2023年3月23日 更新

販促視点から考えるメタバースの可能性と現在

5Gとなり6Gとなっていく世界。メタバースが当たり前のようになっていく世界での「販促」を妄想してみます。

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メタバースとは?

昨今、注目を集める「メタバース」。
よく名前だけは聞くけど、何のこと?
意味を詳しくは説明できないという方は多いのではないでしょうか。

旧フェイスブック社が社名をメタに変更したことで、
一気にバズワードとなり世界中で注目されるようになりました。
メタバースとは、超越(meta)と宇宙(universe)を
組み合わせた言葉で、仮想空間を意味します。
利用者はオンライン上に構築された仮想空間に
世界中からアバターと呼ばれる思い思いの自分の分身で参加することができ、
相互に意思疎通しながら買い物や商品の制作・販売といった経済活動を行ったり、
そこをもう1つの「現実」として新たな生活を送ったりすることが想定されています。

メタバースが「オンラインゲーム」と何が違うのか?
と思う方も多いかもしれません。
たしかに、「どうぶつの森」はゲームとして有名ですが、
同時にメタバースの代表例ともいえる存在です。
世界中からアバターで仮想空間に参加し
コミュニケーションをとれるゲームです。
ゲームはストーリーがあるためゲームクリアという目的に向かって行動をします。
一方、メタバースは目的に捉われず何をするかはユーザーが自由に決めることができます。
①3次元のシミュレーション空間(環境)を持つ。

②自己投射性のためのオブジェクト(アバタ)が存在する。

③複数のアバタが、同一の3次元空間を共有することができる。

④空間内に、オブジェクト(アイテム)を創造することができる。
via 日本バーチャルリアリティ学会『バーチャルリアリティ学』
メターバースの定義は明確に定められていませんが、バーチャルリアリティ学会では上記のように表現されています。
昨今ではメタバースが、ゲームの枠を飛び越え、様々な分野で利用されるようになりました。

メタバースが活用されている例

音楽イベントやライブ

アーティストと観客がアバターとなり、
オンラインでも実在感のあるイベントを行うことができます。
アバターで参加することで、
アーティストとの距離感を近くに感じながらライブを楽しめたり、ファン同士の交流もすすみます。
また、従来のライブではできない、 
現実では不可能な演出を表現することも可能になり、
様々なエンターテイメントの可能性が注目されています。
すでに多くの著名なアーティストがメタバースライブを行っており、
大成功を収めています。

展示会

出展社、来場者ともにアバターとなり
メタバース空間で商談を行う展示会も数多く実施されています。
アバターを通じてリアルタイムにコミュニケーションを行えるほか、
メタバース空間から直接ECサイトへ誘導することもできます。
また、3DCGで商品を再現し、動画を流すなどの演出もでき
様々なプロモーションが可能です。
近年ではリアルなイベントと同時開催で
メタバース空間のオンラインイベントが行われることも多くなっています。

セミナー、講演会、新作発表会

オンラインでもセミナー、講演会、新作発表会などが活発に行われていますが、
メタバース空間で行うことで、より対面に近い状態で行うことができるほか、
プレゼンテーションの際には前述した音楽イベントと同様に様々な演出等も可能になり
昨今、注目されてきています。

その他

メタバースは他にも
バーチャルショップ、スポーツ観戦、社員交流イベント、
観光地ツアー、医療、教育、学園祭、遊園地など
多方面での活用が模索され、運用が開始されています。

メタバースの可能性

実際、コロナ禍においてメタバースは多方面で利用されました。
その結果、
・コロナウィルス感染症の影響で、
急遽中止せざるを得ない場合などにも外的要因に左右されずに開催ができる。
・対面の臨場感があり実在感がある
・遠隔地、それこそ世界中から参加できる
・メタバースならではの演出ができる
などの、アフターコロナにおける
新しい世界とコミュニケーションが生まれたといえるでしょう。
これから、リアルのイベントと同時にメタバースでのイベントは、
増加していくとみられ、世界の潮流になるはずです。

そして、
・オンラインコミュニケーションの成長、成熟
・通信技術の向上、VR機器の拡がり
・仮想空間の土地の売買といったNFT(Non-Fungible Token)などの関連技術の実用化
といった、背景も相まって
ますますメタバースは加速していくと言われています。

多くの企業がメタバース上で
新たなビジネスを展開することが期待されており、
既存ビジネスとの相乗効果に注目が集まっています。
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どのようにアプローチしていくのか?

では、そんなメタバースへの着手はどのようにしていけばよいのでしょうか?
メタバースに着手する前にVRコンテンツの制作に着手してみてはいかがでしょうか。
簡単な手法でいえば、オフィス見学や工場見学などをVRコンテンツを使って説明していくもの
があります。
さらには、web上でVR展示会なんかも制作することができます。
製図、3Dデータ制作、動画制作と重なりますが、安価で制作することは可能です。
youtube上でも3D空間で見せることは可能です。
一度体験してみてください。

次に実際のメタバース空間の活用となると、
NTTコノキューが提供している『DOOR』という仮想空間プラットフォームや
Graham GaylorとJesse Joudreyが提供している『VR CHAT』などのソーシャルVRプラットフォームを活用するとゼロから開発するより圧倒的に費用をかけずにメタバース空間を活用して、何かしらの展開を行うことができます。
クライアントへの製品説明会や講演会、
展示会などのイベントや、メタバース上でオフィスを再現し、社員間の連携やコミュニケーションの促進を図る取組を行うケースが増えていますが、まず、着手しようとすることが重要だと思います。
ZOOMなどのビデオチャットだけではなく、メタバースで“演出”を行うことで、
話題性や現代技術を取り込み、付加価値を生み出す企業が増えています。

ポイントは、体感・体験、そしてコミュニティ形成。

どのようなことがメタバース活用の成功に繋がるのでしょうか?

メタバース活用における目的は仕掛ける側にとって色々とあると思いますが、
さまざまなコンテンツをつくるにあたって重要なことは「体感・体験」にあると思います。
どんな「体感・体験」をさせたいのか?どのような「体感・体験」ができるのか?
それが重要だと思います。

そして、どんな「コミュニティ」を創るかも重要だと思います。
言い換えればファンが集まる空間として成り立つかどうかです。

言い方が分かりにくいですが、インターネットというのは1つです。唯一です。
インターネット2とかインターネット3とかはありません。
(国体として検閲をかけまくりながらセキュリティ防御をしているような国ではインターネットが別物になっていますが)

メタバースという空間は無数に存在していきます。
そこにはコミュニティが形成され、ある一定のファン層のアバターの集いが形成され
今現在よりももっと交信が活発になると考えられます。
仮想現実空間では
アバターを利用することで、自分とは違うもう1人の自分を形成することができます。
人格まで設定しながら運用ができる人もいるかもしれません。

この画家の絵画が好き。この作家の漫画が好き。この音楽が好き。
このインフルエンサーが好き。など多種多様な嗜好や趣向に人が集います。
ですので、今のSNSのフォロワー獲得同様、エンゲージメントアップ同様、
ファンを創ることがすごく重要になってくると考えます。
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6Gになるとメタバースが当たり前に?

先日、NTTとKDDIが6Gの光通信を共同開発するという記事が出ていました。
基本的には、●大容量の高速使用 ●同時多動 ●超低遅延 のレベルがもっと上がることになりますが、6Gの世界になると、映画「レディプレイヤーワン」のような世界が成り立ってくるかもしれません。

例えば70歳の人でも、アバターでは20歳代の設定ができて、20代として振る舞うことができます。
もちろん若い世代のトレンドを知らないといけませんが。

現実世界では、「歳相応に」という言葉があるように、歳を重ねていけば、「それなり」のという何かしら抗えない『習慣』や『人の目』に従わざるを得ませんが、メタバース上でのアバターでは、設定次第では服装や化粧、スタイルや習慣までも世代を超えることができます。
性別に対してもアバターは自由に表現することができます。
ということは、年齢や性別という意味での商圏がグッと広がる可能性があります。
リアル世界の商材ではなく、メタバース上での商材、アバターを表現する商材が生まれてきます。
そんな商材にもワクワクしますが、その商材をプロモーションすることにもワクワクします。

なぜワクワクするかというと、現実世界の店頭は制約がありますが、メタバース上ではもちろん制約はあるでしょうが、もっと表現の自由が利くからです。
アテンションの仕方、リマインドの仕方、理解促進の仕方、体感・体験の仕方が無限に広がります。その表現の仕方も一つのアート作品としてNFT化してマネタイズできる可能性もあります。

次世代の販促。メタバース上での販促。今はまだ霧がかかった状態で、とにかく着手の段階ですが、色々と妄想を広げて考えていきながら、現時点での店舗送客施策や店頭販促を未来からのバックキャスティングで考える時期だと思います。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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