必見!店頭販促特集!2025年第25弾

MOGUパウダービーズ / 三ツ矢サイダー×トミカ / インバウンド向けハンコ / クックパー×うなぎ

目次

店頭販促特集

凡美社では店頭販促の実態を常に観察している。
売場は常に市場に対して敏感であり、トレンドが反映される。
メーカー側が展開する店頭ディスプレイや店頭POP、店頭施策。
小売側が展開する店頭施策や店頭POP。
買い物客に対する『価値体験の向上』を目指して、店頭は常に変化する。

店頭でのコミュニケーションデザインや、価値伝達の強弱、
コンストラクションデザインも含めた見せ方、体感させる施策などを追求していく。

そこには、セルアウトを考えたプロモーション施策をもってして、流通との商談にのぞむ
メーカーの提案が見えてくる。
さらに小売り側の商品陳列の仕方や店頭POPからは、今の時世にあわせながら、何とか売ろうというパワーも見えてくる。

POP研究家の向坂氏とタイアップし、
随時面白く、ワクワクする売場(買場)をレポートしていく。

2025年 第25弾

96 パウダービーズの魔力再び。投げ込み陳列の存在感。

一度、自己破産したMOGUが復活。
パウダービーズクッションの何とも言えない感触が心地よい。
投げ込み式の陳列がMOGUっぽくて良い。

パウダービーズの極小粒が生み出す、何とも言えない“ぬめり”とも“もっちり”とも形容しがたいあの感触は、一度触れれば忘れられない中毒性を持っている。

この“投げ込み式”の雑多感が、かえってMOGUらしさを際立たせている。整然と並べられるのではなく、あえて無造作に積み重なることで、商品そのものの柔らかさ・流動性を視覚的に訴求している感じがする。

カラー展開は赤、青、黒、オレンジ、ライムグリーンと多彩であり、遠目にも目を引く構成となっているが、派手さではなく“感触”という原点回帰をはかっていると推察。
店頭販促の現場において、物語性と体験価値を兼ね備えている。

97 三ツ矢サイダー×トミカの総付キャンペーンがアツすぎる件

三ツ矢サイダーの総付プレミアムキャンペーン。
オリジナルトミカがもらえる!?
スゴイ企画だ!!

陳列棚には三ツ矢サイダーを6本購入で1台プレゼントというPOPが鮮やかに展開され、特設什器に詰まれたトミカのパッケージが購買意欲をかき立てる。
しかもラインナップが豪華だ。
ミツ矢サイダーのボトルを背負ったイベントカー、三ツ矢ラムネバス、サイダー配達トラックなど、ここでしか手に入らない“限定感”が購買の決め手となる。

子どもをターゲットにしたファミリー層だけでなく、コレクター心をくすぐる大人の来店者まで巻き込める仕掛けだ。

販促物もオーソドックスなデザインが良い。視認性の高い黄色と青(緑)を基調としたPOP、写真とイラストを併用した告知ボードが、視覚的にも情報的にもわかりやすい。
「6本買って1台!」という訴求メッセージも明確で、購買行動に直結しやすい設計となっている。

単なるドリンク販促に終わらない、玩具とのコラボによる話題性・収集欲・陳列演出が融合している。夏休み商戦を見据えた非常に戦略的な取り組みである。

98 訪日客が夢中になる名前入りハンコ売場の魅力

インバウンド対応で、訪日客向けの印鑑が売っている。
おもしろい。
そして割と売れている。

什器は黒とオレンジを基調とした陳列ボードがズラリと並び、「FIND YOUR NAME」と大きくプリントされたサインが視覚的に強く訴求する。
まるで“宝探し”のように自分の名前を探す体験ができ、単なる物販を超えてエンタメ的要素を持っている点が非常に興味深い。

一つ一つの商品には「Juan」「Katie」「King」などの名前がローマ字で記され、その下には対応する漢字がプリントされている。名前に合わせて意味のある熟語や吉祥文字が選ばれており、“名前×漢字”という文化ミックスが魅力となっている。

日本文化の象徴的アイテムである「ハンコ」を旅の思い出やお土産に昇華させる好例であり、実際に売場では空きフックも多く見られることから売れ行きも好調ぽい。

価格帯は800円台と手頃で、気軽に購入できる“プチギフト”としての位置づけもうまい。
陳列もアルファベット順で探しやすく、視認性と機能性のバランスも取れている。

単なる和雑貨とは一線を画す、「名前を見つける楽しさ」と「日本らしさ」を融合させたインバウンド対応の成功事例だ。今後、他カテゴリにも応用される可能性がある販促アイデアといえる。

99 日用品にも“季節”を

クッキングシートの夏の訴求。
うなぎ焼くのに良いのか!
季節商品でない日用品は、時期に合わせた訴求の工夫が大切だ。
そんな好事例!!

調理補助アイテム「クックパー フライパン用ホイル」を、うなぎの蒲焼き調理用途で訴求するという、季節に寄り添った見事な売場展開だ。

売場では「うなぎ」の文字が大きく掲げられ、まるで食品売場かのような季節感を演出している。実際には日用品であるホイル製品のコーナーなのだが、この大胆な訴求で立ち止まる来店客も多い。パッと見で“何ができるのか”が明確に伝わる構造だ。

POPの裏には「フライパンで簡単に、外はパリッと、中はふっくら仕上がるうなぎの温め方」が丁寧に書かれており、実用性の高さと調理シーンの明確さが購買後の使用イメージを想起させる。
こうした“すぐ使える”情報は、購入意欲を一段と後押しする。

本来、クッキングシートやホイルは“通年売れる日用品”という立ち位置で、季節訴求とはやや距離がある。しかし、この事例では「土用の丑の日」や「夏のスタミナ食」といった時期に寄り添いながら、明確な使用提案を通じて売場に季節感と物語を与えている。
まさに、日用品×シーズナリティのシナジーマーチャンダイズだ。

このように、非季節カテゴリの商品でも「時期性×使用提案」のかけ算でいくらでも販促ストーリーは作れる。
マンネリ化しがちな売場にこそ、こうした柔軟な視点が求められる。
セレンディピティなクロスマーチャンダイズをシナジーマーチャンダイズと勝手に名付けている(笑)。

了。