続新宿巨大OOH定点観測レポート! 話題の広告から大阪万博まで、OOHの"今"を徹底解説!

凡美社のデザイナーが11年にもわたってOOHの定点観測をしています。今回はそんな新宿の巨大広告の定点観測日記を紹介します。

目次

2014 年9月にこの定点観測を始めてから、まもなく11年。
2023 年10 月にお届けした第1 弾レポートから約1年9ヶ月、大変お待たせいたしました!
この間にも、新宿メトロプロムナードの巨大広告は、時代を映し出しながら目まぐるしく変化を遂げてきました。
10 年以上にわたりこの場所を撮り続けてきた私が、今回も独断と偏見で選んだ珠玉のOOH 広告をご紹介します!
さらに今回は、今春に開幕しました「大阪・関西万博」の熱気に沸く大阪の街で目撃した、OOH 広告の様子も特別レポート。OOH 広告の" 今" を一緒に覗いてみませんか?

定点観測の舞台「新宿メトロプロムナード」とは?

はじめに、この定点観測の舞台である「新宿メトロプロムナード」について改めて簡単にご紹介します。
新宿メトロプロムナードとは、世界一の乗降客数を誇るJR 新宿駅と、東京メトロ丸ノ内線新宿駅を結ぶ地下連絡通路のことです。
日々膨大な数の人々がこの通路を行き交うため、その壁面は国内でも有数の影響力を持つ巨大な広告スペースとなっています。
ここでは、話題性の高いテレビ番組やゲーム、最新のテクノロジーやファッションブランドなど、各業界を代表する企業が、その威信をかけて最もクリエイティブな広告を展開します。
つまり、この場所は日本の広告トレンドを映し出す巨大なキャンバスであり、
広告の” 最前線” ともいえる場所なのです。

赤い柱間が広告面 長さ14.5mの広告面が 4 面続きます。

撮りためたメトロプロムナードを一挙公開!

前回レポートから今日までの約1年9ヶ月、私が新たに撮りためたOOH 広告は、実に約150枚以上。
これにより、2014 年から続く観測記録は、ついに総計650枚を突破しました。
この期間に新宿メトロプロムナードという舞台を彩った主役たちの顔ぶれを、怒涛の勢いでご覧ください。
話題になったあの映画、社会現象を巻き起こしたあの大リーガー、あっと驚く仕掛けの広告まで… きっと、あなたの記憶に残っているOOH 広告もあるはずです。
それでは、どうぞ!

独断で選んだ!おもしろOOH広告6選!

ここからは、私が特に「面白い!」と感じたOOH 広告を6つ、厳選してご紹介します。平面的な
ビジュアルだけではなく、目を引く立体感や風合い豊かな素材を上手く活かしたのがポイントです!

①日本郵政グループ 郵便ポストが見ている世界 2024年12月撮影

広大な広告面に横長の小さな映像が映っている違和感に気づき、実は郵便ポストの中から見た景色を表している広告です。
鹿が映っているので奈良に設置された郵便ポストかな。

②コスモ石油 みんなの空に、新エネルギー  2025 年4月撮影

使用済み食用油を回収し、最終的には航空機の燃料に生まれ変わることでCo2 の排出量を抑える
ことを訴求する広告。エビフライの衣がとてもリアルでサクサク感が際立っていました。

③デサント マンシングウェア 父と、ゴルフ  2024 年6月撮影

父の日のプレゼントにはゴルフウェアを…の広告です。
一見すると印刷されたポスターに見えますが、ゴルフコースを模したデザインを人工芝で再現!
おもわず掌で撫でたくなります。

④QTnet ビジネス課題の救世主QT PRO  2023年10月撮影

九州の企業QTnet のデータセンターサービスの広告。
壁面から飛び出した仮面ライダーの拳がインパクト大です!
ただ迫力が満点過ぎて、一瞬では何の広告なのか伝わりにくい!?

⑤HUAWAY 新形態のオープン型イヤホンFreeClip  2024年11月撮影

11 月18 日「いいイヤホンの日」に合わせた広告。
イヤークリップ型のイヤホンを巨大ダミー化し、丸柱で展開。
アイキャッチ効果が高く、足を止める人が続出でした。

⑥アークテリクス 新宿ブランドストア  2024年12月撮影

新宿にオープンするアウトドアブランド旗艦店の広告。
使用している素材は“紙” ではなく、製造過程で使われなかったゴアテックス生地。
広告掲載終了後は新たなプロダクトに生まれ変わる予定で環境に配慮した企業姿勢も示しています。
またゴアテックス生地を使用した広告はこの場所だけではなく、あんなところでも…

⑥アークテリクス 新宿ブランドストア  2024年12月撮影

店舗のある新宿駅を起点とする京王電鉄の中吊り広告にもゴアテックス生地が用いられていました!

街がミャクミャク色に染まる!万博開幕直後の大阪OOH特別レポート

今回は新宿を飛び出し、特別編をお届けします。舞台は、2025年4月13日に関西・大阪万博が開幕したばかりの大阪の街です。
新幹線の到着口であるJR新大阪駅の壁面広告に始まり、大阪の交通の要所である梅田エリアでは、地下通路から巨大なデジタルサイネージ、阪神電車の駅構内まで、至る所で万博のOOH広告が来阪者を歓迎していました。
極めつけは、大阪の大動脈である大阪メトロ御堂筋線の車両でした。
車体そのものが公式キャラクター「ミャクミャク」を想起させるカラーリングにラッピングされ、街から会場へと向かう人々の期待感を高めているように感じられました。
特定の場所を埋め尽くす「ジャック」とは違う。移動する人々の視線に合わせて、点と点が線になるように計算された、街全体のコミュニケーションデザイン。
そこには、大阪ならではの巧みな” おもてなし” のOOH 戦略が垣間見えました。

JR新大阪駅みどりの窓口の壁面  2025年4 月17日撮影

大阪駅前地下街 西梅田駅~東梅田駅間の長距離に渡り掲示  2025年4 月17日撮影

大阪駅前地下街 西梅田駅~東梅田駅間の 柱に設置されたサイネージ広告   2025年4 月17日撮影

阪神電車 大阪梅田駅( 東口) 改札へ 続く階段上のサイネージ広告  2025年4 月17日撮影

大阪メトロ御堂筋線梅田駅ホーム上 『Umeda Arch Vision』 40mの長さで万博をアピール!  2025年4 月17日撮影

大阪メトロ御堂筋線の車両もミャクミャクカラーでラッピング。
偶然に発見できてラッキーでした!
2025年4 月17日撮影

JR 環状線弁天町駅万博会場への乗り換え駅です。
ミャクミャクが歓迎してくれます!
2025年4 月17日撮影

心斎橋筋商店街にて数多くのドラッグストアの店先ではミャクミャクのカプセルトイや万博限定パッケージのお菓子が盛沢山でした!

さいごに

定点観測レポート第2 弾、いかがでしたでしょうか。
10 年以上、新宿の一点を見つめ続ける「定点観測」。
そして今回、万博に沸く大阪の街を巡った「移動観測」。
この二つの視点を得たことで、OOH広告が持つ無限の可能性と、その場所” ならでは” のコミュニケーション設計がいかに重要かを、改めて痛感しています。
この私のライフワークともいえる観測活動は、凡美社の『購買プロセスラボ』が掲げる「買い場の現状把握とトレンド把握」そのものです。日々蓄積される膨大な記録と知見は、私たちの提案の礎となっています。
「次はどんな広告だろう」と、気づけば足が新宿へ向かっている。この長年の習慣が、これからも続いていくのだと思います。
もちろん凡美社は屋外広告業者として登録済みです。OOH広告の企画・制作から、このような地道なリサーチに基づいた戦略立案まで。
本レポートを読んで少しでもご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご相談ください。


了。