店頭マーケティング考察シリーズ パート1 店頭販促物と店頭展開における基礎知識

ある仕事で流通さん向けに店頭マーケティングの基礎知識をレクチャーする仕事があったのをきっかけに、再度店頭マーケティングを考察してみました。シリーズ化で深堀りをしていきたいと思います。

目次

店頭販促物と店頭展開における基礎知識

販売促進とは

販売促進とは、売り手が買い手の購買心を刺激し、商品を購入させたり、サービスを利用させたりするために行う活動全般のことです。
略して「販促」とも呼ばれますし、「プロモーション」とも呼ばれますし、「セールスプロモーション」とも呼ばれます。
企業の販促活動には、その顧客が購入する「買場」があり、企業間取引とは別の、企業→消費者のいわゆるBtoCの商流では、「買場」は店舗でありECサイトになります。

製造業を行う企業の場合、開発を行い製造した製品を自分達で直接消費者に売るという販売の仕方よりも、販売を代理してくれる企業(流通)に委託しながら消費者に販売することが多いのですが、製造業者→卸売業者(問屋)→小売業者と製品が売買されて、『製品』→『商品』となり、店舗で売られるようになります。

もちろん、製造業者の中には、自社で直営店を設け、卸売業者や小売業者に委託せずに、製造業者自らが販売をしている企業もありますし、卸売業者に委託せずに小売業者と直接取引を行う製造業者もあります。

また、ネット販売でも上記と同じく、
①製造業者→卸売業者→小売業者と委託しながら小売業者のECサイトで販売される場合
②製造業者→小売業者と委託しながら小売業者のECサイトで販売される場合
③製造業者が自社でECサイトを運営しながら販売する場合
④製造業者がECプラットフォームを利用し運営しながら販売する場合
と様々な販売手法があります。

販売促進とは、このように企業が販売を行う施策を、さまざまな角度から考察し実践することにあります。

店頭販促とは

そして、店舗で行う販促活動を「店頭販促」と呼びます。
「店頭販促」は店頭のみで施策を行うこともありますが、基本的には企業が製品を商品化して売れるようにするための販売施策において、店頭は「購買行動が成される」場であるため、
販促活動すべての終着点として捉えることが重要です。

1消費者が、生活の中で、ある商品を『いつ、どこで知り』『興味喚起され』『行動に駆り立てられ』『購買した』のか?という、カスタマージャーニーにおける購買動機付けの『最後の詰め』が、店頭販促になります。
店頭販促は「インストアプロモーション」と呼ばれ、最終的な目標は顧客に商品を購入してもらうことにあり、細分化すると、
■集客アップ■購入率アップ■客単価アップの3つになります。

店頭での陳列に使われる什器

「什器」とは?

「什器」とは家具・道具・器物の類のことをいいます。
「什」は十人、おおぜいで共用するという意味が含まれています。
中でも、お店で使用し商品を魅力的に陳列・設置するための什器を「店舗什器」といいます。
店舗の形態や業種、目的や用途、スペースによって様々な種類がありますが、
まず、売り場の基本となる什器=「ゴンドラ」について説明します。

「ゴンドラ」とは?

「ゴンドラ」とは商品陳列をするための什器であり、スチール製で組み替えが可能です。
基本体に棚板、フック、バー、パイプ、仕切り、POPなどのアタッチメントを使用することで、さまざまな陳列のバリエーションに対応可能です。

ゴンドラ什器

ゴンドラ什器基本展開図

ゴンドラ什器のサイズについて

ゴンドラ什器の寸法設定は日本古来からの尺貫法が残っており、
90cm幅のゴンドラ什器を3尺、
120cm幅のゴンドラ什器を4尺、
と呼ぶ場合が多く、cm(センチメートル)より㎜(ミリメートル)の単位で表現することが多いです。
店舗スペースや業態、チェーンストアによって基本とするゴンドラサイズは異なります。
例えば、スペースが広く品揃え豊富なホームセンターではW(幅)1200㎜、H(高さ)1650㎜~2400㎜の什器がよく扱われています。
スペースが限られたコンビニエンスストアではW900~1200㎜、H1500㎜の什器がよく扱われています。
店のスペース規模、陳列量や陳列面積、販売商品などによってサイズの異なるゴンドラ什器が使用されます。

ゴンドラ什器定型サイズ(㎜)

壁面什器と中島什器

ゴンドラ(中島)什器は、買い物客が店舗内で店奥まで見渡せるよう背が低く設定されます。
壁面ゴンドラ什器はゴンドラ(中島)什器に比べると背が高く設定されています。
店の奥では手が届かない壁面ゴンドラ什器の上部に、分類表記やブランド名、ディスプレイ用品(装飾)を置いたりします。
店舗内で買い物客を店奥まで誘導する仕掛けです。
またこのような展開をすることで、見通しが良くスッキリした店舗演出ができ、買い物客の位置が把握しやすく、接客しやすいメリットもあります。

ゴンドラ什器高低差展開

エンド展開と定番展開

ゴンドラ什器は、店舗の壁面に並べたり、下図のように通路に並べて展開されたりします。
スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア、GMSなどは下図のように展開でゴンドラ什器を並べて売り場を作っています。

このゴンドラ什器展開の、両端にあたる部分での商品展開を「エンド展開」と呼びます。
そして、エンドとエンドの間にあるゴンドラ什器での商品展開を「定番展開」と呼びます。

ゴンドラ什器展開

ここで重要なことは、
製造会社と流通会社(卸売や小売)で行われる商談において、
製造会社は、まずは『定番展開を狙って商品を陳列させてください』という商談を行います。
そして、『様々なプロモーション活動を行うので目立ちやすいポジションである、
エンド展開で大々的に商品を陳列させてください』という商談を狙います。
小売り(店舗)側にとっては、「売れる商品」を大量に陳列させたいですし、
そのためにはどのようなプロモーション活動を行うか、話題になるのかなどが
重要視されます。消費者が来店時に「想起」される商品、その商品目当てにお店に来る
などが作ることができる商品が重用されます。
話題の目立つ部分に陳列をして商品がたくさん売れることを望んでいます。

「ゴールデン・ゾーン」とは?

買い物客にとって商品がもっとも見やすく手に取りやすい高さの範囲を「ゴールデン・ゾーン」といいます。
男性、女性、子供などの身長と、ゴンドラの形状、通路幅、棚の出幅なでどその位置は異なります。

女性が主なターゲットの場合、平均的に垂直型ゴンドラでは85cm~150cm位の高さが「ゴールデン・ゾーン」にあたり、この高さに置かれている商品の売り上げがもっとも高くなります。

下部の棚板の出幅が広くなっているL型のゴンドラでは下部ゾーンも売り上げが高めで、下部ゾーンも「ゴールデン・ゾーン」となります。
したがって、売り場の陳列を考えるには『売りたい商品をゴールデン・ゾーンに陳列する』ことが
売り上げアップに効果的です。

垂直型ゴンドラ什器ゴールデンゾーン

L字型ゴンドラ什器ゴールデンゾーン

他に、商品の重さや価格帯で陳列の上下位置を決める場合もあります。
重さが軽いものを上、
重いものを下、
あるいは高価格帯のものを上、
低価格帯のものを下、
に陳列するというものです。
重さが軽いものを上、重い商品を下に陳列するのは安全性を確保するという役割もあります。

POPとは?

店頭販促物

店頭販促物とは、店舗にて『賑やかし』や『想起喚起』や『商品理解』や『情報伝達』のために用いられる説明書きや装飾品のことです。

POPとは?

POPとは店頭販促物の一つで、「ピーオーピーやポップ」と呼びます。
「ポップや店頭什器など店頭で販促を行うのに欠かせないもの全般」と言えます。
POPとは、「Point Of Purchase Advertising」の略で「購買時点の広告」と訳されます。
消費者が商品を購入する時点で売場に置かれる広告全般を指し、購買意欲を促進させるための広告媒体となります。

店頭販促で使用される販促物の一例

●ポスター:キャンペーン告知・宣伝などに用いられる貼り紙。
●のぼり :キャンペーン告知・宣伝などに用いられる旗。屋外にも設置される。
●バナースタンド:店内に設置される自立式の旗や幕。告知や宣伝に用いられる。
●タペストリー :店内や屋外の壁・天井に設置される垂れ幕。
●パネル・等身大パネル:店内のカウンターや売り場コーナーなどさまざまな場所に設置され、
キャンペーン告知や宣伝に用いられる。
●デジタルサイネージ :屋内外共に設置される大きめのディスプレイ。液晶モニターなどにい映像を流して多くの情報を訴求できる。キャンペーンの告知や集客のほか、データ収集ができるモデルもある。
●電子POP :店内に設置された小さめのデジタルサイネージを指す。商品PRの動画を流して購買意欲を高める。
●ミニPOP :商品のすぐ近くに設置される小さめの訴求POP。スペースの狭い定番棚で使用することが多い。(シェルフPOP、スイングPOPなどがある)
●展示機能付きPOP:商品やテスターなどを展示し、商品の訴求も陳列も可能POPディスプレイ。
オリジナルの形状やデザインを製作することが多い。