展示会レポート 「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展

製品を展示する演出。製品自体の『見せ方』、『見え方』を追求しながらその空間全体を考えて『見せ方』、『見え方』を考察し提案する力がイベントプロモーションには必要です。日々、色々なデザイン物やデザイン空間に触れることで感性を磨きます。

目次

マーケティング考察や、プロモーション施策の企画や、webページ・パッケージ・什器・販促物・造形物やサインや広告物のデザイン制作や動画制作を行っている凡美社の企画室。
企画室のメンバーは商業デザインを行っているとはいえ、元々は美大出身のデザイン好きが多い。

休日などは、趣味領域の鑑賞とはいえ感性を磨くために美術館に足を運ぶメンバーも多い。

今回、デザイナーの1人が人々を魅了する展覧会を見に行ったので、一部になりますがご紹介します。

東京現代美術館に集う人々。

開館前から多くの人が行列をなす東京現代美術館。
ここ暫く毎日見る光景は 2022 年12 月 21 日(水)~ 2023 年 5 月 28 日(日)まで開催の『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展の影響です。

パリ装飾芸術美術館での成功に続き、ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた
貴重な展覧会になっており、クリスチャン・ディオールやイヴ・サン=ローランなど
歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品が公開されています。

ディオール最初のコレクション「ニュールック」

ニュールックとは、1947年にパリで発表されたクリスチャン・ディオールのコレクションを源流として、世界的な流行を見せた服飾のスタイルのことです。
なだらかな肩のラインと細くマークされたウェストから広がるロング・スカートを特徴とし、その形状から、「コロール(花冠)・ライン」「8(エイト)ライン」などと呼ばれることもあります。

そんなニュールックの展示コーナーがありました。
ゆったりとしたスカートと細身のスカートの 2 つの代表的なシルエットが注目を集めたデザインです。
戦時中には緊縮財政に対し、時期にそぐわないと、ファッションに対して数多くの反対運動が起こりましたが、戦後、発表されたこのファッションスタイルを世界中の女性が取り入れました。
以来「ニュールック」は歴史に残る大ブームとなりました。
歴代のクリエイティブディレクターがメゾンを引き継ぎ現代のファッションデザインへ繋がっていきます。
メゾン(maison)は商品そのもののことでは無く、オートクチュールのお店やデザイナーがとりまとめている会社のことを言います。 あくまでも会社・お店の形態のことなのです。 対してブランド(brand)は、商品や商標そのもののことを言います。 そして、消費者の価値観によって変わっていくのもブランドの特徴です。

日本文化とディオール

ディオールは日本に進出した最初の西洋ファッションブランドです。
日本文化を愛したクリスチャン・ディオールは、 1953 年に鐘紡や大丸と契約を結び、
同年に帝国ホテルでショーを開催。
本会場では、「ディオールと日本の絆」から日本
文化から影響を受けたコレクションを多数拝見することができました。

ディオールのアトリエ

デザイン画から制作したトワルと呼ばれるドレスの原型が壁一面に広がる圧倒的
な真っ白な空間。
クリスチャン・ディオールの言葉に
「私のドレスは、女子の身
体の美しさを引き出すための儚い建築なのです。」
とありますが一点一点こだわりのシルエットに女性らしい華やかな印象が感じ取れます。

夢のような空間への満足感

夢のような空間への満足感。
日本と西洋の文化の混ざり合いやクリエイティブディレクターによるディオールの
歴史は、時代の情景に合わせて様々な視点での発見や美しさを体験できます。
心おどる圧倒的インスタレーションを感じる空間はクリエイティブ力を刺激される素
晴らしい時間でした。
閉館までの約2時間ほどを滞在いたしましたがまだまだ見て
いたい。。。離れ難い気持ちが強かったです。
見て損がない展覧会です。
展示物自体の良質なクリエイティブデザインが存在感をつくりますが、
その『見せ方』、『見え方』も工夫することで、より一層の世界観が出ます。
そして、ブランド自体を体感することができます。
美術館の演出の仕方は、イベントプロモーションに通じる部分があり、
非常に勉強になります。
『見せ方』、『見え方』にこだわって表現をしていくことで、『体感』『体験』に繋げるデザインを追求していきたいと思います。