2023年6月20日 更新

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第4回 Macy'sの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第4弾。「オムニチャネル施策」を考察します。4回目は、「Macy’s」の店頭を洞察します。

159 view

ショッピングホール Macy's 店頭洞察

 (7212)

コロナパンデミックにより、
急速に進んだ小売のオムニチャネル化。

あらゆる企業がデジタルを織り交ぜたサービスを開発し、
デジタル化が急速に進んだ、という見方がされがちだが
それは本質だろうか。

一連の変革の中で注目すべきは、各企業のサービスが、
”人々の選択肢”に合わせて進化することを求められた点だとみる。

パンデミックにより外出に制限がかかった。
結果、買い物に出かけるという選択肢が取れなくなった人々は、
フードデリバリーを利用する、デジタル通販で物を買う
といった行動を加速させ、その流れに適合した企業が生き残った。

コロナの影が忘れられつつあるニューヨークの店頭には
人が溢れてきている。

アナログの象徴ともいえる店舗での体験は、
デジタルに駆逐されていない。

デジタルはアナログの上位互換ではなく、
あくまで多様化する顧客の選択肢に適合する手段の一つだ。

アフターコロナの小売には、デジタルとアナログを併用した
顧客体験の向上が求められている。

今号は、ニューヨークで展開される企業のオムニチャネル施策に焦点を当て考察する。

Macy’s 店頭洞察

Macy’s

メイシーズ (Macy’s) は、ニューヨークに本部がある百貨店である。
ヘラルド・スクエア店は、1932年の映画『モダン・タイムス』や1947年の映画『三十四丁目の奇蹟』の舞台となった。
店内のエスカレータには今では珍しい木製のものがあり、ニューヨーク市で最古級のエスカレータとして知られている。
20世紀中頃から、他州に拠点を置くデパートを買収してはメイシーズの店舗に置き換えて、店舗数を拡大していったが、現在はアマゾンなどのeコマース市場の影響を受け店舗を減らし続けている。
 (7217)

Macy’s 店舗

Macy’s 店舗

マンハッタン ヘラルドスクエアに位置する
世界最大の百貨店がMacy's Herald Squareだ。

コロナ禍を受け、急速にオンライン販売が強化されたが
パンデミックが収束した現在においては、
デジタルを店舗体験の中に組み込む試みがなされている。

しかしながら、デジタル化の背景にはコロナ禍のダメージを人件費削減によって補おうとする意図が感じられ、
広大なフロアは、買い物客の姿は多く見られるものの
スタッフの数が極端に少なく、どことなく活気が薄い。

やはり百貨店は普段の買い物とは一線を画すものであり、
その特別感の創出において”人”が重要な役割を果たしているのだと感じる。

デジタル施策を併用しつつも、百貨店らしさを担保するため、店頭に人を戻していくことが、この先求められていくのではないだろうか。
Macy’s オンライン

Macy’s オンライン

店舗に入るとアプリのプライスチェックと
フロアガイド機能が使用可能になる。
店舗が広大なので、この機能はありがたい。
 (7222)

商品棚にもQRコードが表示されていることが多い。
しかし読み込んでみると、アプリのトップページに飛び、
棚の商品はアプリ内で、探し直さないといけないなど利便性は課題が残る。
 (7224)

バーコードを読むと値段をチェックできる。
セールが頻繁に行われるため、実売価格をすぐに確認できるのは便利である。
 (7226)

スタッフ配置は最小限に絞られている印象。
商品は豊富だが、少しもの寂しい感じがする。

まとめ

ニューヨークにて展開される小売のオムニチャネル施策。

その実態を読み解くと、デジタルは手段の一つに過ぎず
その場、その場で顧客が求める内容に合致する
選択肢を提示していくことが重要だと気付かされる。

コロナ禍は外出を制限し、人々からいくつかの選択肢を奪った。
しかし、それは同時に新しい選択肢も提示した。

デリバリーサービスの普及により、富裕層でなくとも
買い物は自分で行かなくていいようになった。

店頭に商品を買いに行きつつも、デジタル決済で
レジ待ちをしない選択も可能だ。

パンデミックが終わりを迎え、
「〜してはならない」という制限は、
「〜してもいい」という選択肢へと形を変えている。

各企業は、細分化されている人々のニーズの中から
新しい選択肢を自社のブランド・業態に求められている形で
提示することが不可欠な時代となっている。

コロナ禍が去った今こそ、
小売には今までに戻るのではなく、
変化することが求められている。

了。

関連する記事 こんな記事も人気です♪

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第3回 Whole Foods Market /Trader Joe'sの店頭洞察 

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第3回 Whole Foods Market /Trader Joe'sの店頭洞察 

ニューヨーク店頭レポート第4弾。「オムニチャネル施策」を考察します。3回目は、「Whole Foods Market」と「Trader Joe's」の店頭を洞察します。
ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第2回 CVS/DUANE READEの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第2回 CVS/DUANE READEの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第4弾。「オムニチャネル施策」を考察します。2回目は、「CVS」と「DUANE READE」の店頭を洞察します。
ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.   第1回 BEST BUY/TAGETの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「オムニチャネル施策」 RETAIL POWER IN NYC.  第1回 BEST BUY/TAGETの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第4弾。「オムニチャネル施策」を考察します。1回目は、「BEST BUY」と「TARGET」の店頭を洞察します。
ニューヨーク店頭レポートシリーズ「店頭の余白」RETAIL POWER IN NYC第七回 THE HUGH の店頭洞察

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「店頭の余白」RETAIL POWER IN NYC第七回 THE HUGH の店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第三弾。「店頭の余白」を考察します。7回目はTHE HUGHの店頭洞察レポートです。
ニューヨーク店頭レポートシリーズ「店頭の余白」RETAIL POWER IN NYC第六回WHOLE FOODS MARKETの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポートシリーズ「店頭の余白」RETAIL POWER IN NYC第六回WHOLE FOODS MARKETの店頭洞察

ニューヨーク店頭レポート第三弾。「店頭の余白」を考察します。6回目はWHOLE FOODS MARKET の店頭洞察レポートです。

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
            スゴイコト