ゴルフショップの店頭演出什器に、金型成形を利用してみた

店頭の演出には、POPだけではなく、什器を使うことも多々あります。金型を用い、金属を自在に成形し、クライアントの要望に応えると同時に、来店者満足度も追及していくPOPや什器が求められています。今回は、ゴルフショップの店頭演出什器のご紹介です。

目次

鋳型(いがた)を使った店頭演出什器

営業のNです。
今回は鋳型を利用した店頭演出什器の紹介をさせて頂きます。

金属やガラスを流し込んで製品を作るための型を「鋳型(いがた)」といい、土や石などで作られます。この型でつくられる製品のことを「鋳物(いもの)」といいます。

この取り組みでは、砂型を用いる砂型鋳物で店頭演出什器をつくりました。

ゴルフショップの店頭演出什器

私は、ゴルフが好きでボンビゴシップでもゴルフのコラムを載せさせて頂きましたが、
今回はあるお客様からPRGRのクラブヘッドを展示する店頭演出を考える依頼を頂きました。

今は、様々な形態のゴルフショップがありますが、年配のこだわりをお持ちのターゲットを狙って、ヘッドとシャフトを別売りにしているゴルフショップがあります。
そういったゴルフショップでヘッドをうまく見せる、または魅せるような演出ができないかということで依頼がありました。
クライアントのご担当者様が企画やデザインはされていたので、それを具現化するという部分から携わりました。
サムネイル(手書きスケッチ)で樹脂案や金属案を提出し、先方デザイナーさんの意向を反映させつつ具現化出来る形状を選定していきました。
エンドクライアント様の要望も加え、無垢の金属から出てきたという登場感を出す方向で決定しました。

クライアントの御担当者様が粘土で試作を作られていました。
こういう雰囲気でヘッド3種類を演出展示したいという要望です。
たしかに質感や高級感があります。
ロゴを浮出すという点も含めなかなかの難題ではありますが、具現化のプロとしては燃えるものがあります。

この店頭演出什器を量産する場合は課題あり??

究極のデザイン要望として、「鉄の塊があり、そこからニョキっとヘッドが出ている感を出したい」という要望がありました。
1点ものであれば何とかなりますが、量産となると非常に手間がかかるため、要望により近い表現ができるような具現化方法を考えました。

ロゴの浮出し表現

固めるとはいえ砂でかたちづくっているため、ロゴの浮出しの精度はこれが限界となります。
当初、素材を樹脂で考えて、樹脂を形づくる製造方法で進行していましたが、やはり、プラスチックに塗装をすると、どうしてもプラモデルみたいになってしまい、質感が出ないため、再考しました。
そこで考えた手法が鋳型を使って具現化しようという案でした。
幸い、鋳物を作っている協力会社の社長さんもゴルフをされており事前に工場訪問をした時に意気投合をしスムーズに進行することができました。
こういう部分は具現化していく上では非常に重要で、やはり人が介在している以上、人対人の部分をしっかりしていくことがクオリティを上げる、品質管理を保つということに繋がりますし、ひいては納期対応やコストパフォーマンスにも繋がります。

店頭演出什器の製造工程とは?!

粘土で製作したモックを鋳物屋さんに渡し木型を製作します。
約1週間ほどで木型ができるので、テスト成形をしてみてあがってきたものに手直しを加えます。
今回は納期がなかった為、クライアント担当者様に加工現場に同行を頂き、加工現場にて確認と打合せをしました。
臨機応変の判断とフットワークも重要です。

今回は砂型鋳造で、木型で砂型を作り、その砂型にドロドロに溶けたアルミを流し込みます。
このアルミが1,000℃を越えるため金型などでは耐えられないため砂型鋳造という手法をとりました。この砂は硬化剤で固めることができ、上下の砂型を作成し、合わせて出来る空洞部に材料を流し込んで成形します。

塗装塗り分けサンプル

完成したアルミ鋳物にメラミン塗装をして表面のキズを防止します。

今回は2種類の塗装を事前に行い色見本サンプルとしてクライアント様に提出をし、最終は左の色に決まりました。

100台作ったのですが、木型1台に対して砂型は100台分つくります。1ショットに1台の砂型になります。作業現場の広さの都合上1日に十数個ほどのショットスケジュールでした。
固まるのに1晩かかるため次の日に砂型を崩して鋳物を取り出します。

100台納品の場合にロスを10%みて110台を作成しています。

店頭演出什器の量産品の完成

量産品

260㎜×160㎜×30㎜というA5大ほどのサイズですが、1台あたり約5kgとサイズ的に見た目よりかなり重いです。
パレット納品だったのですが、普通はパレット1枚に全数載るのですが、2枚のパレットに分けて納品しました。

素材知識や素材理解、加工知識や加工理解、物流知識や店頭でのオペレーションなど含めしっかり『知っている』ということが具現化には重要です。