2024年10月28日 更新

LA 店頭レポート シリーズvol.2 ep.4 WHOLE FOODS

セール表記はしつつも、あくまでもオーガニック・健康志向で勝負するうホールフーズ。 オーガニック・高級志向のスーパーであるホールフーズにおいても、店頭では特売を訴求するPOPが増えた。

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LA 店頭レポート シリーズvol.2 ep.4 WHOLE FOODS

アメリカ社会は現在、2021年以降続くインフレーションに悩まされている。
平時のインフレ率は1〜2%を推移するとされる中、2022年の消費者物価指数(CPI)は前年比約9.2%上昇と、40年ぶりの水準を記録した。
それはコロナ禍の反動による一過性のものと思われていた。しかし、現実は2024年現在のインフレ率は約3%にまで下がったものの、それでも平時に比べ高い水準で物価は高止まりしている。

電気代やガソリン代といったエネルギー関連費用の高騰に加え、日用品の価格も上昇する一方だ。

インフレーションの中、企業は賃金を上げなければ人を雇えない。
上げた賃金が商品価格に反映され、それがさらなる価格上昇を引き起こす悪循環が起こり続けている。賃金上昇が追いつかない勢いで物価が上がっていく。

ただ生きていくためのコストが上がった。
自由に使えるお金が減った社会。

そのような社会情勢の中、小売りの現場はどうなっているのか。
物価高の中における、売り方・買い方の変化を洞察する。

観察店舗(バーバンク)

●Walmart
●Best Buy
●Target
●Whole Foods
●Ralphs
●Trader Joe’s
●ショッピングモール観察(センチュリーシティ)
Westfield Century City

今回はWhole Foodsの店頭レポート。

WHOLE FOODS   ホールフーズ(マーケット)

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セール表記はしつつも、あくまでもオーガニック・健康志向で勝負するうホールフーズ。

オーガニック・高級志向のスーパーであるホールフーズにおいても、店頭では特売を訴求するPOPが増えた。

しかし、その実、割引額20セントほどと高くなく、あくまでお得感を演出しているだけという印象が強い。

売り場もセール価格そのものを訴求することはなく、今まで貫いてきたオーガニック・健康・高級志向を守っているように見受けられる。
サイネージではAmazonプライム会員の割引特典を訴求。

サイネージではAmazonプライム会員の割引特典を訴求。

駐車場から店内入ってすぐのゾーンにセール品。

駐車場から店内入ってすぐのゾーンにセール品。

とにかくSALE表記が目立つ。

とにかくSALE表記が目立つ。

ほぼ全品セールを主張するドリンク棚も。

ほぼ全品セールを主張するドリンク棚も。

割引額は20セント(30円ほど)。

割引額は20セント(30円ほど)。

見切り品の棚を設置。少しでもロスがないようにという工夫...

見切り品の棚を設置。少しでもロスがないようにという工夫も見られる。

安価なPB品を試食により積極PR。

安価なPB品を試食により積極PR。

More joy for less. (低価格で、大き...

More joy for less. (低価格で、大きな喜び)

カリフォルニア産の材料を使った食品で、地域とのつながり...

カリフォルニア産の材料を使った食品で、地域とのつながりを作る。

地元×オーガニックで、ホールフーズらしく選ばれる理由を作る。

地元×オーガニックで、ホールフーズらしく選ばれる理由を作る。

最後に

物価高の社会でも、人々は買い物をしなくなるわけではない。
しかし、限られたお金を何に使うべきなのか。人々がお金を払うべき意味を
より強く考える社会になっているといえるだろう。

そのような情勢の中、顧客に選ばれる企業は、自分たちが顧客に提供している価値を理解し、
どうして自分たちが選ばれているのかを見つめ直し、研ぎ澄ました売り場作りをしている。

ただ、安く売ればいいのではない。
顧客は、買い物に心の充足も求めている。

インフレ社会の中だからこそ、企業は自社のブランドを見つめ直し磨くことが求められる。

そのためには、他企業と比較しオリジナリティを見出す努力ではなく、自社の提供価値を問い直し、アイデンティティを深掘りする努力、そして自社らしい売り場を作ることが不可欠だ。

日本においても物価高騰は深刻になっている。10月に2900品目余の食品の値上げをはじめとして、様々なものが値上げされ、物価高に苦しむ人が増えている。

顧客が自由にお金を使えなくなっている現在。日本においてもブランドは、顧客からお金を払う意味を問われている。改めて自社の原点的な価値は何かを見つめ、“らしい”売り場にしていくことが必要だ。米国小売企業の努力から学ぶべきことは多いだろう。


了。

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