インテリアスタイルに見る家電プロダクトデザインの変化

インテリアスタイルは時代とともに変遷します。今のトレンドは?。 インテリア空間の一端を担う家電製品も、それにあわせて変容します。今の時代の家電製品のプロダクトデザインの変化と売場を考察します。

目次

インテリアスタイル

インテリアには様々なスタイルが存在します。
時代や場所などに由来する特徴のあるインテリアをインテリアスタイルと言います。
例えばナチュラルスタイル、アジアンスタイル、カントリースタイルなどがインテリアスタイルの一例です。

インテリアスタイルは時代によりそのトレンドは移り変わってきました。
30年程前はモダンスタイルが全盛でした。
40代以上の方ならピンとくると思いますが、トレンディドラマのあの感じです。
都会的で洗練された雰囲気のスタイルです。
特徴としてガラスや金属などを用いる事が挙げられます。
硬い素材を用いることでスタイリッシュな印象の部屋を作る事ができます。
また色調はモノトーンを基調とすることが多くシンプルで都会的な空間にまとめる事が出来ます。広く一般に浸透しているスタイルで現代においても最も多くの方に好まれるスタイルだと思います。
子供の頃ドラマを見て、いつかそんな部屋に住んでみたいと憧れたのを覚えています。
ただ裏を返せば個性が少なく今となっては「普通」な感じは否めません。

2000年代に入りイケアが低価格路線で日本再上陸を果たしてからは北欧スタイルが席巻します。
気温の低い北欧発祥のスタイルなのでどのように暖かい空間を作るかが重視されています。
木材などの温かみのある素材や曲線のインテリアが多用されているのが特徴です。
色調は白などの柔らかい色が使われ、癒しの空間を演出します。
家の中で過ごす時間が長い北欧だからこそ生まれた癒しのスタイルなのです。
コロナ禍でおうち時間が増えた日本でも、北欧スタイルを取り入れた方も多いのではないでしょうか。
自然素材を多く用いるナチュラルスタイルとも通じるものがあります。

ここ数年よく目にするスタイルが幾つかあります。
インダストリアルスタイルもその一つです。
インダストリアルとは『工業的な』と訳せますが、コンクリートやアイアンなど無機質な素材を用いるのが特徴です。
暗めの木材なども取り入れると渋くてカッコよくまとまります。
「男前インテリア」なんて言い方もします。

またブルックリンスタイルというのもあります。
渋めの革素材や無垢の木材など取り入れたスタイルで、やはりコンクリートや敢えて錆び加工したアイアンなどを使うのが特徴です。
街でもこのようなスタイルのカフェをよく目にします。
ここ数年のトレンドとなってるスタイルです。

これらにはある共通の特徴があります。
それは「ヴィンテージ」や「レトロフューチャー」という価値観です。
古びた印象を感じるアイテムや家具はこのスタイルによく合います。

インテリアを意識した家電のプロダクトデザイン

現代社会においては生活家電は必要不可欠です。
従って生活家電はインテリアを構成する重要な要素の一つです。
大手家電メーカーは毎年最新デザインの商品を世に送り出します。
最新デザインではありますがどのメーカーの商品もどこか似たような表情をしています。
大量生産、大量消費の重責を背負ってるわけですからより多くの人が手に取りやすいデザインになるのは必然です。
モダンスタイルや北欧スタイル、ナチュラルスタイルのインテリアには違和感なくハマります。

ただ最近のトレンドであるスタイルにはどうもマッチしません。
ヴィンテージの価値観が漂う空間に最新のデザインは浮いてしまうように感じるのです。
ところが最近ヴィンテージ感のあるデザイン家電を見かける事が多くなりました。
トレンドに合わせて個性的なデザインの商品を打ち出してきているのだと思います。
それも大手メーカーではなくベンチャーや海外ブランドの輸入販売に多くそうした商品が見受けられます。
大手メーカーからも敢えてヴィンテージよりに振ったデザインの商品が少しづつ出てきているようです。

これらの商品は、売り方にも特徴があります。
もちろん家電量販店でも店頭に並んでますがインテリア雑貨店や家具売り場などで販売されていることが多いです。
そこでは過剰な機能訴求はほぼ無く、床、壁、家具、食器など全体の空間演出で魅せる売り方をしています。
インテリアのコーディネートをイメージしやすい環境で売る事で新たな販路を見出しているのだと思います。

インテリアの流行に合わせて生活家電のデザインも変化していきます。
デザインの変化は製造メーカーや販売会社にも変化をもたらします。
また売り方や販売チャネルも変化していきます。
我々もセールスプロモーションを考える立場でトレンドの機微を敏感に感じとって共に変化していくことが重要だと思います。