ワークマンに学ぶマーケティング

少し前まで作業着メーカーだったはずの「ワークマン」が絶好調だ。その出店戦略と商品特徴からマーケティングのヒントを見出してみたい。

目次

作業着で始まった「ワークマン」の躍進

「ワークマン」の勢いが止まらない。多くの人にとって耳慣れないかもしれないが、もともとは作業着メーカーだ。
新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が若者や女性からもバカウケで、なんと今年4月の国内店舗数は839と、ついにあのユニクロ超えを達成。数字的にも好調で、2019年3月期決算のチェーン全店の売上高は前年同期比16.7%増の930億円となっている。
各店舗の売り場面積の広さはユニクロに遠く及ばないが、店舗数は追い抜いたそうだ。
ワークマンは「職人の店」をうたっていて、建設現場などで働く人たち向けの商品を扱っている。一方のプラスは、アウトドアやレインウェアなどの専門店(作業服などを扱っている店もある)で、一般の人でも入りやすいムードが漂っている。
ワークマンとワークマンプラスの店舗展開エリアを見てみると面白い。
例えば、ワークマンは足立区、葛飾区、江戸川区に多い。職人さんが多く住むエリアの近く、もしくはそのロードサイドに面している。また、建設需要が定期的に発生する地域のそばもしくは現場に向かう幹線道路の手前などのエリアと見受けられる立地が多い。

対してワークマンプラスは、可処分所得が中程度と思われる住宅街のロードサイドに出店していることが多いようだ。その出店戦略はキーステーション周辺や、人口密集地に出店することが多いユニクロなどとも異なりそうだ。
また、ワークマンもそうだし、ワークマンプラスも殆どの店舗が朝7時から開店している。もともと職人さんの朝が早く、仕事に行く前に作業着を買うというニーズがあったからそうなったのだろうが、一般顧客向けのワークマンプラスも朝が早い。
考えてみると、釣りやゴルフ、キャンプなどのレジャーに行くのは朝早いことが多い。ワークマンプラスもアウトドアなどのウエアの専門店なだけに実に理にかなっているのかもしれない。

ワークマンでは、どんな商品を取り扱っているのか?

記事にあるように撥水性が素晴らしい。これも工事現場のニーズに真摯に答え染み込まない技術を培った結果なのだろう。
デザイン的にもユニクロなどのストレッチデニムなどと比べても遜色はない。
このスリッポンシューズも耐水性に優れている。キャンプなやBBQなどのレジャーで使えそうだ。

ワークマンに学ぶマーケティングのヒント

ワークマンの業態の唯一無二性を挙げてみる。

・職人ニーズ由来の独自の出店戦略
・ユニクロなどとかぶらない(かぶりにくい)エリア出店戦略
・朝7時からの営業
・撥水性、耐水性など職人ニーズ由来の商品開発力
・デザイン性も足切りを受けないレベル

マーケティングの4PにおけるPlace(場所)、Product(商品)において多くの工夫が認められる。
高品質で良い商品を低価格でという価格戦略(Price)はユニクロやしまむらなどとかぶる部分もあるが、PlaceとProductでユニークさがあるので、その独自性を基軸とした広告宣伝・販促(Promotion)もうまく行っている事例と言えそうだ。