コーズマーケティングとは??
コーズマーケティングとは、特定の商品・サービスを購入すると、企業が売上の一部を寄付に充てることを表明し、消費者の社会貢献を果たしたいという思いに訴えかけながら、製品ブランドや企業のイメージアップを狙う手法のことを指します。
via pixabay.com
Cause(コーズ)は、もとの意味は「原因」ですが、ここでの意味は、「正当な理由、大義」を指しており、Cause Related Marketing(コーズ・リレーテッド・マーケティング)と呼ばれることもあります。
企業による一般的な寄付活動との違いとしては、大義を顧客に対して訴求することで社会貢献だけではなく、自社の売上と利益の向上も同時に追求している点が挙げられます。主にマーケティング・広報部門が担当しうるCSRの手段の一つとしても注目を集めています。
via pixabay.com
また、「コーズマーケティング」という言葉が広く普及するきっかけとなった成功事例として日本でも良く知られているのが、1983年のAmerican Expressによる「自由の女神修復プロジェクト」です。同社はカードの発行1枚あたり、カードの利用1回ごとにアメリカン・エキスプレスが寄付を行うというキャンペーンを展開し、結果として自由の女神の修復基金として170万ドルを寄付することに成功しました。
コーズマーケティングの課題と現状
既に30年以上の歴史のあるコーズマーケティング、その概念は数年前より確実に広がっていますが、まだまだ問題点もあります。
via pixabay.com
それは、消費者側からすれば、企業側がどれだけ利益を削って行っているのかがよく見えないため、損して得取れのような安易な販促施策に見えてしまう場合も多いということです。
その意味では、広告よりも第三者メディアにおけるPR活動のほうを重視したほうが良いでしょう。新聞やテレビ、雑誌など媒体の番組や記事を通じて、キャンペーンを広めたほうが効果的です。
via pixabay.com
また、企業側にも苦心する部分があり、PR活動を行う手間や外注費はもちろん、CMや新聞広告などで広告していくとなると、相応のコストがかかります。さらに店頭POPなどの店頭ツールを全国の流通に届ける必要も出てくるかもしれません。
基本的には、消費者への価格を値上げすることは難しいため、製品あたりの広告費や販売促進費から、キャンペーンを周知するためのコストを捻出していくのですが、通常の広告施策よりもお金がかかる場合も多いということです。
昨年(2016年)ですが、10年続いていたボルヴィックのチャリティプログラム「1L for 10L」も終了してしまいました。
via pixabay.com
汚れた水を飲まざるを得ない状況の子どもたちの命や健康を守ることを目的に、毎年実施されていたボルヴィックのチャリティプログラムで、消費者の購入1リットルごとにアフリカ・マリ共和国において、清潔で安全な水を10リットル生み出すという社会的大義の大きなプログラムです。
売上の一部を、日本ユニセフ協会を通じてユニセフマリ事務所に寄付することで、井戸の新設や壊れた井戸の修復など、現地での清潔で安全な水を生み出す仕組み創りを支援するという、非常に社会的大義のあるキャンペーンでした。
via pixabay.com
10年で50億リットル以上を生み出しました。そのために行った施策として、井戸の新設は90基、井戸の修理は169基もこの寄付金により実現できたそうです。(公式HPより)安全で清潔な水を提供する仕組みができたことで、乳児や幼児にとって致命的だった疫病なども大幅に減ったようです。
この取組が終了した理由として、一定の役割が終了したという捉え方もありますが、以前よりそれによる売上や利益の増加効果も減ってきたのかもしれません。
コーズマーケティングの今後は?
ある調査では、「社会のためになる活動をしている企業の商品・サービスを購入したい」に対して46%がそう思うと回答しています。
そういう意味では、社会貢献意識の高い企業はファンが付きやすいということは言えるのではないでしょうか。
そういう意味では、社会貢献意識の高い企業はファンが付きやすいということは言えるのではないでしょうか。
via pixabay.com
ただし、ソーシャル・ネットワーキングの普及とともに、社会的大義が薄いキャンペーンなどは消費者に見抜かれやすくなっており、とはいえ、ボルヴィックのキャンペーンのようにコストをかけ、作り込まれたものは企業としても継続の上での負担も大きくなってくるでしょう。
via pixabay.com
経済的、人的コストをかけるよりも、企業としてシンプルに寄付をして、それをメディアに紹介してもらうようにPRで働きかけていく、それとなく、社会貢献意識の高い企業だと伝わる、という寄付メインのコーポレートブランディングのほうが良い時代になってきたのかもしれません。