2025年9月11日 更新

必見!店頭販促特集!2025年第26弾

お茶のタバコ自販機風什器 / フリクション売場は学びの場 / 産学での社会貢献型の売場体験 / 展示前提のパッケージ設計リキテックス

8 view

店頭販促特集

凡美社では店頭販促の実態を常に観察している。
売場は常に市場に対して敏感であり、トレンドが反映される。
メーカー側が展開する店頭ディスプレイや店頭POP、店頭施策。
小売側が展開する店頭施策や店頭POP。
買い物客に対する『価値体験の向上』を目指して、店頭は常に変化する。

店頭でのコミュニケーションデザインや、価値伝達の強弱、
コンストラクションデザインも含めた見せ方、体感させる施策などを追求していく。

そこには、セルアウトを考えたプロモーション施策をもってして、流通との商談にのぞむ
メーカーの提案が見えてくる。
さらに小売り側の商品陳列の仕方や店頭POPからは、今の時世にあわせながら、何とか売ろうというパワーも見えてくる。

POP研究家の向坂氏とタイアップし、
随時面白く、ワクワクする売場(買場)をレポートしていく。

2025年 第26弾

100  “勘違い”を呼び水にしたユニーク什器の販促術

タバコの自販機風什器。
自販機のフリして、手で取るスタイル。
商品も、たばこのフリしたお茶でした!
昔からある什器だけど、面白い。
 (12879)

 (12880)

 (12881)

 (12882)

 (12883)

 (12884)

一見、昔懐かしいタバコの自販機にしか見えない。
しかし、よく見るとパッケージには「Chabacco(チャバコ)」の文字。
そしてその正体は、“粉末の静岡茶”である。たしかにタバコ風の箱に、スティック状のパウダー茶が収められており、形状も陳列方法もタバコそっくりだ。

本施策のキモは、「錯覚を利用した注意喚起」である。
購買導線上にあるこの什器は、“違和感”というフックで視線を奪う。
近づくと「コレ、たばこ……ではなく お茶です!」と吹き出しPOPが現れ、思わず「なんだこれ?」と笑ってしまう。注意喚起→接近→理解→クスッ→興味喚起……という流れが、見事に売場で発生している。

しかも商品の特長は“30秒で溶ける本格静岡茶”という即席性と本格感の両立。
パウダーを水や湯にサッと溶かすだけで、緑茶・ほうじ茶・玄米茶などが楽しめる仕組みで、観光客や出張者の「手軽に日本茶を持ち帰りたい」ニーズにハマる。
お土産としての新しさ・ネタ性・品質という三拍子が揃っている。

「ボタンを押しても商品は出ません」というジョークPOPや、「これはタバコではなく日本茶です」というツッコミ型の解説POPが、すべて“誤解からの納得”という体験に変換され、売場にエンタメ的体験を持ち込んでいる。

見立てと文脈で売場をつくる。この販促施策は、“売る”以上に“伝える”ことに重きを置いているように思う。

101 「勉強にはフリクション」──説得力しかない!文具売場×予備校講師の知的融合プロモーション

「勉強にはフリクション」というテーマの売り場企画。
コラボ先が東進ハイスクール。
東進ハイスクールの名物講師が商品特徴を解説してくれる。
近年のボールペン売り場ってメチャクチャ面白いプロモーションばかりなのだけど、これも凄い企画だな!説得力がハンパないのだけど!天才か!?
 (12888)

 (12889)

 (12890)

 (12891)

 (12892)

 (12893)

ボールペン売場が、ここまで“熱くてエンタメ”になるとは!

訴求軸が明快で強い。
「勉強にはフリクション」。この一言に尽きる。
こすると消える、しかも“消しカスゼロ”という商品機能を、受験生の強力な味方として位置付けたうえで、「すぐに直せるから効率が上がる=成績が上がる」と論理展開されている。
しかもその解説をするのが、実際の予備校講師というのがズルい。説得力が尋常ではない。

中央にはタブレット型の動画プレイヤーが設置され、志田先生が実際に黒板を使って“間違いの訂正→理解の促進”という流れを説明。
それがそのまま商品の機能性価値と重なるという構成になっており、販促というよりまさに“学習支援”の空気すら漂う。

また、什器全体が“教室風”の黒板デザインで統一されており、筆記具コーナーにおける文脈演出も秀逸。ピンク・イエロー・グレーなどのカラバリ展開も豊富で、機能だけでなく選ぶ楽しさも訴求できている。

フリクションシリーズ自体はすでに定番だが、今回は“再定義”に成功している。あらためて「学生にとって必要な道具」として価値を見直させる構成であり、単なる文具ではなく“学習効率を上げるツール”として昇華しているのが素晴らしい。

学習塾や教育機関とのコラボによる販促は色々あるが、
「商品の物性」と「教育的価値」をここまで高いレベルで融合させた事例はあまり見ない。
売場そのものが「学び場」と化している、文具というカテゴリーを新たに再編集している販促。
こういうの好きだな~。

102 学生×商業施設の共創が生んだ“やさしさの循環”

大阪産業大学とイオンモールとの共同施策。
誰でも利用できる、無料のレンタル傘「エコKASA」。
こういう取り組み、いいな。
 (12897)

 (12898)

 (12899)

「急な雨、困ったときに。」
このシンプルかつ力強いキャッチが、イオンモールの通路に優しく立っている。

什器デザインは明快で親しみやすい。
傘を借りる→使う→返す、という3ステップをアイコン付きでわかりやすく提示し、言語に頼らず誰でも理解できる設計となっている。
特に「急な雨=困りごと」という共通体験に対し、“そっと手を差し伸べる”ような存在感を放っているのが印象的だ。
こうした心理的バリアの低さが、日常利用を自然に促している。傘があることで救われる人がいて、その姿を見た人が次に返す──この循環が“優しさのインフラ”を生んでいる。

機能価値ではなく、共感価値。
店頭販促が「売る」こと以上に「人をつなぐ」ために使われている。
商業空間の未来が、こうした優しいデザインによって形づくられていくことに、大きな意義があるように思うし、単なる販促ではなく“社会貢献型の売場体験”が実現している。

103 商品が語る「展示されること前提」のパッケージ設計

アクリル絵の具リキテックスのパッケージ。
お尻の部分に、予め吊り下げて陳列するための穴が空いてる。
パッケージデザインは、陳列方法を想定してデザインされていると、売り場と息の合った展示ができる。
 (12903)

 (12904)

 (12905)

 (12906)

リキテックスのパッケージは、チューブの“お尻”にあらかじめフック用の穴が空いており、什器のフックにそのまま吊るすことができる構造になっている。
この仕様が生み出すのは、整列された美しさと視認性の高さである。
色相順でずらりと並ぶことで、まるでカラーチャートのようなグラデーション陳列が実現している。

単に“売るため”ではなく、“展示される前提で作る”という思想が透けて見える。

店頭什器側もそれを受けて、フック間の間隔やグリッド設計が的確で、非常に“気持ちの良い売場”となっている。さらに、台座部分には人工芝が敷かれ、アート×自然という情緒的な演出も加わることで、クリエイティブな売場空間として成立している。

このように、商品設計と売場設計が“阿吽の呼吸”で連動すると、陳列そのものがプロモーションになる。「売場と商品が噛み合っている美しさ」を感じる。
了。

関連する記事 こんな記事も人気です♪

必見!店頭販促特集!2025年第21弾

必見!店頭販促特集!2025年第21弾

panasonic冷蔵庫POPサステナブル / ロック電源ケーブルの実演力 / イッケンドルフのグラスウェア / 常温飲料
必見!店頭販促特集!2025年第17弾

必見!店頭販促特集!2025年第17弾

ルンバ / なまえペン / 冷蔵庫立体POP / チャートマップ
必見!店頭販促特集!2025年第23弾

必見!店頭販促特集!2025年第23弾

ビックカメラクレーム販促 / 自転車展示台 / PILOT紙製自販機キャンペーン / パナソニック×餃子
必見!店頭販促特集!2025年第20弾

必見!店頭販促特集!2025年第20弾

アディダスBoston13 / MIZUNO FOOTBALL / フードドライブコーナー / 手描き風POP(ペットフード)
必見!店頭販促特集!2025年第15弾

必見!店頭販促特集!2025年第15弾

ビオレ冷 / 浮き輪 / アイス+コンテンツ / りぼん+推し活

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

bonbi GOSSIP 編集部 bonbi GOSSIP 編集部