2018年1月31日 更新

道具のデザイン

アナログ時代に使われていたデザイナーの道具である鋏、芯ホルダー。デザインという言葉が溢れている現代で、筆者が振り返るべき本質について語ります。

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写真の鋏は刃物で有名なドイツのゾウリンゲンにある
ツヴィリング J.A. ヘンケルス社製の鋏。

この鋏は30歳頃、出来たばかりの会社に入社した時に、
いろいろデザインの道具を揃えるということになり
デザイナー出身の専務が買ってくれた。
当時7000円ぐらいしたと思うが、
その価格を聞いた社長が「なんでそんな高い鋏が必要なんだよ!」
と専務に怒っていた。
太っ腹の社長だったが、創業したばかりでお金の工面が
大変時だった時だからさすがに社長も神経質なっていたのだろう。
この鋏を使う度に当時の社長と専務のやりとりが
微笑ましい記憶として蘇る。

5年後会社が解散し、
そのままもらってそれから25年近くが過ぎて、
指が当たる部分のメッキは剥げているが今でも使っている。
デザイン作業がデジタルになってからは
昔ほど使う機会は減ってしまったけれど、
手入れも全くしていない割に、
今でも切れ味が悪くないのは
さすがゾウリンゲンと言うべきか。

最近のデザインを誇張した文房具に比べると
地味という他はないくらいの素っ気ないデザインだが、
実際に使ってみると使いやすいのだ。
さらに使い込んだ味のようなものが加わって
数少ない愛用の道具となった。
きっと僕より長生きするだろう。
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考えてみたら鋏だけでなくアナログ時代には多くのデザイナーが使っていた
STAEDTLERの芯ホルダーもドイツ製だった。写真の芯ホルダーは今でも
デザインのラフスケッチを描くときに使っているが、これも20年以上僕の
引き出しに何本かある。さらに数年前に購入したLAMYの万年筆も
ドイツ製だった。ともに必要以上にデザインされていないので使いやすい。

ドイツの質実剛健なデザインの文房具は道具に徹したデザインなので
使いやすく飽きもこないし結局長く使うことになる。
日本にもロングライフデザインの文房具は存在するが
マーケティング主導のデザインが多いので長く使えるものが少ない。

同じドイツの製品であるベンツは
最近デザインコンシャスになってしまって、
生真面目なドイツのプロダクト魂を感じなくなってしまった。
一時デザインが好きで乗っていた
アウディも経営的には順調のようだが、
ベンツ同様にデザインを主張し始めてからは
魅力を感じなくなってしまった。

デザイナーズマンション、デザイン家具、デザイン文具と
最近は何でもデザインが頭に着くが、それが頭に来る。

全ての作られたモノはデザイナーが介在していなくても
デザインされているわけだから
デザインなんとかというのは変な話だ。
デザインが冠に付いた時点で、
それはデザインではなく装飾になっている。
装飾を否定しているわけではなく、
装飾をデザインと言っているのが気に入らないのだ。

特にプロダクトデザインのデザインは、
機能を形にしたようなシンプルなものが好きだ。
プロダクトデザインのデザインは
黒子であるのが原則であると思う。

アップルのiPodをはじめとした一連の製品にも影響を与えたとされる
僕の好きなドイツの元ブラウン社のプロダクトデザイナー、
ディーター・ラムスの「良いデザインの10箇条」は
グラフィックデザインをやっている身にも耳に痛い言葉がある。
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■ディーター・ラムス「良いデザイン10箇条」
1.良いデザインは革新的である。
2.良いデザインは製品を便利にする。
3.良いデザインは美しい。
4.良いデザインは製品を分かりやすくする。
5.良いデザインは慎み深い。
6.良いデザインは正直だ。
7.良いデザインは恒久的だ。
8.良いデザインは首尾一貫している。
9.良いデザインは環境に配慮する。
10.良いデザインは可能な限りデザインをしない。

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島隆志 島隆志