【シンガポールから。太平洋地域の流通&小売りの最新トレンドを入手】NRF ASIA PACIFICレポート

NRF(全米小売業協会)が主催する世界最大規模のリテールカンファレンスがシンガポールであった。毎年1月中旬にアメリカ・ニューヨークで開催されているが、今年初めてアジア版の開催が決まり、6月にシンガポールにて行われた。

目次

NRF ASIA PACIFIC

世界最大規模のリテールカンファレンス

NRF ASIA PACIFICとは

今年初めてアジア版を開催

NRF 2024 Retail’s Big Show Asia Pacificとは、
National Retail Federation(全米小売業協会)が主催する世界最大規模のリテールカンファレンスであり、
アジア太平洋地域の流通および小売業界の最新のトレンドと革新を紹介するイベントである。

毎年1月中旬にアメリカ ニューヨークで開催されているが、今年初めてアジア版の開催が決まり、6月にシンガポールにて行われた。
アメリカで行われている本家の1,000社には及ばないが、
日本企業を含めた238社の企業が出展し、7000人以上が来店。
各種セミナーやワークショップが開催され、国際的なスピーカーが業界の課題や機会
についてディスカッションした。
また、最新の小売技術、顧客体験戦略、オムニチャネルのアプローチ、持続可能なビジネス
モデルなど、様々なテーマが取り上げられ、参加者にとっては最新情報を得るとともに、他の業界プロフェッショナルとのネットワーキングの場となっている。

出展者数約238社。
イノベーション、スタートアップゾーンが設けられており、地元であるシンガポール企業が出展するゾーンもあった。
リアル店舗の支援をする企業もあったが、HPやシステムなどのIT系の会社も多数見られた。

ゴミ箱にサイネージ

展示場の外に設置されていたゴミ箱。
各箱の背面にモニターが設置されており、どこにゴミを捨てるべきかが分かりやすい。
また、ごみのデザインに本物のブランドを使用しており、広告にもなりうる。

出展会社ブース見学

① Zero10

店舗ディスプレイのAR技術を開発しているニューヨーク本社のテック会社である。

ARによるVirtual Try-On(バーチャル試着)

意外に違和感なく確認できるレベルまできている。
動いても追随動作に問題はない。

② Svarmony

ヨーロッパ、アメリカ西海岸に拠点を持つAR,XRなどに強みを持つテック企業である。
XRとは。
エクステンデッド・リアリティまたはクロス・リアリティは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称である。そのため、「VR」「AR」「MR」「SR」といった仮想世界と現実を融合させる画像処理技術はいずれもXRに含まれる。
via wikipedia
MRとは「Mixed Reality(ミックスド・リアリティ)」の略称で、現実空間の形状をMRゴーグルが認識(空間マッピング)し、仮想オブジェクトであるホログラムをディスプレイに投影して、現実空間上に可視化する技術を指します。
via DSマガジン

MRのデモ。
写真では表すことはできないが、グラス越しの現実空間に
車の模型が出現し、内部に入り込むことができたり、
左のコントローラーを使用して外部カラーの変更など
ができる。

窓の販売会社が採用している模様

ARによる展示シミュレーション サイズ精度は「100%」とのこと

③ Zappar

ロンドンに拠点を持つARに強みを持つテック企業。

QRから食品の詳細情報を読み取る。
今後はバーコードからQRに全て置き換わると豪語していた。

他にもARのデモや、ARを用いたキャンペーンなどが紹介されていた。

④ Optimum Retailing

カナダ、ニューヨークに拠点を持つ店舗管理システム企業。

RFIDタグで商品の情報などを読み取る。
ユニクロのタグの中にも入っている。

⑤ Wayvee

ニューヨークに拠点を持つ店頭での顧客データの取得分析を行うテック企業。

センサーを使用して心拍数などの客先情報を取得したり、
データに基づいた顧客満足度を計測する。

⑥ DIGI

親会社が日本の寺岡精工。流通回りのシステムなどを開発。

電子POP

電子棚札

⑦ VCAT.AI

韓国発のテック企業。

商品ページのURLを入れるだけで簡易なSNS用の動画を自動作成できる。
URLの画像、文字情報からAIが動画を作成。

まとめ

シンガポールで行われたNRF ASIA PACIFICに参加し、
流通・小売業界の現状とトレンドについて深く理解を深めた。
展示された内容からは、目新しい技術は少なかったが、AI技術の進化が際立っており、
多くの企業が既存技術を応用し、独自のリテールサービスを展開していたと感じる。

AIの応用例は多岐にわたり、各企業が顧客ニーズに合わせた独自のアプローチを展開していた。
顧客行動の予測、在庫管理の最適化、パーソナライズされたショッピング体験の提供など、
小売業界の効率化と顧客満足度向上に寄与している。
これは新技術の発展・導入も起因しているが、どのように既存技術を活用して業界特有の課題に対応し、イノベーションを推進するかが重要であることを示している。
イノベーションは日々待ったなしで進むため、常に最新のトレンドを捉え、
それを顧客提案やサービス改善に活かす必要がある。

今回の訪問で技術革新の速さと、それに適応する企業戦略の重要性を再認識した。
今後も新しい技術トレンドを追い続けていきたい。

了。