アンバサダープログラムとは?

ブルガリが木村拓哉さんの次女でモデルのKoki,(コウキ)さんをブランドアンバサダー指名したニュースは大きな話題となった。セレブリティをアンバサダーとするケースもあれば、ユーザーや既存顧客をアンバサダーにしている事例もある。

目次

アンバサダープログラムとは?

アンバサダープログラムとは、一言で言うと、「アンバサダーを軸にクチコミや評判が広まる仕組みを構築するプログラム」となる。

ソーシャルメディアの普及により各ユーザーがメディア(=影響力を持つ存在)化したことにより、流行しつつある仕組みだ。

アンバサダープログラムと他のマーケティング施策との違い

特にインターネット以前のマスマーケティングでは、自社の製品やサービスを知らない人たちにも広く知ってもらうために、テレビCMや新聞広告などのマス広告を利用し、知ってもらうという活動が中心となっていた。

そのためマーケティング施策は新規顧客に対して大量の認知を得ることが目的になるケースが多かったように思う。
既存顧客を軽視することはどの企業も考えていたはずはないが、人口が右肩上がりで大量生産大量消費の時代には、どうしても既存顧客は「釣った魚」になってしまい、放置されがちだった。
ところが、従来よりもマス広告の効果が落ち、商品にもよるがターゲット人口が減っている場合、新規認知の獲得だけでは広告の費用対効果がどうにも厳しくなってくる。

そんな中、生まれたのがアンバサダープログラムだ。

アンバサダープログラムにおいては、既存顧客であるアンバサダーとのコミュニケーションを最も重視する。既存顧客が商品のファンを増やしてくれるように仕向ける仕組みだ。
おりしも、SNSのアカウントを持っていない人はいないと言ってもいい現在、既存顧客にアンバサダーになってもらいながら、すそ野を広げていくことができるようになった。

アンバサダープログラムとして一番有名なのが、CMにもなったこのプログラムだ。
このプログラムでは、そう声高にはSNSの使用を訴えてはいないが、アンバサダーの口コミなどによりマシンの導入が進んだという意味では、既存顧客を活用した販売促進の仕組みと定義できる。
SNSを活用した例ではこのようなものもある。
アンバサダーになると、「限定イベント」に参加できたり、商品のモニターになったりすることができる。参加の様子や商品体験をアンバサダーがSNSで発信することで、他の人も商品を知ることにつながる。

セレブリティを活用したアンバサダープログラム

最近のトレンドでは、セレブリティをアンバサダーに活用するケースも増えている。
ハイブランドの宝飾品や化粧品などのケースでは、既存顧客にアンバサダーを任せるのが難しい場合もある。イメージコントロールが難しくなってしまうからだ。

そのような場合、セレブリティ(有名人)を活用するケースも多い。
資生堂は、「SHISEIDO」ブランドのメーク商品のグローバルアンバサダーに、平昌冬季五輪フィギュアスケート女子の金メダリスト、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手を起用した。

パルファン・クリスチャン・ディオールはアジア初のビューティーアンバサダーに、女優でモデルの水原希子さんを起用している。
いずれのアンバサダーも、SNSでの影響力が大きく、数百万人単位のフォロワーがいる。特定のターゲット層へのリーチは、莫大なものがある。
セレブリティのアンバサダープログラムは、プロモーション上で言うと、3つの観点で企業にとってはうまみのある取り組みと言える。

1.アンバサダー就任会見などを行うことで、PRによる報道効果を期待できる。
2.CMなどの広告出演が期待できる。
3.セレブリティのSNSフォロワーへのアプローチが期待できる。

1と2はインターネット以前からも考えられたわけだが、3はSNS時代以前にはなかったものだ。SNSフォロワーの多いセレブリティをアンバサダー活用する際のギャラは高騰しているようだ。
ハイブランド以外でもセレブリティを活用してもよいし、ハイブランドでもユーザー参加型のアンバサダープログラムを考える余地はあるように思う。

「ユーザー参加型のアンバサダープログラム」と「セレブリティ活用のアンバサダープログラム」は、商品特性や予算、あるいはその実施タイミングによって適切なものを企画すればよいのではないだろうか。