2023年7月12日 更新

リテールにイノベーションを。アメリカのRetail Innovation Conferenceレポート 第一回

Retail Innovation(小売革命)に取り組めない企業は、生き残れないと言われる時代。コネクテッドコマースが注目を集めている今、アメリカで開催されたリテールイノベーションカンファレンスのレポートを4回に分けて発信します。

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『オムニチャネル』という言葉を当たり前のように使うようになり8年ほど経つでしょうか。
「顧客体験」を重視していく時代になり、プロモーションも変容をしてきました。
同時にリテールも変容が促され、『買い方』も時代にあわせて変化しています。
それは、求められる顧客体験が徐々に変化していくからです。その変化の中、企業と顧客との関係において「コネクテッドコマース」という概念が注目されています。

コネクテッドコマース。耳慣れない言葉が出てきました。
元々言われているOMO(Online Merges with Offline)がベースになります。

オンライン・オフラインにかかわらず、顧客体験を向上させなくては、顧客満足度を高めることが難しくなっているからこそ、オンライン・オフラインを問わず、個別最適化された購買体験を提供するという概念「コネクテッドコマース」が注目されるようになったそうです。
「パーソナライズされた購買体験を提供するという概念「コネクテッドコマース」が注目を集め、海外では次々と概念を具現化したサービスが登場しています。一方、顧客満足度の基準も時間を経て変化していくため、コネクテッドコマースの考え方も常に変わりゆくものです。各企業においても自社の事業や方向性を踏まえながら、より良い顧客体験とは何かを考え直す時期に差し掛かっているようです。」
今回のRetail Innovation Conferenceというイベントでは、店頭での顧客体験に注目し、見せ方や見え方の工夫、店頭販促ツールの使い方はもちろんのこと、「コネクテッドコマース」ということを意識しながら見学をしました。

第一回目は、会場での出展ブースの模様をレポートします。

Retail Innovation Conferenceレポート 第一回 出展模様

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イリノイ州シカゴの会場

イリノイ州シカゴの会場

Retail Innovation Conferenceとは、リテール業界のイノベーションを目的として、
毎年開催されている北米でも最大規模の展示会である。
約200社の出展企業が商品の物流、マーケティングから決済ソリューションまであらゆるサービスを提供し、また様々なトピックや流行をカバーする130以上の講演や、
現地でのトレンドを肌で感じることのできるリテールツアーも開催している。
(当展示会はコロナ前までは元々Global Shopという名で開催されていた)
毎年シカゴで開催されており、来年度もシカゴ開催が決定している。

会場内の模様

出展社数は約200社。
会場は大きく3分野に分かれており、半数以上がIT・システム・Eコマース向け系の企業である。
デザイン・リテール系の会社の中には地元の店頭販促ツール製作会社やデザイン会社、他にも中国などアジアから出展している企業も見られた。
(技術よりも価格勝負の店頭什器を販売している)
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出展会社の紹介

2社、ピックアップして出展会社を紹介したい。
どちらも映像を活用しているが、
オンラインに軸足を置いて、オフラインと融合するアイデアを持つ意識を感じる。

Glass Media

映像技術に特化したテキサス州ダラスに本店を構える店頭ツール製造会社である。
声や音楽といった聴覚の情報や、文字情報を含まずに視覚のみで表現をする、
つまり、絵などで視覚的に物語を伝えることに特化した
ビジュアルデジタルストーリーテリングにおける卓越性と革新性を打ち出している。

ビジュアルマーチャンダイジングを再考し、店舗内の既存スペースを最適化し、小売業者が顧客を引き付けて体験価値を得ることで、具体的な結果を出そうとしてるとのこと。
オーダーメイドのビジュアルソリューションを通じて
実店舗の小売体験を向上させます。
私たちは、動き、テクノロジー、デザインを結びつけることに情熱を注ぐビジュアルストーリーテラー、エンジニア、小売ストラテジストのグループです。
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コードレスの自立式デジタルサイネージ

コードレスの自立式デジタルサイネージ

3Dを活用したビジュアル

3Dを活用したビジュアル。

ARを活用した宣伝やクーポン

ARを活用した宣伝やクーポン。

背景全てモニターで製作したショーケース

背景全てモニターで製作したショーケース。

Motion Display

Motion Displayはスウェーデン発の販促用電子ペーパーの開発・製造企業である。
アメリカではアーカンソー州に拠点を持つ。
台湾で電子ペーパー技術を開発しているE linkと2008年に技術契約を締結し、以来当業界で商品開発を続けている。
機能するPOS広告。
売上と買い物客の注目度に劇的な効果
すべての購入決定の70%以上は、製品の前の店舗で行われます。

当社独自のディスプレイはコイン電池で動作し、製品の前に設置することは、従来の印刷されたPOS広告と同じくらい簡単です。

アニメーション化された電子ペーパーディスプレイは、買い物客の注意に対し十分に効果があります。
シャープ社が2023年4月に同じくE link社と共同開発した類似商品を販売発表している。

様々な企業・分野で活用されている

様々な企業・分野で活用されている。

薄くて軽く、電池寿命も1年。
既存のサイネージより安ければ使い勝手はよさそう。

洗濯機の動きを再現。
6月末に東京ビックサイトでやっていた「コンテンツ東京」にも出展されていた。
電子ペーパーは、周りが明るければほぼ電力が必要ない。
ソリューションが進化する。
ただ、まだまだ費用が高い。浸透するには少し時間がかかりそうである。

まとめ

正直、日本でも見ることができる。
デジタルとリアルの融合とも言える。

それを、ビジュアルマーチャンダイジングにおいて、アテンションを高めるツールとして捉えるのではなく、
顧客体験を高めるソリューションとコンテンツとして捉えることで視座が上がる。

オムニチャネル、OMO、コネクテッドコマースなどは概念である。
『言葉こね』の感もある。

重要なのは顧客体験であり、それは変容していくものでもある。
リテールにてメーカー商品を前にして顧客が得る顧客体験を考えることも大切だし、
さらには、自分達が接しているお客様に対しての顧客体験を考えることも大切だと思う。

了。

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