外国人訪日客向けPR活動の重要性が高まる

PRツールであるサイトやパンフレットの多言語化、外国人タレントを起用したPR動画展開、外国人に対してのアプローチだけではなく、国内の日本人を啓蒙していく間接的なPR活動などさまざまなインバウンドPR活動のトレンドがある。

目次

外国人訪日客向け需要は見逃せない規模に

<この記事のポイント>
・小田急箱根鉄道は、駅舎改良などに総額100億円の投資を行う。
・17年度の観光客数は3年ぶりに2000万人台を超えた、うち宿泊客は500万人。外国人客は約1割。
・サイトやパンフレットの多言語化も行っている。
インバウンド向けPRツールとして、サイトやパンフレットの多言語化を行う企業や団体が増えている。

サイトやパンフレットの多言語化を行う上で、押さえなければならないポイントは以下の通り。

1.日本人だと当たり前だと感じる部分に、外国人が興味・関心を持つポイントがあるかもしれないという意識を忘れない。
→文化的が異なるところから来ているので、外国人にとってはすべてが目新しいはず。あなたも海外を訪れたときに、その国の人から「どうしてそこに興味をもつの?」と思われるところに心ひかれた経験があるはず。

2.アジア、ヨーロッパ、アメリカなど地域によって訴求内容を変えていく。
→細かく言えば東南アジア圏と韓国、中国は違うし、ヨーロッパも北欧と東欧で文化的には異なる。アメリカも、アメリカ合衆国とラテンアメリカの国々では、感じ方や興味の観点が異なる場合が多い。パンフレットなどの印刷物だとコスト負担が大きいが、サイトは比較的低コストでの内容変更が可能なので、デザインは共通でも構わないが、本文テキストなどはその国の国民性や文化などに応じて書き分けた方が、より興味を引くサイトになるだろう。

海外タレントをキャスティングしたPR(広報)

<この記事のポイント>
・高知県では、サイクリング観光の振興に力を入れている。
・タイの自転車愛好家に大きな影響力がある、人気モデルのワンワーンさんをPR動画にキャスティング。
地方PR、特にインバウンド需要開拓を考えた場合、比較的コストの高い有名日本人タレントを必ずしも使う必要はない。中コストの外国人モデルのインスタグラムなどで複数回波及すれば、訪日外国人の来日動機を喚起することもできたりする。

「ワンワーン」さんのインスタグラムでは、PR動画撮影中の様子が適度な頻度でアップされているようだ。
サイクリングは愛好家需要は根強いが、そう興味のない人たちに旅行時にやってもらうのは少しハードルが高い。

タイにいるときでもサイクリングネタを投稿しているワンワーンさん。つまりは、タイ人の自転車愛好家たちがフォローしている可能性が高いと思われる。

可処分所得多め、かつサイクリング愛好家のタイ人たちの一部でも興味を持てば、高知県まで足を伸ばし、サイクリングをするなどの新しい観光のスタイルが生まれるかもしれない。

生産者と飲食店の連携PR(広報)

<この記事のポイント>
・クラウンメロンの特産地として知られる袋井市で、生産者と飲食店が連携し、最高品質のメロンがそろう品評会の出品作とオリジナルスイーツを味わえるイベントを計画している。
・来年、ラグビーのワールドカップの試合が行われる袋井市では、多くの外国人が来訪すると予想される。
・地元の袋井でメロンをPRすることで「市民が特産品に触れる機会を増やし、外国人にその魅力を伝える役目を担ってほしい」と期待を込める。
インバウンドPRは、外国人に対してのアプローチだけではなく、国内の日本人を啓蒙していく間接的なPR活動も重要となる。

語学がそうできなくてもチラシを見せながら「How delicious!」というのは誰にでもできる。そうしたくなるように仕向ければよいのだ。
2万円前後するクラウンメロンは高級品のため、市民でも味わったことがない人もいるだろう。そういった人でも一度味わえばスポークスマンになることができる。

高級特産食品のPR展開の参考事例になるかもしれない。