2023年1月25日 更新

ニューヨーク店頭レポートシリーズ New York Holiday Season Research 第2回

ニューヨーク店頭レポート第二弾。ニューヨークホリデーリサーチをお届けします。第2回目は家電量販店のベスト・バイ。ブラックフライデーからクリスマス、クリスマス後から年始までをレポートしています。

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凡美社では、アメリカ合衆国の店舗情報を定期的に届けていきます。
シリーズ化して随時レポート報告をしていきます。

今回はブラックフライデーから年始までの、ニューヨークの色々な店舗のホリデーシーズンリサーチ報告を5回に分けて行います。

ニューヨーク ホリデイ シーズン リサーチ 第二回

11月 第四木曜日(サンクスギビングデー)の翌金曜日。

小売店にとって年間を通じて最も忙しい1日のひとつである
ブラックフライデーからスタートするホリデーシーズン。

11月に入った段階から、メールマガジンやアプリを通じて
プレセールの通知が鳴り止まず、
実質11月全体がブラックフライデーセール期間となっている。

ブラックフライデーを皮切りに、
クリスマス・年末年始とホリデーシーズンが続く。


ネット注文でもセール品は買える、必ずしも店舗に出かけなくてもいい現代。
ホリデーシーズンの小売の現場はどうなっているのか。

そこから見える“店舗”の役割を洞察する。

ベスト・バイ  店頭洞察

ベスト・バイ(Best Buy)は、アメリカミネソタ州ミネアポリスに本社を置く世界最大の家電量販店。アメリカの雑誌フォーチュンのフォーチュン100にも選ばれている。
日本では、ケーズホールディングスと提携し、同社のプライベートブランドの販売が中心である。
BEST BUY  5th Ave

BEST BUY  5th Ave

Black Friday

 (6304)

物を買うだけならば、店頭に足を運ぶ必要はない時代。
Black Friday当日のBest Buyは人が溢れている。

商品を店頭で手にして持ち帰るワクワク感は
生活を豊かにする家電ならではといえる。

“セールだから我慢していたけど買おう”
という生活者の解放された気分をさらに盛り上げる
高く積み上がった商品の数々は、

「買い物はしあわせだ」

と言わんばかりの店側のメッセージとエネルギーを感じさせた。
 (6307)

”確認の場”としての店舗。

店舗の強みは、実物があるということが大きい。

買うという行為の利便性はネットには敵わないが、
サイズ感、手触り、色味など、
実物からしか知ることができない要素を確認する場としての機能は
現状、ネットでは店舗に勝ち得ない。

店舗の優位性を活かすディスプレイとして、
商品を買うことで手に入る生活をイメージさせるビジュアル、
ゆったりと商品を見られる広い商品棚がBEST BUYの特徴と言える。
機能説明よりも世界観に重きを置いたPOP①。

機能説明よりも世界観に重きを置いたPOP①。

機能説明よりも世界観に重きを置いたPOP②。

機能説明よりも世界観に重きを置いたPOP②。

ネット注文のピックアップも盛況。

ネット注文のピックアップも盛況。

視覚的に分かる豊富な在庫。

視覚的に分かる豊富な在庫。

特売品の壁で作られた レジまでの道。

特売品の壁で作られた レジまでの道。

Christmas Season

 (6316)

Black Fridayの熱気から一転して、
クリスマスが近づいた店内は落ち着きをみせている。

セールの告知はアプリを通じて届くものの
目玉の商品を仕入れていることもなく
プロモーションに大きく力を入れている印象はない。

アメリカではクリスマス当日は家族と家で過ごすことが多く、
プレゼントの準備等はこの時期すでに終わっていることが
一因であると考えられる。

この落ち着きは、需要の薄いところに資源を投入しない、
合理的なマーケティング判断の結果ともいえる。
 (6318)

プロモーションブース自体は人を配置。
興味を持った人を取りこぼさない最低限のラインを維持。
 (6319)

店内で独自のプロモーションを展開する企業も。
ただし、集客はまばら。

事例:Nintendo NY

余談であるが、クリスマスイブに調査したNintendo NYは、
多くの来客で混雑していた。

アメリカには任天堂ストアが少ない上、
世界的なブランド力を持つため
ニューヨークを訪れた観光客を中心に賑わっていたと見える。

イベントシーズンの集客には
希少性とブランド力の掛け合わせが不可欠である。
Nintendo NY

Nintendo NY

Nintendo NY

Nintendo NY

After Christmas

棚から製品が消えている。

棚から製品が消えている。

アップルのアクセサリーも店頭にない。
クリスマスが終わったBEST BUYの棚からは
ほとんどのアイテムが消えていた。

クリスマス近くの状況から考えると
すべての品物が売れたとは考えられない。

実際、ネット販売状況を調べると店舗在庫ありとなっている。

このことから、
意図的にバックヤードに商品を引いたと見られる。

年末の従業員減少に伴う万引き防止対策および
新年に向けた売り場変更のための下準備だろう。
ゲームコーナーも棚はほぼ空。

ゲームコーナーも棚はほぼ空。

New Year

 (6328)

新年のBEST BUY店頭は、人が混み合うこともないが
全くいないわけでもないという状態だ。

棚の商品は補充されていないままだが、
店内の空気はどこかリフレッシュされている。

その理由は、新規導入された商品展示棚だった。

新しい棚に入れ替えることで、店内の空気も一新され
新年らしいフレッシュさが感じられる。

シーズンの気分に合うように、売り場は絶えず変化し
循環していくことが重要だ。
新規で導入された商品展示棚①。

新規で導入された商品展示棚①。

やはり、商品のある生活をイメージできるような展示方法が採られている。
新規で導入された商品展示棚②。

新規で導入された商品展示棚②。

考察

ネットでなんでも買える時代。
小売り最大のセール日といわれるブラックフライデーから始まる
ホリデーシーズンにおいてもPRの主戦場はネットに移っている。

そんな時代に店舗に行く理由とは何だろう。

そこに空間がある。

音がある、匂いがある、空気がある。

五感でワクワクを感じられる空間こそが店舗の価値だ。

それは珍しい・イベント性の高いものを寄せ集めれば創れるものではない。

ほしい品が揃っている。
店内に活気が満ちている。
BGM・ディスプレイ・接客etc、なんとなく気分が盛り上がる仕掛けがある。

当たり前に聞こえる要素を落とさない心構えが重要だろう。
買い物は、モノを買うことだけではなくコトを買うことでもある。

家からなんでも買える時代だろうと、人は体験を求めて出掛けていく。

”買い物でどんな気分になれたら嬉しいのか”

スーパーなら、季節によって変わる生活に必要なものが見つかる
家電量販店なら、生活が良くなるワクワク感が買える

業態によってちがう、生活者の求める買い物体験に適合した店舗だけが
集客を成功させ続けることができるといえる。

その点で、シーズンイベントも通常営業も集客に必要な要素に違いはないだろう。

季節イベントの集客も日々の当たり前の積み重ねの上に成り立っている。


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