2023年11月27日 更新

プロテイン商品の変遷と今後への期待

近年活性化されているプロテイン業界。昔はその効果が正しく理解されていませんでした。ウェルネス、フィットネスが盛んになってきた日本でもまだまだ伸び代がある業界です。

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爆発的に増えたプロテイン商品

プロテイン食品

ここ5~6年の間で、スーパーやコンビニなどの一般向けの商品の中で爆発的に増えた商品ジャンルがあります。
「〇〇%配合」等のワードを大きく表記して購入を促すパッケージで各社が競争をしており、ほとんどの人が一度は購入して食べたことがあると思われます。

その商品ジャンルとは、「プロテイン食品」です。
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正しく伝わらなかったプロテインの使用効果

厳密には「プロテイン食品」という言葉はありません。
専門的なジャンル分けや名称があると思いますが、ここで言う「プロテイン食品」は栄養補助食品というジャンルでタンパク質をメインとした商品を主に指しています。

この「プロテイン」という言葉が日本の市場で使われだしたのは、大体40年ほど前の1980年代に某食品メーカーが一般向けの商品を発売した頃だと言われています。
(この記事では特定の商品やメーカー、プロテインの歴史などを細かく紹介するつもりはありませんので省略いたします)

ただこの頃のプロテインに対するイメージは、筆者と同世代(40代後半)以上の方々にはご理解いただけるかと思いますが、恐らくはメーカーのマーケティングやコミュニケーション設計の効果も空しく、「体の大きな筋肉ムキムキな人が飲む特殊な物質」という何かあまりいいイメージの無い扱いを受けていた時期が長く続いていたように思います。
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ウェルネス・フィットネス産業の関連性

ではなぜこの数年でこのジャンルの商品売り上げが急激に伸びているのかというと、同時期に増加したウェルネス・フィットネス産業と呼ばれるいわゆるスポーツジムなどが増えたことに大きく関係しています。

スポーツジムやスポーツ施設が増えたのは、健康志向が高まり、パチンコ以外の余暇産業に携わる企業が、その強い想いを具現化していったことでの需要の高まりにあります。
さらには「映え」と連動するSNSでの個々の発信とその投稿への共感という、個々の嗜好ジャンルでのコミュニティが形成されことも、健康志向の先に「見せる身体づくり」が確立した要因だと
思われます。
youtubeでのトレーニング発信も老若男女がトレーニングを始動をするきっかけとなっています。
スポーツジムに入会する利用者の年齢層や目的の幅が広がった事が大きく関係しています。

10数年前までのスポーツジムは、会員のほとんどは一般の健康を目的とした利用者であり、
わずかにスポーツ選手(プロ・アマ含め)、ウェイトリフティングやボディビルの選手などでした。
しかし2010年以降、特にコロナ禍の巣ごもりで、一時期は施設を使えなくなりましたが、
トレーニングをする人は爆発的に増えたと感じます。
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10年以上前の頃のスポーツジムに通われた事がある方なら分かると思いますが、
入会してとりあえずは使い方がよくわからないマシン等を見様見真似でやってみるが、
筋肉痛がなかなか治らずにだんだん嫌になってしまい、有酸素マシンやプール、スタジオでのエアロビクスやヨガなどでほとんどの時間を過ごすというパターンが多いかったと思います。

有酸素運動はそれはそれで良いのですが、マシンやウェイト器具を使った筋肉トレーニングに対する情報も知識も多くの利用者は得たくても得る手段があまりなかったのが実状でした。
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正しく理解されてきた

しかし、ようやくここ数年のSNSブームやyoutubeに代表する各メディアで、筋トレやダイエットの情報発信をメインとしたインフルエンサーが多く増え、一般の人でも筋トレをする事での健康及びダイエット効果だけではなく、理想的な体作りのために情報が多く入手できるようになりました。
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そういったブームと共に、正しい栄養の摂取が筋トレや運動の効果を発揮する事が周知されてきて、コンビニやスーパーで気軽にタンパク質などの栄養を入手したいというニーズが高まってきました。
それに応じて各老舗メーカーも、新規参入のブランドも増え、様々な商品にプロテインを配合した新商品が続々と増えました。
これによって、プロテイン=「体の大きな筋肉ムキムキな人が飲む特殊な物質」ではなく、プロテイン=「健康的な体作りと、筋トレの効果に欠かせない栄養補助食品」という、数年越しのメーカーのマーケティングの苦労もようやく正しい方向に認知されて、現在に至るわけです。

こうしたプロテイン市場とウェルネス・フィットネス市場の相互のブームが非常にうまく連携して成功した2大産業の図式は、今後も多くの伸びしろがあると言われており、注目すべきジャンルの市場です。そこでも顧客の獲得は重要です。
この業界のプロモーションの動向を今後も追っていきながらレポーティングしていきます。

了。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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