2023年12月6日 更新

「1年を経て」ニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC vol.6 エピソード2

6回目になるニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC。洞察をはじめてから1年を経た。 この1年でニューヨークの店頭事情は変容したのだろうか。エピソード2ではウォールフーズを洞察。

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2022年10月、本レポートのvol.1を発行するにあたり観察したニューヨークは
“様子見”をしている状態だったと言える。

店頭のスタッフは削減されたまま、オンラインでの販売が主力となった状況下で
店頭の商品棚は欠品があっても補充されないままの箇所が目立っていた。

それから1年。
2023年10月のニューヨークは、経済・文化の中心、観光都市としての姿を取り戻した。

街にはあらゆる国籍の人々が溢れ、
タイムズスクエアなどの観光スポットでは、満員の観光客を乗せた
観光バスが、道路を埋め尽くす自動車のクラクションを受けながら走りまわっている。

完全に本調子といかないまでも、8割型本来の姿に戻ったというのが大筋の見方だ。

そんなニューヨークの店頭は、今どうなっているのか。
1年を経た店頭の変化を観察・洞察する。

エピソード2 WHOLE FOODS の洞察

ウォールフーズ・マーケットは、アメリカ合衆国のグロサリー・ストアチェーンである。
アメリカ合衆国を中心に、カナダとイギリスを含めて、合計270店舗以上を展開している。
グルメ・フード、自然食品、オーガニック・フード、ベジタリアン・フード、輸入食品、
各種ワイン、ユニークな冷凍食品も品揃えし、いわゆる「グルメ・スーパーマーケット」と呼ばれる比較的高級志向の食料品小売店に分類されている。
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店頭プロモーションが活性化

高級スーパーとして、整然と商品が並んでいた店頭に体温が入った。
先端のデジタルプロモーションに加え、購買動機を生み出す古典的なプロモーションが展開されている。

かつては「SALE」の文字は比較的小さく表示してあり、その場所も一部のエンドだけに限定されていたが、店内至る所で「SALE」の文字と出会う。当然回転がよくなるが、すぐに前出しが行われ、きれいなフェイスで選びやすさ、買いやすさが感じられる。

デリが充実しているため、店内飲食者も増えている。高級レストランより、オーガニックで健康的な食材で調理されたものを店内で食べる。賢く、そして健康的な買物が進む。

より健康的に、人間的に。
無機質な高級感から、人間味ある温かい店頭へ徐々に変化している。
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滞留時間を生み出す

エンドの拡大。
ほとんどのエンドに、はみ出した棚が置かれるようになった。
通路が狭くなった分、そこに滞留しやすくなり、そこでの商品にも手が伸びる。
もともと通路が広く設計してあるので、不快感はなく、お買い得に出会える喜びを創出している。

その拡大されたエンドには、そのコーナーのカテゴリーではなく、関連商材が置かれている場合が多い。
つまりクロスMDにおける気づきの提供である。
既存棚のカテゴリーの消費にも寄与する。
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特売でも1.5ℓの水$2.69。

特売でも1.5ℓの水$2.69。

ピックアップとamazon返品のカウンター。

ピックアップとamazon返品のカウンター。

プラスワン購入促進。

プラスワン購入促進。

特設コーナーがどんどん増えている。

特設コーナーがどんどん増えている。

店内照度にメリハリがあるため、鮮度が際立つ演出。

店内照度にメリハリがあるため、鮮度が際立つ演出。

雨が降ったらすぐに傘が出る。

雨が降ったらすぐに傘が出る。

まとめ

昨年と比べ、ハロウィンで賑やかになったニューヨーク。
笑顔が増え、活動的になり、魂が戻っている。

徹底したSALE訴求や試食やデモ販の急増。
古典的とも言える店頭プロモーションが活発になっている。
それぞれのショップブランドのブランディングを推進すると同時に即効性の高いプロモーションで
店内が賑やかになってきている。

商品を魅力的に見せるモノ重視からよりコトさらにイミの消費に応える店頭に進化している。
展開のキーワードは人間味。
モノと人。
生活と人。
人と人。
そして、心と心。
関係性の再構築。

AIが成長し、シンギュラリティが迫っている。
その中で「人間の再定義」が始まった。
アフターコロナは人と接する喜びを再確認する機会となった。
戦争等経済を脅かす要素は増えているが、人間がさらに逞しくなったことへの自信が溢れている。


了。

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bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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