2022年9月22日 更新

現代のプロレスマーケティング

なぜ今、プロレスが人気を取り戻したのか? 現在のプロレス人気を探る。

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今、プロレスのチケットが売れている。

プロレスはもコロナの影響でピークまではいかないが人気があり、今年も好調である。

現在、格闘技と呼ばれているジャンルは、プロレス・総合・キックボクシング・ボクシングなど様々ある。
先日、那須川天心VS TAKERU戦が大きいカードとしてあったが、新日本プロレスは、ここ10年近くは大きい会場でのビックイベントを成功させている。なぜ、成功しているかを考えてみると、あきらかに親会社が変わってからの変化が大きく関連している。

時代の変化に伴い、プロレス人気に陰りが

ジャイアント馬場選手とアントニオ猪木選手が全盛期の昭和時代のプロレス。
昭和、高度経済成長期からバブル期は、アメリカに追いつけ追い越せとの日本人は経済発展を招きました。昭和時代の日本人プロレスラーが外国人選手を倒すこにより、日本人は鼓舞されました。
当時の日本人の感情とプロレスが良い具合にマッチしていた時代でした。

その後、格闘界は日本人で一番強い男を追い求めます。
特にK1などのセメント(真剣勝負)の格闘技が一大ブームを巻き起こします。
強い男を求めることが、個性を生むと同時にジャンルをはっきりと際立たせました。
プロレス人気は陰り、総合格闘技がメインになっていきます。
(個人的には、髙田VSヒクソンが引き金になっていると思っているのですが)
日本プロレスの日

日本プロレスの日

プロレス低迷期

プロレスは、「強さ」を打ち出すことにより、市場でのポジションを確立していたのですが、
時代と共にその市場が徐々に縮小していく中で、「強さ」での優位性すら失ってしまったのです。
プロレスファンとしては悲しいことですが、総合格闘技などを見始めた人達に
「プロレスは八百長っぽい」とよく言われるようになりました。
プロレスの一ファンとして、
格闘技市場での競争に破れてしまいレッドオーシャン化したプロレスを目の当たりにしました。
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プロレスのブルーオーシャン戦略

市場の境界にラインを引き直す

時が経ち、低迷機が長い間続いていましたが、10年前ぐらいから、デジタル系の会社がプロレス会社を買収しはじめました。
新しいプロレスマーケティングのはじまりです。
ブルーオーシャン戦略として、基本である「市場の境界を引き直す」ことを実施されました。
ブルーオーシャン戦略では、既存ビジネスの何を捨て、何を強化するのかといった「戦略のメリハリをつけること」が重要になります。
要素を見直して、増やすもの、減らすもの、取り除くもの、創造するものを
見直すことが重要なのです。

すべてのジャンルはコア層が潰す

新日本プロレス木谷社長の言葉です。木谷社長は「マニアは最初の常識にこだわり、時代の変化を受け入れない。マニアだけで巨大な市場があれば問題ないが、そうで無い場合、マニアのみを見ていると市場が縮小する」と言っておられました。
新日本プロレスも同様に、「強くなければプロレスではない」「この技はこうでなければならない」というマニアのこだわりがもとで、市場ニーズから乖離していったのです。
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戦略の重要性

新日本プロレスは戦略として大きな4つのプロジェクトをおこないました。

①コアターゲットのリセット

今の顧客が将来の顧客になるかどうかはわかりません。変わる可能性は大いにあります。
変化を見逃すと市場そのものが無くなってしまいます。
変化を見逃さず、その時にコアターゲットをリセットする勇気が重要です。

②レスラーのブランド構築

多様化に伴い、レスラー一人一人のブランド構築を進めました。プロレスの人気は、レスラーのブランド力が上がれば上がるほど高まります。
ブランド力を上げるためには個性だけでは難しい。共感を得ることが必要になります。ファンが感情移入出来て初めて人気が出てくるのです。

③ まずプロレスを体験してもらう(見て感じてもらう)

低迷していたプロレスをV字回復させるために、まずは流行っている感を出しこちらを向いてもらうようにしました。
木谷社長率いる新日本プロレスは当初一年で、一気に3億円の広告宣伝を使ったようです。
山手線の車体広告やラッピングバスなど、とにかく目に触れることを優先して行いました。
今までのファン以外のファンへのアプローチです。
「あれ、プロレスって流行ってるんだ」という雰囲気を作りました。

④ テクノロジーの活用

テクノロジーの活用も行いました。動画配信サービスに力を入れ、テレビの前以外でも試合に触れられるようにしました。
海外への配信や海外プロレスとの連携も新たな顧客獲得の一環です。
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プロレスマーケティングから学ぶべきところ

新日本プロレスが上記のプロジェクトを遂行していく中で獲得した新たなファン層は今では4割が20代・30代の女性、1割が12歳以下の子供となりました。
業績もV字回復しました。
他のプロレス団体もサイバーエージェント社が買収に乗り出すなど女子プロレス含め、盛り上がっています。

ブルーオーシャン戦略は、競争相手のいない市場を探しそこに事業立地を移すことではありません。意識の変容、思考の変容、行動の変容が大切です。
「今までのやりかたはこうだ」とか「やりかたを変えたくない」「使うかもしれないからとっておく」などの固定概念が、私の周りにも多々あります。
勇気を持って、自らの持てる資産の棚卸しを行い、減らすもの、増やすもの、削るもの、新しく加えるものなどを見極め「注力ポイントのメリハリをつけること」で市場を引き直すことが、新たな時代を切り開くことなのかと日々考えています。

最後に余談ですが、私は個人的にはマスクマンが好きです。
1位エルサムライ
2位カシン
3位ドクトルワグナーJr

了。
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