フリマアプリ、メルカリ
フリマアプリの隆盛
via pixabay.com
2012年には既に立ち上がっていたフリマアプリ「フリル」、「ショッピーズ」。それを追うように2013年7月にサービスインしたのが「メルカリ」だ。
先行者たちが一様にF1を中心とした女性をターゲットにしたサービス開発をしていたにもかかわらず、メルカリは、年代や性別を区切ることのないサービスブランドで参入した。
先行者たちが一様にF1を中心とした女性をターゲットにしたサービス開発をしていたにもかかわらず、メルカリは、年代や性別を区切ることのないサービスブランドで参入した。
なぜ、後発だったメルカリがもっとも成功したのだろうか。
当時は、端末で言うとスマホへの機種変更は毎月圧倒的なスピードで増加し、その端末にダウンロードされるアプリもゲームを中心として爆増していた。ちなみに、パズル&ドラゴンズが大流行していたのもこの頃だ。
当時は、端末で言うとスマホへの機種変更は毎月圧倒的なスピードで増加し、その端末にダウンロードされるアプリもゲームを中心として爆増していた。ちなみに、パズル&ドラゴンズが大流行していたのもこの頃だ。
ユーザーのスマホシフトが急激に進んだ、それも確かに一因ではあろう。だが、それは業界に属する全社が少なからず利益を増やす原因にはなっても、競合に伍する理由にはならない。興味深い代表の山田氏への取材記事がある。
2012年7月、後に楽天が買収する「フリル」というフリマアプリが登場、同年12月にはフリマサイトだった「ショッピーズ」もアプリを投入し、順調な滑り出しを見せていたが、ともに可愛らしい女性向きのインターフェースを売りとし、出品アイテムも女性向けが多かった。
スマートフォンの爆発的な普及が目に見えている。老若男女問わず総合的なフリマアプリをスピード勝負で投入すれば勝ち目がある。そう踏んだ山田は、会社設立から約5カ月後の2013年7月、アプリを世に出す。
メルカリはなぜF1層などに特化したサービスではなかったのか
メルカリを作る前、山田氏はその前に創業したゲーム会社を米ゲーム会社に売却した後、しばらく勤めたが辞めて、世界一周旅行に出発している。そのときの経験をもとにF1層限定のサービスは考えなかったようだ。
結果、ある層に限定しなかったところが、ユーザー数の圧倒的な伸びを生んだ部分もあっただろう。
結果、ある層に限定しなかったところが、ユーザー数の圧倒的な伸びを生んだ部分もあっただろう。
山田は「新興国をめぐっている時に、爆発的な人口増加とモノ不足の需給ギャップを目の当たりにしたことがフリマアプリへの参入につながった」と説明してきた。
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フリマという定義とは言葉の概念は違うが、少し前までCtoC、いわゆる消費者同士の商品売買と言えばヤフオクが有名だった。当時のヤフオクでは、個人間が入札し、落札後直接やり取りをし、出品者が住所を教えてもらい発送してもらう仕組みだった。
ただ、住所を知られたくない人たちがいたのは事実だろう。メルカリが取り入れたのは、購入者が出品者に住所を教えなくても売買が完結(匿名取引)し、代金も直接振り込みなどではなく、一度購入者からメルカリが預かり、その後出品者に振り込むという入金の段取りを組んだりなど、取引の敷居を低くする工夫が多数あった。
昔からヤフオクをやっていたのはネットに詳しい人か、商売を営んでいるため商機を逃したくないという理由で学びながら、ネットでの商取引に詳しくなった人たちが多かった。
スマホ時代となったとき、CtoCの世界に、ネットに詳しくない、もしくは直接の取引に抵抗のあるライトユーザーが入り込んでくることを見据え、彼らになじみやすい取引形態を提供したということは間違いなく言える。
ただ、住所を知られたくない人たちがいたのは事実だろう。メルカリが取り入れたのは、購入者が出品者に住所を教えなくても売買が完結(匿名取引)し、代金も直接振り込みなどではなく、一度購入者からメルカリが預かり、その後出品者に振り込むという入金の段取りを組んだりなど、取引の敷居を低くする工夫が多数あった。
昔からヤフオクをやっていたのはネットに詳しい人か、商売を営んでいるため商機を逃したくないという理由で学びながら、ネットでの商取引に詳しくなった人たちが多かった。
スマホ時代となったとき、CtoCの世界に、ネットに詳しくない、もしくは直接の取引に抵抗のあるライトユーザーが入り込んでくることを見据え、彼らになじみやすい取引形態を提供したということは間違いなく言える。
メルカリのプロモーション施策とは??
年齢性別をあまり絞らない場合のプロモーション
ターゲットを絞らず、性別年齢を問わないサービスのマーケティングやプロモーションは非常に難しい。
なぜならターゲットを絞らないとはいっても、完全に無作為にアプローチするというわけにはいかないので、第一、第二、第三ターゲットのように優先順位をつけて各々適切なプロモーション戦略を立てて実行する必要性があるという理由が一つ。
もう一つは、アプローチする相手先が増えれば増えるほど、プロモーション予算が膨らんでしまうということもある。特に、プロモーション手段として性別年齢を絞らずに大きな露出ができるTVCMは外せなくなってしまう。
メルカリの場合は、創業者が起業経験豊富であったため、当初からTVCMを打つためにも積極的な資金調達を計画していたと思われる。(2016年までに約120億円超を調達)
なぜならターゲットを絞らないとはいっても、完全に無作為にアプローチするというわけにはいかないので、第一、第二、第三ターゲットのように優先順位をつけて各々適切なプロモーション戦略を立てて実行する必要性があるという理由が一つ。
もう一つは、アプローチする相手先が増えれば増えるほど、プロモーション予算が膨らんでしまうということもある。特に、プロモーション手段として性別年齢を絞らずに大きな露出ができるTVCMは外せなくなってしまう。
メルカリの場合は、創業者が起業経験豊富であったため、当初からTVCMを打つためにも積極的な資金調達を計画していたと思われる。(2016年までに約120億円超を調達)
資金調達のために、投資家や金融機関へのアピールにつながるのがプレスリリースだ。
サービスイン時のプレスリリース
サービス開始当初より、プレスリリースには力を入れており、メディアへの積極的な情報提供を協力するなどした結果、当初はテック系のオピニオンメディアでの掲載がメインだったが、次第に女性誌やビジネス誌などでも取り上げられるようになる。
資金調達に役立ったと思われる点で言うと、テック系オピニオンメディアへの露出もあり、IT系著名投資家やユナイテッドなどのベンチャーキャピタルを持つ上場企業より、サービスイン1か月後に3億円を調達している。
ただ、それだけでは予定しているTVCMの予算を確保できたとは思えない。
ダウンロード数など実績もきっちりと積み上げていくことで、翌2014年3月には14億5千万円を、その年10月には23億6千万円を調達している。設立1年弱のベンチャー企業としては、例を見ない投資額と言える。結果、早期にTVCMを打つことができたのだろう。
ダウンロード数など実績もきっちりと積み上げていくことで、翌2014年3月には14億5千万円を、その年10月には23億6千万円を調達している。設立1年弱のベンチャー企業としては、例を見ない投資額と言える。結果、早期にTVCMを打つことができたのだろう。
TVCMによるプロモーション
初期の動画は権利関係のためか、メルカリ公式のYoutuneチャンネルにはないが、2015年冬以降のものをいくつかを紹介したい。
メルカリ15年冬CM_総集編_30秒 【メルカリ公式】
via www.youtube.com
メルカリ17年夏CM_なくしもの篇_90秒 【メルカリ公式】
via www.youtube.com
メルカリ17年冬CM_ゴルフクラブ篇_15秒【メルカリ公式】
via www.youtube.com
当初は女性ユーザーや主婦などを意識していたが、次第に男性へのアプローチを意識したつくりのものも増えていった。
リアルフリーマーケットによるイベントプロモーション
アプリだけだと、認知向上に乏しいと思ったのか、早期に始めたリアルフリーマーケットは話題性のあるプレスリリースとしても、広告の告知素材としても使える、優れたプロモーション施策だったと言える。
2018年5月で25開催回を数えるまでになり、開催地も首都圏に限らず熊本や新潟などの地方でも行っているため、ユーザーのすそ野を広げる一助となったはずだ。
2018年5月で25開催回を数えるまでになり、開催地も首都圏に限らず熊本や新潟などの地方でも行っているため、ユーザーのすそ野を広げる一助となったはずだ。
また、ネット広告も当然行っている。PCやスマホでもメルカリのバナーを見たことがある人はいるはずだ。
調達した資金が大きかったことも成功要因の一つではもちろんあるだろうが、丁寧に施策を積み上げていったことも大きい。
結果として、それらを含めたプロモーションの相乗効果で、2013年12月に100万だったダウンロード数は、今現在6000万を超えたのだ。
プレスリリース・TVCM・イベントプロモーション・ネット広告などの掛け合わせで行ったプロモーションの好例と言えるだろう。
調達した資金が大きかったことも成功要因の一つではもちろんあるだろうが、丁寧に施策を積み上げていったことも大きい。
結果として、それらを含めたプロモーションの相乗効果で、2013年12月に100万だったダウンロード数は、今現在6000万を超えたのだ。
プレスリリース・TVCM・イベントプロモーション・ネット広告などの掛け合わせで行ったプロモーションの好例と言えるだろう。