2018年1月12日 更新

72時間ホンネテレビのプロモーションに関する考察

元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾による「72時間ホンネテレビ」放映前のプレプロモーション施策、生放送中のプロモーション施策についてのどんな施策を行い、どんな結果が出たのかを振り返る。

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72時間ホンネテレビで始めて行われた画期的なプロモーションとは?

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72時間ホンネテレビのフィナーレ、最終的に7400万視聴超え
11/2から11/5まで、Abema TVにて放映された、元SMAPの3人による「72時間ホンネテレビ」。最も画期的だったといえるプロモーション施策は、「放映中画面のキャプチャー画像の掲載」を各メディアに認めたことだろう。そのプロモーション活動により、メディアはキャプチャー画像つきの記事を無数に上げることになる。

放映時間中(*放送の定義は曖昧なので、ここでは放映としておく)、各女性系ニュースサイト、スポーツ新聞系サイトなどで1次情報=テレビ画面キャプチャー付き記事として配信され、それらメディアの多くは、Yahoo!ニュースやLINEニュースへの配信を行っているため、タイムリーにYahoo!やLINEにも取り上げられ、その多くが、リツイートもしくはシェアされたようだ。相当数のニュース経由の番組アクセスが、視聴数の大幅な押し上げにつながったことは想像に難くない。

これまで地上波では、「放映画像のキャプチャー掲載」に関しては、認めることはほぼなく、各局の24時間テレビなどでもそのようなプロモーションは到底できなかった。24時間テレビの経過報告をニュースとするスポーツ新聞系サイトなどはあったものの、テキストだけの記事だとどうしても内容には乏しくなる。

また、過去にネットニュースには、タレント画像の利用を一切認めてこなかったジャニーズ事務所。退社後の独立を契機に、彼ら(元ジャニーズ事務所所属タレント)がその使用を全面的に認めたということに、今回の番組プロモーションが成功した最大の理由がある。

結果として
・総視聴数合計:7400万超
・稲垣吾郎のアメブロ:3日間全体アクセス1位
・香取慎吾のinstagram:100万フォロワー超
・草彅剛のYoutubeチャンネル:総再生500万超え
・Twitter世界トレンド第一位ワード「森くん」

などの記録を達成している。

総視聴数7400万超えは果たしてスゴイことなのか?

これにはさまざまな考え方がある。こんな見解もある。
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この記事にもあるように、PCであればブラウザを一度落とす、スマホであれば、一度アプリから離れる、そうすると、同一ユーザーであっても、アクセスが複数カウントされてしまう。つまりは、どんなにファンであっても、72時間ずっとそのままで見ていることは想定しにくい。

コアなファンであれば、十数回は放映期間中にアクセスするかもしれない。とはいえ、コアなファンばかりではない。ネットニュースを見て、一度アクセスする程度のファン度の低い人もそれなりにいると仮定すると、結構な数字と言えそうだ。

コアなファンや中程度のファン、一度は目にしようかと思った視聴者、それらの平均アクセス数は、Abema TVのみぞ知ることだが、平均を仮に10回としても、700万人超、7回としても、1000万人超が視聴したことになる。実は一度見てみたいという人が多ければ多いほど、平均視聴回数は少なくなるので、仮に5回とすると、1400万人超が見た計算になる。(編集部注:計算式は、総視聴数7400万÷一人あたりの平均アクセス数=視聴ユーザー数)

この数字は結構強烈なものだ。今年の日本テレビの「24時間テレビ」全時間を通じて、18.6%の視聴率を記録している。これは、1%が100万人と言われる視聴率の世界で、1860万人換算を意味する。

仮に平均視聴回数が5回の場合、1400万人超が見た「72時間ホンネテレビ」はかなりのパフォーマンスを表現したと言えなくはないだろうか。
吉本やジャニーズの一線級のタレントは出演せず、あくまで個人事務所もしくは田辺エージェンシーなどの幾つかの事務所の協力を得た番組に過ぎないと言えなくもないのだ。
ここで「72時間ホンネテレビ」の放送前のプレプロモーションと生放送中のプロモーションを振り返ってみたい。

72時間ホンネテレビのプレプロモーション

PR活動

まずはプレスリリース、タイミングが良く、かなりのニュース報道がなされた。
このプレスリリースは9月25日付け。つまりは9月8日付けで3人がジャニーズ事務所を退社しているが、それから2週間弱しか経っていない。以前から水面下でこの企画の話し合いは進んでいたと見るのが妥当だろう。そのあたりのくだりは、サイバーエージェント社の藤田社長が受けた以下のインタビュー記事に詳しく載っている。(*具体的な企画の話し合い開始時期は、退社後急きょといったニュアンスではあるものの…)
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少し脱線してしまったが、PR活動において、情報解禁日までの情報の秘匿はかなり重要なPOINTとなる。そのほうがメディアへの波及力が強いからだ。1メディアだけの特ダネの先行掲載となると、後追い掲載するメディアの数は減るのが通例だ。

情報を寸前まで漏らさず、全メディアに同時周知できたことで、ニュースを見たSMAPファンの間でのリツイートやシェアなどが最大級に行われたことを見ると、大成功と言えるプレプロモーションの出だしとなった。

キャンペーンサイト

PRで組み立てた勢いをそのままに、キャンペーンサイトなども用意している。キャンペーンに使われたノベルティのバリューとしては、価値の高いものであるとはいえないが、abema TVのブランディングや、キャラクターの訴求に繋がりそうな展開となっている。
それぞれ(72時間=)72名限定プレゼントというあたりが、キャンペーン内容がシェアされた際などに、放映が72時間であることの間接的な訴求になっていたようだ。

ユーチューバー草彅プロモーション

有名ユーチューバーのHIKAKINやはじめしゃちょーと組んで、草彅出演動画が事前にアップされていた。

ヒカキン vs 草なぎ剛!コーラ一気飲みバトルしたらまさかの結果に!【負けたらデスソース】

なんと、1本で視聴数500万超え

草なぎ剛さんの目の前でスライム風呂を大爆発させてみた

視聴数1本で240万超え

草彅剛さんとナンジャモンジャゲームやったらクソ面白かったwww

視聴数240万超え
番組事前告知動画にて発表された各々の役割、「ブロガー稲垣吾郎」、「インスタグラマー香取慎吾」、「ユーチューバー草彅剛」の中で、告知動画アップ後、瞬間的にTwitter日本トレンド1位に輝いた、つまりは、情報拡散力の高いキーワードとすでに証明されている「ユーチューバー草彅」を更に広めることに特化した効果的なプロモーションといえるだろう。

72時間ホンネテレビの放映中プロモーション

番組企画、そのもの自体がプロモーション

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運動会に備える草彅

ユーチューバー草彅、今度はマックのクルーになりました!!

インスタ映え映え運動会、など、ソーシャルでの拡散を意図した番組企画があった。
各タレントにもソーシャルを積極的に使用させる運動会、マックでバイトしている設定の草彅剛のアルバイトの様子がYoutubeに動画投稿していくなど、番組企画自体がソーシャルの拡散の手助けとなったといえるのではないか。

インフルエンサータレントによるプロモーション

山田孝之、山崎賢人、きゃりーぱみゅぱみゅなどを講師に、Twitterやインスタグラムの使い方を教えてもらうという企画などもあった。それぞれ、数百万超えのフォロワーを持つタレントで結果として、彼らのソーシャルでも番組内の共演写真などが次々とアップされていった。

山田孝之君自家用ジェットでかけつける!

稲垣吾郎、香取慎吾、草彅剛のソーシャルにおけるプロモーション

番組企画内でも、どんどん撮影し、特には共演者と肩を組み、ソーシャル初体験とは思えない頻度で、Twitter、ブログ、インスタグラムをアップしていた3人の努力と情熱も大きい。香取慎吾のインスタグラムのいいね!数は期間中1420万超。
カトルドトランプ
もしもの結婚式

開かれたプロモーション戦略と戦術

地上波におけるデジタルテレビなどのデジタル連動施策では、テレビの前の視聴者向けアンケートや視聴者クイズが主流の現状がある。その考え方だと、どうしてもテレビの前の視聴者だけとの閉じた空間内でのやり取りとなる。つまり、視聴していない人(=潜在視聴者)がそのような番組内イベントを知り、それをきっかけとして番組を視聴させるといったことが難しいとも言える。

番組の公式Twitterなどで、番組連動クイズが開催中である旨など告知することは可能だろうが、アンケートやクイズに用いられる時間(番組内の尺=短い)を考慮すると、局のソーシャルの運用担当者の労は多いものの、実りが少ないかもしれない。

今回の「72時間ホンネテレビ」では、香取慎吾、稲垣吾郎、草彅剛がソーシャル初心者であり、それをレクチャーするという設定があった。

それによって番組内での「これでもか!」というほどのソーシャル利用が自然であり、かつそれが他のタレントにも波及したという意味で、その初期設定がまさに同時多発的な情報拡散を促したとも言える。

むしろ地上波にはないレベルのソーシャル偏重とも言え、番組内での連続投稿によって、タレントのソーシャルには、いいね!やリツイートが飛躍的に増え、それを見て、他のソーシャルユーザー=新たな番組視聴者がabema TVを見るという、好循環が毎分毎秒、72時間継続して行われていたのではないだろうか。

地上波テレビ局には今まであまりなかった、視聴者をネットから呼び込むという発想だが、企画によっては既存テレビ局も真似出来ないことはなさそうだ。

このような巻き込み型、ソーシャルを舞台とした劇場型とも言えるプロモーションは、今後大きな可能性があるのではないだろうか。

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