2018年1月16日 更新

店頭POPや店頭什器のデザインの参考に、ディズニーアート展に行ってみた

普段、店頭POPや店頭什器のデザイナーを行っているデザイナーのS。クリエイティブやデザインを追求するうえで、偉大な作品やクリエイティブで遊び心にあふれるデザインに常日頃触れるように努めています。自分が店頭POPや店頭什器をデザインするうえで、参考になるそうです。

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店頭POPや店頭什器をデザインするデザイナーの日常とは??

デザイナーのS です。
デザイナー視点での記事もアップしていきたいと思います。
今回はアートに関する記事にしたかったので、先日行って来た展覧会のご紹介をしたいと思います。

2017 年10 月14 日( 土) ~ 2018 年1 月21 日( 日) まで大阪の天王寺にある大阪市立美術館で
開催中の『ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法』に行ってきました。

ミッキーマウスの誕生から最新作「モアナと伝説の海」まで約90年分の原画が出展、そのほとん
どが日本初上陸!日本でディズニー作品についての展覧会は過去に2回開催されましたが、初期の
作品から最新作までが一堂に展示されるのは初の試みだそうです。

デザイナーにとって、ディズニーアート展は気持ちが上がります!

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外の案内ポスターと美術館入り口。会場に入る前からワクワクしてきます。
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来場記念に一緒に写真を撮れるようなパネルもありました。
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入場ゲートもミッキーの形で凄く可愛かったです。
一人で行っていたため記念撮影できなかったのが残念です。(笑)
展覧会の構成順に感想を書いていきたいと思います。

遊び心あふれるデザイン!ディズニーアート展 作品紹介

1 :動き出すいのち

展示作品
『プレーンクレイジー(1928 年)』
『蒸気船ウィリー(1928 年)』
『ミッキーのハワイ旅行(1937 年』など
1920 年代末、映画界がサイレント(無声映画)から動きと音が完全にシンクロしたトーキーへと
移り変わり、映画はサウンド(音楽、声、効果音など)を手に入れ、『蒸気船ウィリー』は、その新技術を
フル活用した、世界初のトーキー・アニメーション映画。私もなんとなく作品は知っていたものの
内容など映像を見たのは初でした。作品紹介の他には初期キャラクターの設定シートが展示してあり、
ミッキーマウスとその仲間たちの始まりが見てとれる貴重な展示だらけでした。
まだアニメーションの技術が開発される前だというのに、キャラクターの仕草もちゃんとその
キャラクターそれぞれの特徴を活かした表現がされており、限られた表現の中で様々な工夫が
されているのだなと感じました。

店頭POPや店頭什器には、キャラクターが使われることもあるので、興味深かったです。

2:魔法のはじまり

展示作品
『白雪姫(1937 年)』
『ピノキオ(1940 年)』
『ファンタジア(1940年)』
『ダンボ(1941年)』
『バンビ(1942 年)』
ウォルト・ディズニーは、1937 年、世界初の長編カラーアニメーション『白雪姫』を公開。
音楽に合わせてキャラクターーやアニメーションを作るアニメーションならではの
“いのちを吹き込む魔法” を試行錯誤を重ね開発しました。
このゾーンでは今のCG 技術につながる革新的な魔法を「視覚」「音」「心」「自然」の4つの分野に分けて
紹介していました。
まず「視覚」の魔法。長編アニメーション第2 作の『ピノキオ』(1940年)ではマルチプレーン・カメラ
という、たくさんのセル画を異なるスピードで動かすことにより、二次元の絵に、三次元的な奥行きを
与える技術を導入しました。会場にはマルチプレーン・カメラを説明する模型が展示されており、
映像とともにわかりやすい解説がありました。
そして「音」の魔法。『ファンタジア』(1940 年)は世界初のステレオ映画。「ファンタサウンド」と
呼ばれる音響の録音・再生システムを開発し、コンサートホールにいるようなダイナミックな音を
体感できるようになりました。
3 つ目は「心」の魔法。『ダンボ』(1941年)では、主人公であるダンボに喜怒哀楽の感情を与える
ことで、あたかも人間のように笑ったり、怒ったり、泣いたりする。感情をフィルムの絵だけで
表現するため、顔だけでなく、象の大きな耳や体を使った仕草によって描きました。
4 つ目の魔法は「自然」。『バンビ』(1942 年)は実際にスタジオ内に鹿を飼ってその生態を
研究するなど生命のリアルさにこだわりました。
このような新たな技術やリアルを追求した作品作りによって今のCG 技術につながる革新的な
作品が生まれたのだなとなんとなく見ていた作品の中にそんな工夫・こだわりがあったことに
驚かされました。自分のデザインにも参考になります!

3:魔法の使い手たち

展示作品
『ラテン・アメリカの旅(1943年)』
『ふしぎの国のアリス(1951 年)』
『わんわん物語(1955年)』
『眠れる森の美女(1959 年)』
『101 匹わんちゃん(1961 年)』
『ジャングル・ブック(1967年)』
1950 年代になるとベテランアニメーターたちと、新進のクリエイターたちが作り上げるスタイルの
異なるコンセプトアートや背景画によってディズニーは世界観を広げていきます。
このゾーンでは、ディズニーの歴史に名を残すアニメーターたちの生スケッチやコンセプトアートが
数多く展示されていました。
様々なクリエイターの紹介と異なる個性のスケッチやコンセプトアートが並んでいました。
メアリー・ブレアによる独創的な色彩感覚のふしぎの国のアリスなどのコンセプトアート、
画家のアイヴァンド・アールによるゴシック様式の絵画や美術からヒントを得美しい世界
の『わんわん物語』『眠れる森の美女』のコンセプトアートが印象深かったです。

コンセプトを確立した店頭POPや店頭什器のデザインを行えれば、と思いました。

4 新たな次元へ

展示作品
『リトル・マーメイド(1989 年)』
『美女と野獣(1991年)』
『ライオン・キング(1994 年)』
『ポカホンタス(1995 年)』
『ムーラン(1998 年)』
『ターザン(1999 年)』
『リトル・マーメイド』のヒットをきっかけに、ディズニー・アニメーションは二度目の黄金時代を
迎えます。この頃より、CGをはじめとしたデジタル技術を徐々に取り入れ、デジタルならではの表現
をも追求していきます。初めて3DCG を採用した『美女と野獣』、。最新のCG 技術をクライマックス
シーンに取り入れた『ライオン・キング』ヌーの群れにシンバが襲われるシーンは。ベースとなる手
描きの一頭をCG で何千頭に増やして動かし、約2分半のこのシーンの制作に、1年半もの時間が費や
されました。私がディズニー映画の中で最も好きな作品『美女と野獣』幼い時に見た記憶でも
ベルと野獣がダンスをするシーンはとても奇麗で印象に残っていましたが、背景に3DCG が使われている事は今回初めて知り、奥行き感やカメラワークなど改めて見てまた幼い時に見たときとは違った見方で美しさを感じました。

立体的な店頭POPや店頭什器をデザインするうえで、今回の作品は学びとなりそうです。

5: いのちの新時代

展示作品
『塔の上のラプンツェル(2010 年)』
『シュガーラッシュ(2012 年)』
『アナと雪の女王(2013 年)』
『ベイマックス(2013 年)』
『ズートピア(2016 年)』
『モアナと伝説の海(2016 年)』
1995 年、世界初のフル3DCG 映画『トイ・ストーリー』が公開されました。アニメーションは、
ここで3DCG という新たな魔法を手に入れました。2006 年にディズニーとピクサーが一緒になって
からは、ジョン・ラセターが両社の作品の製作総指揮としてクオリティ管理を担当。作品では、多様な
価値観や地球の未来など、より社会的なテーマが色濃く描かれていきます。
フル3DCG 映画が主流になり興行成績もCG アニメの方が優れているという結果が出たことにより
ディズニーは2013 年に伝統の手描きアニメーションから撤退しました。
3DCG 技術も年々クオリティーが上がり、人や動物の毛並みまでリアルに表現できるようになり
ました。3DCG で見せる迫力あるシーンや美しい世界感はすばらしいと思いますが、個人的には
手描きアニメーションの方が好きなので、今回のアート展でも改めて手描きアニメーションの良さ
を感じたのでいつかまた手描きアニメーションが作られないかなと感じました。

展覧会に参加して:店頭POPや店頭什器のデザイナーの感想

今回アート展に行って、見た事のない作品もありましたし、見たことのある作品も改めて
見てみたくなりました。90 年前から現在までの手描きのラフから原画までとても貴重な作品の
数々、名作が生まれるまでの舞台裏を垣間見ることができクリエーター達の自由な想像力と、それを支えた革新的な技術進歩の歴史を見ることができ大満足でした。


90 年も世代を超えて愛されるディズニー作品は素晴らしいですね。

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