自治体公認初のVtuber「茨ひより」の活躍

都道府県の魅力度ランキングで6年連続最下位の茨城県が自治体初の公認Vtuberを活用し、茨城県の魅力を発信する取り組みを行っている。

目次

なぜVtuber起用を試みたのだろうか

なぜVtuberだったのか、という疑問をまず持つが、それにはこんな理由があるようだ。
都道府県の魅力度ランキングという主旨の民間調査がある。
これによると、茨城県は毎年最下位を争っている中で、近年6年、連続で最下位となっているそうだ。
研究所によると、調査は千の市区町村と47都道府県を対象に6〜7月、インターネットで全84項目について尋ね、20〜70代の男女約3万人から有効回答を得た。

調査結果によると、トップの北海道が59・7点を獲得したのに対し、茨城県は前年と同じ8・0点にとどまった。46位は徳島県で9・8点(前年9・1点)。

研究所は最下位の要因について調査の指標の一つ「情報接触度」に注目。特に「ドラマ、アニメ、映画での接触度」は、茨城県を舞台としたNHK連続テレビ小説「ひよっこ」が放映された昨年の6位から、本年度は28位と大きく順位を下げた。
最下位の原因となったのが「情報接触度」なる指標だったようだ。
茨城県に関するテーマの番組や記事と接触した人が少ないという意味だそうだ。
確かに茨城県をテーマもしくはロケ地とした番組や記事は少ない気がする。

だが、マスメディアの場合、簡単に茨城県をテーマにした番組や記事を増やすのは難しそうだ。テレビや他メディアのプロデューサー、ディレクター、編集者は、過去の知名度やトレンドに基づき企画を立てるからだ。

そこで目を付けたのがVtuberだ。
Youtubeをはじめとした、ネット番組であれば自治体自らが企画し、仕込み、拡散させることが可能だからだろう。
特に話題となったのがこの動画だ。

【#14】茨城のバンジーは日本一ィィィィ!! ~竜神大吊橋行ってみた編~【いばキラVtuber 茨ひより】

県知事は2018年6月38日に発表されたVtuber「茨ひより」の効果を以下のように振り返っている。
茨ひよりの効果によって,いばキラTV YouTubeチャンネルの登録者数が,本年3月に自治体の公式YouTubeのチャンネルとしては初めて登録者数が10万人を突破いたしました。4月に入り,YouTubeからシルバークリエイターアワードが贈られ,記念品として銀の盾が届いたところでございます。

 チャンネルの登録者数の推移としましては,グラフにございますとおり,以前は年平均大体1万2,000人程度のペースで増えていたのですが,茨ひより登場以降は登録者数が一気に増えまして,9カ月で約3万人増加し,これまでの3倍以上の伸びになったところでございます。

 次に,2018年度の主な活動実績ですが,視聴者から要望があった竜神大吊橋からバンジージャンプをしてもらったり,茨城県の魅力を発信するための動画に出演しました。9月15日に行われたeスポーツプレ大会でもアシスタントMCを務めるなど,さまざまな活躍をしております。

 そういう活躍がまたいろいろなメディアにも取り上げられまして,英国のBBC放送では,自治体の活用事例として紹介されたり,NHKのテレビ番組で12組のVtuberの中からMVPをいただくというような実績もございます。

 活動の結果としまして,ツイッターのフォロワー数約1万5,000人,動画の視聴回数実績が91万回とファンも増えておりまして,さらにメディアにも数多く取り上げられているという実績を踏まえて,広告換算額にすると,大体2億4,000万円の効果が出ていると言えるかと思います。
かけた予算は「いばキラTV」を合わせて年間1億2千万円となったとのことだ。
広告換算額が2億4千万円であれば、県のCMを全国ネットで1億2千万円分流すよりは高い効果を得たといえるだろう。

真価の問われる2年目、期待されるインバウンド効果

こうした活動が様々なメディアにも取り上げられ、「イギリスのBBC放送では自治体の活用事例として紹介された」とのことです。
海外でも報道されたようだ。
報道を受けて、中国人向けや英語版の動画も作成している。

歡迎!日本的茨城縣!~茨ひより 中国語 DE 観光案内編~

Welcome to IBARAKI!~茨ひより 英語 DE 観光案内編~

自治体初という取り組みにより多くの報道をされ、英国のBBCでも紹介されたのは事実だろう。ただ初物である初年度より、他メディアでの報道に関しては、新たに面白い企画を次々と投入しない限り、減る可能性がある。
だが、今までチャンネル登録した、日本人はもちろん、中国人や英国人などの外国人向けのコンテンツを増やしていくことでインバウンドの観光効果が得られれば、プラスに働くと思われる。

いずれにしても真価が問われる1年になりそうだ。