態に求められている形で
提示することが不可欠な時代となっている。

コロナ禍が去った今こそ、
小売には今までに戻るのではなく、
変化することが求められている。

了。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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