ニューヨーク店頭レポートシリーズ 第一回

世の中の変化についていっている様ではすでに遅れている。未来を妄想し、自らが起点になって動く。凡美社では最先端の街ニューヨークの店舗を定期的にリサーチして発信していきます。

目次

凡美社では、アメリカ合衆国の店舗情報を定期的に届けていきます。
シリーズ化して随時レポート報告をしていきます。

1回目はターゲット・コーポレーションを紹介します。

ニューヨークでの店舗洞察

やれることを全部やるのではなく、実現すべき未来のために必要なことをやる。
やれない理由探しをする前に、やれるようにすることを考える。
バックキャスティング型プランニング。

未来を妄想し、自らが起点となって動かしていく。

未来を予測することは難しいだろうか。
特殊な能力が必要だろうか。

市場においては、難しくない。
アメリカで起きていることは、数年後に日本で起きる。

現場踏査。
定点洞察。
未来妄想しながら、見抜く。

そこで思考する。

ターゲット・コーポレーション

ターゲット・コーポレーション(Target Corporation)は、アメリカ合衆国で売上高第5位の小売業者だ。
ディスカウント百貨店チェーン「ターゲット(Target)」など、小売店1800店強を運営している。
アフターコロナになっても食品部門は、ウォルマートとターゲットは好調との記事をみかけるが、
都市の中心部にある「ターゲット」の店舗を見に行った。

target    Times Square 42nd Street

2022年5月ターゲットショック。
全米の株価急落の原因となった。

かつて、デジタル化も進み、アメリカで最も進んだ小売のひとつといわれたターゲットに何が起きているのか。

店内に入ると、人の少なさに驚く。

商品が置かれていない棚も多い。

ハロウィンの装飾はされているが、子供連れのファミリー来店者は見当たらない。
楽しいイベントをつくる空気がない。

ここにくる理由がなくなっている。
ここで感じるワクワク感もなくなった。

しかし、スタッフは人手不足なのか。
忙しそうに動き回っている。

店内はハロウィンよりクリスマス。

10月30日に、ハロウィン関係のものを購入するひとはもういない。
すでにクリスマス商戦。

10月の売場は静かである。
来月やってくるブラックフライデーを待っている。
今は必要なものだけを。

ただ、ブラックフライデー需要もサイバーマンデーに負けっぱなし。

EC比率が高まる今、店頭は「そこに来る理由」がないと集客が図れない。

歳時の催事化、祭事化。
買うだけではない、行きたくなる何かがある。
Webに店頭情報が溢れている今、その情報以上の体験創出。
期待を超える満足がないと、人は遠ざかる。
ブラックフライデーとは、11月の第4木曜日の翌日にあたる日のことである。小売店などで大規模な安売りが実施される。
via ウィキペディア
サイバーマンデーとは、アメリカ合衆国で感謝祭の次の月曜日から始まる大規模なオンラインショッピング上でのセールのことを言う。
via ウィキペディア

10月末、これはほとんど売れ残る。

日曜日なのに、人はまばら。セルフレジが並んでいるが全く並んでいない。

棚取りのための店内メディア。
しかし、その棚が寂しい。

自由に触れないコーナーが増えた。こうなると触れないし裏面も見ることができない。パッケージデザインがより多くを語りすぎてしまうPOPぽいデザインになっていく。

スキャンして商品情報を知る。誰も活用しない。事前にスマホで調べている。

容量が違う競合品との比較のためUNIT PRICE表示もある。
店頭では、絶対値以上に相対値。
こういう生活者視点が強みではあった。

アメリカの価格表示豆知識

食材に使わる値札は、「販売価格」と「単位価格」の二つで構成されています。
一般的に、販売価格の周辺には「Retail Price」または「You Pay」と、単位価格の周辺には「Unit Price」とプリントされています。

エピローグ

ワールドシリーズ出場を逃したヤンキース。
ポストシーズンで活躍できなかったアーロンジャッジへのブーイング。
つい先日までのヒーローだ。

ニューヨークはスピードの街。
先進国の都会で、せっかちな車のクラクションが鳴り続けている街が他にあるだろうか。
時間を大切にし、時間と闘う日々。

変化を大切にする。

そこに盛者必衰がある。
オムニチャネルにいち早く取り組み、スーパーマーケットのお手本のように扱われていたターゲットが
もはや危険水域。
各地のショッピングモールにあるSPAブランドが次々と店を減らしていく。

変化が早い。
時代についていくということは、時代に対応していくことではない。
対応しているうちに遅れていく。
本当に時代についていくためには、変化への対応ではなく、自らが変化を創造していくこと。
トレンドを見て、模倣をしている暇などない。

見るものは今ではなく、未来。
皆がついて行きたいような未来を描くこと。
それは想像であり、妄想である。
その妄想について行きたい人がたくさんいれば勝てる。

なぜ、アメリカのブランドは頻繁にロゴを変えるのか。
その理由が見えてきた。
変化していくことに大きな価値を見えているからである。

サステナブル。
それは今のままの状態を維持することではない。
変わらないという意味ではない。
常に変化を創造しながら、時代をリードしていく。
そこで初めて持続可能となるのではないか。

第一回 了。