2023年12月4日 更新

「1年を経て」ニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC vol.6 エピソード1 

6回目になるニューヨーク店頭レポートシリーズ RETAIL POWER IN NYC。洞察をはじめてから1年を経た。 この1年でニューヨークの店頭事情は変容したのだろうか。物価高騰が続くアメリカの店頭事情。スマートの買い物と、賢い買い物に対応した店頭づくりがポイントとなりそうである。

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2022年10月、本レポートのvol.1を発行するにあたり観察したニューヨークは
“様子見”をしている状態だったと言える。

店頭のスタッフは削減されたまま、オンラインでの販売が主力となった状況下で
店頭の商品棚は欠品があっても補充されないままの箇所が目立っていた。

それから1年。
2023年10月のニューヨークは、経済・文化の中心、観光都市としての姿を取り戻した。

街にはあらゆる国籍の人々が溢れ、
タイムズスクエアなどの観光スポットでは、満員の観光客を乗せた
観光バスが、道路を埋め尽くす自動車のクラクションを受けながら走りまわっている。

完全に本調子といかないまでも、8割型本来の姿に戻ったというのが大筋の見方だ。

そんなニューヨークの店頭は、今どうなっているのか。
1年を経た店頭の変化を観察・洞察する。

エピソード1 TARGETの洞察

ターゲット・コーポレーション(Target Corporation)は、アメリカ合衆国で売上高第5位の小売業者だ。
ディスカウント百貨店チェーン「ターゲット(Target)」など、小売店1800店強を運営している。
アフターコロナになっても食品部門は、ウォルマートとターゲットは好調との記事をみかけるが、
都市の中心部にある「ターゲット」の店舗を引き続き観続ける。
TARGET

TARGET

人が人を呼んでいる。

一年ほど前は、休日でさえ、店内で見かける人はほとんどおらず
買物が寂しいものだと感じてしまう店になっていたが、今はすっかりかつての活気を取り戻している。

もちろん、客数も戻っているのだが、それ以上に驚くのは、店内をメインテナンスするスタッフの数である。
空いている棚はほとんどなくなり、頻繁に前出しが行われる。
綺麗に並んだ商品群には、無意識に手が伸びる。

来店者との会話も豊富である。
万引き防止のため、ドアがついた棚の開閉も迅速に行われ、
商品についての話もできる。
店内コミュニケーションが活発になっている。
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スタッフを増やしたのだろうか。

セルフレジの推進と定着により、レジスタッフはかなり減少した。
その分フロアスタッフを増やすことができたのではないか。

フロアに人がたくさんいること。
それは、人を呼び、買物欲を上げていく。

もう一つは内食機会の増加が原因ではないだろうか。
物価上昇はまだ続いており、レストランでの外食は多くの人にとって贅沢なこととなってきている。
そのため、スーパーマーケットで食品を買う機会が増えている。
食品の回転がよくなり、店頭に鮮度が戻っている。

インフレ時代にはスマートな買物が求められる。
賢い買物に応える店頭づくりが進んでいる。
ハロウィンの活気も戻っている。

ハロウィンの活気も戻っている。

こまめなディスカウントが スマートな買物欲を刺激する。

こまめなディスカウントが スマートな買物欲を刺激する。

スタッフと顧客の会話も増えてきている。

スタッフと顧客の会話も増えてきている。

クリスマス商戦はすでにスタート。

クリスマス商戦はすでにスタート。

触れない商品が増えたのでスタッフがすぐに駆けつける。

触れない商品が増えたのでスタッフがすぐに駆けつける。

頻繁に棚のメインテナンスが行われるようになった。

頻繁に棚のメインテナンスが行われるようになった。

VOPIS用カウンターが設置されている。

VOPIS用カウンターが設置されている。

BOPIS

このシリーズでは何回か出てきているが、再度BOPISについて言及する。
Buy Online Pick-up In Storeの頭文字をとってBOPIS。ボピスと読む。
ネットで注文をした商品を店舗まで行って引き取ることである。
配達を待たず自分で店舗に取りに行く方が良いという人には最適なシステムである。
アメリカの大型スーパーなどでは、駐車場にBOPISの旗が立っていて、店員が駐車場に購入済み商品を
持ってきたりしている。

さて日本ではどうだろうか?大手GMSなどは少しだけではあるがBOPIS用のロッカーが設置されていたりもする。商圏が広大なアメリカと比較し、日本は狭い商圏で、郊外でなければ駐車場が保てない店舗も多い。BOPISという買い物の仕方が広まるだろうか。
広まるとは断言はできないが、時代を変容させる決定されているファクトがある。
直近にせまった2024年問題である。
働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称のことをいう。
今日ネットで頼んで、今日や明日に荷物が届くなんて過剰な便利さは、今後はなくなっていく。
そこでBOPISが活性化される可能性はある。
倉庫&物流会社さんと2024年問題について話し合うが、基本的には3交替制にすれば問題ないとのことであるが、「すぐお届け」という物流網は厳しくなるそうだ。
それよりも、来年ではなく2030年頃には圧倒的に物流従事者の数が減るそうだ。
これが大きな問題となると聞く。
そうなってくるとBOPISは活性化されると予想される。
ここにもビジネス機会を創り出せる可能性はある。

まとめ  展開のキーワードは『人間味』

昨年と比べ、ハロウィンで賑やかになったニューヨーク。
笑顔が増え、活動的になり、魂が戻っている。

徹底したSALE訴求や試食やデモ販の急増。
古典的とも言える店頭プロモーションが活発になっている。
それぞれのショップブランドのブランディングを推進すると同時に即効性の高いプロモーションで
店内が賑やかになってきている。

商品を魅力的に見せるモノ重視からよりコトさらにイミの消費に応える店頭に進化している。
展開のキーワードは人間味。
モノと人。
生活と人。
人と人。
そして、心と心。
関係性の再構築。

AIが成長し、シンギュラリティが迫っている。
その中で「人間の再定義」が始まった。
アフターコロナは人と接する喜びを再確認する機会となった。
戦争等経済を脅かす要素は増えているが、人間がさらに逞しくなったことへの自信が溢れている。
了。

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この記事のキュレーター

bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部
   
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