販売促進、広告、広報の違いと必要なスキルとは?

販売促進と広告、PRそれぞれの企業のマーケティング活動における、役割や意味の違い、そして、それらにかかわる人たちに必要なスキルをまとめました。

目次

販売促進(販促)、広告、広報(PR)の違いとは?

販売促進(販促)と広告はなんとなくわかるけど、それらと広報(PR)はどう違うのか? 販売促進って幅広い概念っぽいけど、どういうことを指すの? など、就活中の学生、マーケティング関連企業に転職したい転職希望者から、質問を受けることがあります。

まず、整理してみましょう。

広告とは?

広告とは広く世間に告げることをいう。宣伝。
ブランド用語集の解説
人々に関心を持たせ、購入させるために、有料の媒体を用いて商品の宣伝をすること。
大辞林 第三版の解説

POINTは、有料の媒体を活用して、広く世に、サービスや商品を知らしめる、ということになります。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアにおける有料広告枠を使った広告および大手ポータルサイトのバナー広告など、広く大衆に認知させることができる媒体広告を指すことが多いようです。

販売促進(販促)とは?

一般に用いられている狭義の意味では,広告活動と人的販売を補足し,協力して,それらをより効果的にするためにとられる販売上の諸施策をいう。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
補足ですが、人的販売とは、メーカーのセールスマンなどが小売業者の仕入れ担当に行う営業活動、実際の店頭における販売員による販売活動、などが含まれます。
販売促進の対象はディーラーと消費者とに分れるが,ディーラー・ヘルプやリベート政策は前者の例であり,見本配布,懸賞販売などは後者の例に属する。また両者に共通のものとしては,見本市,コンテスト,デモンストレーションなどがある。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
販売促進(販促)という概念が、わかりにくいのは、広告や広報(PR)に含まれない全ての広告宣伝活動を指すといってもよいくらいの幅広い業務範囲があるから、ということが言えるでしょう。
↑ディーラーというのは、販売業者全般を指しますね。

広報(PR)とは?

PRとはパブリック・リレーションズの略で、企業や団体が社会と良い関係を構築するための活動をいう。有料の媒体スペースを買い取って行われる広告よりもパブリシティなどの方法によって行われることが多い。
ブランド用語集の解説
では、「パブリシティ」とは何を指すのでしょうか?

企業や商品,サービスなどに関する事柄が,新聞,雑誌,テレビ,ラジオなどのマスコミ媒体に,記事やニュースとして報道もしくは紹介されることをいう。
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マスメディアを活用するという意味で、広告とPRは似ている部分がありそうです、ではどこが違うのでしょうか?

広告とPR(パブリシティ)の違い

広告とPRの特徴を比較

広告は、お金さえ払えば、伝えたいことをある程度自由に、広告枠を通じて、生活者にメッセージを伝えることができそうです。

その反面、生活者はどうしても、企業の一方的な主張として、広告を受け取ってしまう面があるため、それを保管する活動としてパブリシティ(PR)を行う必要性がありそうです。

テレビCMでみた商品が、新聞の記事でも紹介されていれば、生活者にとって、より購入しやすくなるでしょう。

販売促進(販促)、広告、広報(PR)の仕事内容と適性

販売促進(販促)の仕事内容と適性

たとえば販売促進(販促)部がある場合、販売店や生活者向けに、販促物の企画制作や、キャンペーンの企画などをしていく仕事が多くなります。店頭POP、店頭什器、パンフレットなどの販促物企画制作業務、割引キャンペーンセールなどの企画、準備、実行など、その仕事内容は多岐にわたります。
実際には、内部の社員デザイナーによる消費者向けパンフレットのデザイン案の選定を行ったり、外部の店頭販促のプロなどを使って店頭販促物を企画ディレクションし、社内の小売店営業チームに販促ツールを提供するなどが想定されます。

また、販促部で抱えるスタッフで小売店向けイベントを行ったり、店頭キャンペーンの立会を行ったり、その他、広告と広報の範疇以外の業務まで行ったりと、幅広い知識と経験が求められそうです。

販促担当者に求められる適性としては、販促物の企画、デザイン、制作業務が好きで、幅広い業務でもへこたれず、日々実行していける実直性などが求められるでしょう。

広告(宣伝)部の仕事内容

広告は大手代理店との広告共同企画業務や、テレビ局や新聞社などの各媒体社とのコストなどの条件折衝を主に行います。また、コピーライターやCMプランナーとの企画会議にも参加したり、実際の広告制作現場で内容をチェックし、よりよいクリエイティブを作り上げていくことが仕事です。
求められる適性としては、大きな予算が動くので、媒体社や広告代理店と、個別媒体ごとに粘り強く予算交渉する力、CMやキャッチコピーが好きであること、他社のCMや宣伝動向に敏感であること、広告は一度間違えたものを出してしまうと、取り返しのつかないケースが多いので、注意深く校正していける能力などが、必要となるでしょう。

広報(PR)の仕事内容

広報部は、いろいろな会社との利害関係者との関係性を良くしていく責任を持ちますが、多くはメディアとの関係性を良くし、適切な情報発信を行うことで、自社や自社商品にとって、ポジティブな反応を促す記事や番組への露出を仕掛けていくことが主な仕事となります。

求められるスキルとしては、お金を払って、広告をするわけではないので、テレビ番組のディレクターや新聞記者の立場を考慮した上で(彼らにはその商品を取り上げる義理はない場合が多い)、自社の主張を上手に伝えていく、高いコミュニケーションスキルが必要になるでしょう。

また、世の中のトレンドや動きを敏感につかみながら、自社の商品の社会的価値や立場を上手く織り込んで、メディア関係者が記事や番組にしてみたくなるように、ニュースリリース化していける、高い情報企画能力が必要となります。