2023年3月3日 更新

ふとしたことから生じる親和性の不思議

分析されセグメントされ、誘導される購買行動の時代。それでも購買プロセスは曖昧である。販売施策の意図からはずれたエンゲージメントから購買意欲が湧くという購買プロセス例を紹介します。

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ふとしたきっかけから生じるエンゲージメント醸成

日々生活していく中で、ふとしたコトがきっかけでエンゲージメントが醸成されることはないでしょうか?
今回は編集の小生が経験をしたエンゲージメントの醸成例を2つ紹介させていただきます。

元々知っているというのが、ふとした購買意欲をかきたてる。

つい先日、「ライジングサン」という自衛隊のレンジャー部隊をストーリー化した漫画を読んだ。
まだ読み始めなのだが、「ライジングサン」という漫画の中に、
レンジャー部隊の徽章の説明がでてきた。

ネットにあがっている画像は使用できないので、お恥ずかしながら、小生の拙い手書き絵でレンジャー部隊の徽章を描いてみた。
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ダイヤモンドを真ん中に据えて、それを囲うように42枚の月桂の葉で作られている。
下手すぎて自衛隊の方に怒られそうではある。。。
月桂樹は、南ヨーロッパ原産とする常緑性の小高木です。ギリシャ神話に登場する太陽神アポロンの木として、勝利と栄光のシンボルとされてきました。ギリシャ神話にちなんでつけられた「栄光」「勝利」といった花言葉がもとになり、古代のオリンピックでは、月桂樹の枝で作られた冠が勝者に贈られていました。
ローリエは、月桂樹の葉を乾燥させたものです。
あの、古代ギリシャの描写でよく出てくる冠が月桂樹だったとは、お恥ずかしながら小生ははじめて知った。
これはこれで、率直にカッコ良いのだが、意味や意義などは今は特に重要ではない。
この徽章から自分の頭に浮かんだことがある。
自分の経験則から、『月桂』という文字から連想されて、『月桂冠』が頭の中でリンクしたのである。
なぜか、この漫画のストーリーを読みながら、その世界に入り込みながらレンジャー部隊の徽章を知り、そこからリンクした『月桂冠』というネーミングとそのロゴデザインが、すごく秀逸なものに感じられた。

すごく単純ではある。
『月桂』で『冠』をつくり、『月桂冠』。
しかし、なぜか、これを創り出したことに「あ、すごくクリエイティブだな」と思って感銘を受けたのである。
とたんに、自分の中で『月桂冠』のお酒が飲みたいという欲が出てきたのである。

本当にふとしたことであるが、今日、帰宅途中にコンビニに寄って、『月桂冠』を必ず買ってしまうと思った。飲みたいと思ったのである。

普段、旅行に行き「ご当地のお酒」をお土産で買うというシチュエーションでしか、なかなか自分で日本酒を買うことはない。(日本酒をコンビニで買って帰ったら妻からオッサン酒飲みか?!とツッコまれるかもしれない。)
そんな自分が帰宅途中に「日本酒を買おう」、しかも月桂冠を指名買いするなんてことは、今までにないことである。
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なぜ、「これを買おうと思うか」の心理的メカニズムは不思議である。
もし、帰り道にコンビニやスーパーに立ち寄ったとした場合、その時の心理状態で買うものは変わる。例えば、その日、誰かに「好きです」と告白された場合と、その日、誰か好きな人にふられた場合との心理状態でも買うモノが変わる。と思われる(笑)。
気持ちや状況次第で、購入金額が変わる可能性もあり、購入品目も変わっていく。

そこに行きつくまでの各自のストーリーがある。

広告はどうだろうか。
例えば、今日朝起きてスマホを見て、開いた何かしらのサイトに『月桂冠』のweb広告が出てきたとする。あるいは、電車の中吊りやサイネージで広告を見たとする。
それがどれだけクリエイティブあふれる広告だったとしても、さらに、美味しそうな料理と酒というシズルであったとしても、今回の場合は、自分の飲みたい欲には刺さっていないと思う。
当然ながら、広告を見て何かしら購買意欲が湧く時はもちろんあるが。
広告は広告で非常に重要である。
しかし、ふとしたきっかけで生まれるエンゲージメントはスルーされがちな広告を凌駕する力がある。
憂鬱な月曜日の朝の満員電車で、スマホで「今日はnewspicksを電車で見るんじゃなくて昨日ふと読んだ漫画の続きを見ながら行くか・・・。」となって、出てきたレンジャー部隊のストーリーとレンジャー部隊の徽章の説明のクダリがあって、ネーミングとロゴに感銘を受けて、飲みたい欲と購買意欲が出てきた。
その話の横に『月桂冠』の、広告や画像や説明が出ていたのではなく、徽章のダイヤモンドを中心に周りを『月桂』で形づくられているという説明から、自分の経験則で『月桂冠』がリンクしたのである。

販売施策の外側で購買動機付けが成されている。
とふと思った。

販売施策の外側ではあるが、自分が『月桂冠』にリンクして、飲みたい欲と購買意欲が湧いたことを少し真剣に考えてみた。

以下の点があるからこそ購買意欲が湧いたのである。
●ネーミングとロゴが良いと感じるブランディングが成されている。
●小生という個人が経験してリンクされるほど、しっかり認知されるくらいの情報発信を長年続けている。(広告活用と認知ブランディング)
●すぐどこか(コンビニ)で買うことができるという流通網がある。
●さらにその流通も小生という個人が認知できている。
だからこそ、飲みたい意欲と同時に、すぐ買うことができるという、認知と判断ができ、今日の購買という実行に至るわけである。

知っているからこそ、頭の中でリンクがされる。
ネーミングやロゴを改めて考えると、「おー!」と
思うことができるからこそ、飲みたくなる。
でもその前に触れている漫画のストーリーという前段があるからこそそのように思ってしまう。
そして、帰り道に買うことができる。それを自分が知っている。

買うことができるという「鮮度」も重要である。
明日になれば、気持ちが変わっているかもしれない。
今日の帰り道のコンビニエンスストアが小生にとっては「買い時」であり、メーカーや小売側からすると「売り時」である。

改めて思うことは、商品が流通しているということは凄く重要なことであるということ。
さらには、そのブランドが何かしら刺さるブランディングをしっかりしていて、認知もさせていることが重要で、だからこそ、今回のようなふとしたエンゲージメント醸成から購買に至るわけである。
今回でいうと、そのブランディングが単純にネーミングとロゴということになる。
そして、その前に漫画のストーリーに触れているというトリガーがある。
ふと、なぜか『月桂冠』を買うにいたる購買プロセスが生まれた。

さらに考えてみた。
購買意欲が湧くきっかに「経験則」が反映される。
何かしら「頭の隅にある」ということは、行動変容のきっかけになるということである。
そう考えてみると、「うん、当たり前のことだ」と思うが、
この当たり前のことがすごく重要だとも思った。
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急にファン化してしまうのは、漫画やドラマというエンタメコンテンツからが多いかも。

次に挙げる事例は、またまたお酒の話である。
こちらも漫画がきっかけで好きになったお酒がある。
『スコッチウイスキー』である。
そして、『スコッチウイスキー』が好きになったきっかけは、「マスターキートン」という漫画を読んだからである。
この漫画の中で、『スコッチウイスキー職人』をテーマにした話がある。
これを読んで、ウイスキー職人のお酒の製造に対する「シザマ」を知り、ファンになった。
単純ではあるが、そういう時もあるものだ。

ウイスキーの発祥はアイルランドで、アイルランドの酒造メーカーで造られるウイスキーをアイリッシュウイスキーという。『スコッチウイスキー』はスコットランドで造られるウイスキーをいう。
銘柄は無数にある。
代表的なシングルモルトの『スコッチウイスキー』は、
マッカラン、ボウモア、ザ・グレンリベット、ラフロイグなんかがある。
他にもシーバスリーガルやオールドパーやアードベックなんかはスーパーマーケットにも置いてある。ここでは産地や、「シングルモルト」「グレーン」「ブレンデッド」の説明は長くなるので遠慮する。

小生、結果、味が好きになって真に『スコッチ』が好きであるが、
きっかけは、20歳くらいに読んだマスターキートンで『スコッチウイスキー』が良い!
となったから好きになった。
『スコッチ』の特徴として、スモーキーさがある。
これがなんともいえない。病みつきになるというか美味しい。
ボウモアという銘柄などは、正露丸?というような匂いがするくらいスモーキーである。
と、ちょっとしたウンチクが言えるくらい『スコッチ』ファンではあるが、
色々なウイスキーを飲み比べて『スコッチ』にたどりついたのではなく、
「マスターキートン」という漫画の影響で、なぜか「好き」からはじまっている。

小生の中でも、『スコッチウイスキー』のこのエンゲージメント醸成みたいな例はあまり他に思いつかない。
ただ、そのエンゲージメントのきっかけを与えたのは「マスターキートン」という漫画とその『スコッチウイスキー職人』のストーリーである。

これもメーカーや流通が意図する販売施策から外れているが、結果、『スコッチ』ファンになり、『スコッチ』を消費する顧客になっている。

「製品」を売れる「商品」にかえて売れるものにするために、ブランディングがあり、販売施策があるが、
売り手が頑張って行う発信よりも、第三者が語る、そしてそこに魅力的なストーリーがある方が
商品に惹きつけられる例である。

購買プロセスは曖昧である。

紹介をさせていただいた例は特殊な2例ではあるが、
ある消費者が買い手になる変容、そして継続購買に至る変容は、
非常に曖昧なものであると改めて思う。
その曖昧なものを分析して、人間工学などを取り入れて、体系化して効率良くしていこうということもマーケティングと言える。
どのように「くくりを編集するか」「くくりの再編集をするか」ということが重要である。
GDPR(General Data Protection Regulation)という規制がEUでは施行されている。
これは一般データ保護規則で、アメリカの大手テック企業が抜き取ってきた個人データの取り扱いを規制する動きでもあり、世界的なスタンダードになってきている。
今の時代、販売施策は、この一般データ保護規制で個人情報の守秘を行いながらも、
IDデータとして蓄えられながら、その分析が行われながら「施策」となっている。
web施策ではグロースハックという高速PDCAを回しながら施策自体を改善しながら成果に結びつく施策がとられているし、大手広告代理店はプロモーションコンサルティングという立ち位置よりもさらに深くグロースプランナーという立ち位置で、クライアントの商品の成長を助長させるお手伝いをしている。

より細かにセグメントされ、分析され、1人1人の行動パターンに沿うように広告や販売施策に誘導されながら購買に至るという時代になってきた。
その通りだと思う。

ただ、それでも購買行動は曖昧さもすごくある。

個人個人の頭の中のリンクを醸成させて、リマインドをさせて、「ピン!ときた」
なんてことをいかに醸成するかというのも「企画提案」となる。

ただ、それでも購買行動は曖昧さもすごくある。
それも購買プロセスではあるが、ふとしたことからエンゲージメント醸成される
場合には「ストーリー」があり、その「ストーリー」にのめり込んでいくからこそ
頭の中でリンクしたものが自分にとって「輝いて見える」ようになる。
そんな例を紹介させていただいた。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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