2019年7月19日 更新

PayPayを活用した事業戦略・マーケティング戦略とは?

ソフトバンクグループ内で、子会社化、出資比率の変更がありました。節税目的もあるのでしょうが、どのような事業戦略を目指しているのでしょうか。

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ソフトバンクグループのPayPayを活用した事業戦略とは?

ソフトバンクグループが子会社の携帯事業のソフトバンクを通じてYahoo!を子会社化すると同時に、Yahoo!と子会社のソフトバンクの折半出資で設立したPayPayに彼らの2倍の資金(460億円)を投じ、筆頭株主となりました。
*ソフトバンクグループ出資後の出資比率は、ソフトバンクグループ50%、Yahoo!25%、ソフトバンク25%

まさにグループ総力を挙げて、PayPay事業を立ち上げようとしています。
こんな記事がありましたが、グループ代表の孫正義氏はどういう事業戦略を思い描いているのでしょうか。
引用の順番は前後しますが、Yahoo!を子会社化した理由に関して読みを働かせています。
グーグルは何度もEC小売りをやろうとして失敗しています。日本でのEC小売りを握っているのはアマゾンや楽天で、ヤフーはなかなかそこができていない状況です。

ヤフーはメディアの売り上げ比率を下げて、EC小売りを伸ばすと宣言してきましたが、いまだできていない。孫会長は業を煮やして、叩き上げの宮内さんに陣頭指揮を取らせようとした。私は、これがヤフーをソフトバンクの子会社にした大きな理由の一つだと考えています。

ソフトバンクにいた営業職をヤフーに移してPayPayの営業を担当させましたが、今後は、彼らをEC小売り部隊に転換して取引店を開拓していくのかもしれません。

孫会長の目指しているアリババのようなビジネスモデルは、EC小売りが中核で機能していないと成功しないのです。
目指しているアリババのビジネスモデルとはどういったものでしょうか。
最先端のフィンテック大国である中国では現在、アリババが手掛けている決済アプリ「Alipay(アリペイ)」と、テンセントが手掛けるWeChatのウォレット機能「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」が熾烈な争いを繰り広げています。

アリペイの年間アクティブユーザーは約8億7000万人(2018年3月期プレスリリース)、ウィーチャットペイの月間アクティブユーザーは約10億5700万人と言われています(2018年6月期四半期報告)。

アリババのビジネスモデルを見ると、アリペイは「入り口」で、そこからアリババのEC小売りサービスや金融サービス、各種の生活サービスなどに導かれる仕組みになっています。

このアリババの事業構造にこそ、孫会長の狙いを読み解く核心があります。これは決して、決済ビッグデータを取得するとか、ましてやデジタルでの広告収入を伸ばそうというような「小さな」話ではないのです。

アリババの筆頭株主として取締役会メンバーでもある孫会長はもちろん、このビジネスモデルを熟知していますし、アリババ・テンセントの熾烈な争いを見てきて、覚悟を決めて取り組まなければ覇権は取れないという厳しさを痛感していたことでしょう。
今回の度重なった子会社化と出資比率の変更ですが、出資の原理原則で考えると大元のホールディングス(ソフトバンクグループ)からの直接出資比率が高いほど、たしかにより「中核企業」と言えるのではないでしょうか。
*ややこしいが、Yahoo!はソフトバンクグループ子会社の携帯事業のソフトバンクの子会社。
「新生ソフトバンク帝国」の「入り口役」を担わせようと、それをさらに加速させようと企図したものがPayPayなのです。

PayPayはすでにユーザーの度肝を抜くような「100億円還元キャンペーン」を展開し、目論見通り、その認知度は競合他社のなかで抜群になりました。SBGが筆頭株主となったことで、これからさらに桁違いのことを仕掛けてくるのではないかと私は予測しています。

なぜならアリババが中国でまさにそうしてきたからです。PayPayを顧客接点の重要な入り口として、5年単位で、いや3年単位でEC小売り事業を先鋭化させ、金融サービスやライドシェア事業、通信・エネルギー事業等、さまざまなサービスに顧客を誘導していきたい。「AI群戦略」の日本での中核的存在としていきたい。これが本音でしょう。
Yahoo!のEC事業を中核とした、「アリババ」を模倣したキャッシュレス経済圏、それこそが孫正義氏の目指す一つの事業戦略かもしれません。

PayPayのマーケティング戦略はどう変わる?

上記のような、事業戦略をグループ全体として採用するとするならば、かなりいろいろなマーケティング活用ができそうです。

・PayPay⇔Yahoo!ショッピング
・ソフトバンク(携帯)⇔PayPay
・PayPay⇔Uber(ソフトバンクビジョンファンドが筆頭株主のライドシェア)

他にもPayPayを軸として、証券投資をはじめとした金融サービス事業を始められるかもしれないし、ライドシェアだけではなくUberEats(食事の宅配サービス)とも組み合わせても面白いかもしれません。

なんならPayPayを中軸とした仮想通貨事業も考えうる可能性もあるでしょう。
全体の事業戦略がまだ明瞭には見えていないケースなので、個々のマーケティング戦略を想定するのは憚られますが、どの戦略一つとっても、普通の会社だと他社(グループ外)との協業をしないとできないことを、グループ内部(もしくは出資先企業)との協業により簡単に始められそうなことが、大きくほか他企業(他グループ)との競合優位性を保つことに繋がりそうです。
いずれにしても、今のところ個別ビジネスのマーケティング戦略は是々非々という感じでしょうか。

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